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上場延期のレオス、「ひふみ」の成長は踊り場

独立系運用会社のレオス・キャピタルワークスが運用する投資信託の「ひふみプラス」(9C311125)は、この1年で国内屈指の規模まで急成長を遂げた。ただ、今年は運用成績が振るわず、運用資産の伸びは踊り場にさしかかっている。

■ひふみプラスの残高、一時トップ3に

レオスが運用する公募投信は全部で3本。金融機関を通して取引する「ひふみプラス」と、同社が直接販売する「ひふみ投信」(9C31108A)、確定拠出年金制度用の「ひふみ年金」(9C31116A)を同じマザーファンドで運用している。3ファンドの純資産総額(残高)合計は11月末時点で7668億円にのぼる。

このうち最大規模の「ひふみプラス」は、11月末時点の残高が6117億円。9月末時点では6500億円超まで膨らみ、国内公募株式投信(ETFを除く)の残高ランキングで初のトップ3入りを果たした。11月末時点では4位に退いたが、昨年末時点の13位から大きく躍進した。

■月間の資金流入額が過去最大に

「ひふみ」は日本の株式を中心に世界の株式に投資するファンドだ。決算情報などの開示資料だけでなく、ファンドマネジャーやアナリストが自ら会社を訪問し、社内見学や経営層との対話を含めて投資対象を決めていく。

昨年2月にレオスの藤野英人社長がテレビ番組で取り上げられ、同社の投資理念に共感する人や運用成績の良さに注目する人が一気に増えた。「ひふみプラス」を取り扱う金融機関が全国に広がり、昨年1年間で2800億円もの資金が流入。今年は大手証券やメガバンクでつみたてNISA(積み立て型の少額投資非課税制度)の対象ファンドに選ばれるなどさらに販路を拡大し、年初からすでに2000億円を超える資金が流入している。

月ごとに区切ってみると、今年1月の資金流入超過額は「ひふみ投信」が104億円で、「ひふみプラス」は728億円。どちらも月間ベースで設定以降の過去最大を更新した。しかし、ここをピークに9月は「ひふみ投信」がおよそ4年ぶりに資金流出に転じ、「ひふみプラス」は33億円の小幅な流入超にとどまった。

■10月は過去最大の下げ

今年は運用面では苦戦が続く。5年などの中長期でみるとTOPIX(配当込み)を大きく上回る成績を上げてきたが、11月末時点で「ひふみプラス」の年初来騰落率はマイナス9.01%。TOPIX(配当込み)のマイナス6.42%より落ち込みが激しい。

国内の株式が全般に値下がりした10月には、「ひふみプラス」の月間騰落率がマイナス12.16%と設定後で最大の下げ幅を記録。TOPIX(配当込み)のマイナス9.41%よりもきつい下げとなった。

歴史的な成績悪化の背景について、藤野社長は10月の運用レポートで①グロース銘柄からバリュー銘柄へのまき戻し②小型株から大型株へのまき戻し――が起きたと分析。「ひふみ」はグロース・中小型株中心が特徴の1つだが、今後の運用については「バリューや大型株の比率を上昇させることも必要」との考えを示した。

11月末時点の組み入れは231銘柄で、1年前から30銘柄増やした。組み入れ上位10銘柄のうち、4銘柄は中小型だった。海外株式比率は1年前の2.9%から10.7%に跳ね上がった。

決算日(18年10月1日)までの1年間に新たに組み入れた銘柄(マザーファンドの運用報告書で前期末の株数がゼロだった銘柄のうち当期末の評価額が多い銘柄)を抽出したところ、評価額上位20銘柄のうち6銘柄は海外株式だった。次世代通信規格「5G」関連のほか、カナモト(9678)やクスリのアオキ(3549)など地方に拠点を置く国内株式も目立った。

■レオス上場は延期

今月9日に行われた運用報告会には、午前と午後の2部制で合計2000人を超す受益者が参加した。運用に関わる全アナリストが登壇するなど「顔の見える運用」は健在。「資本市場を通じて社会に貢献する」という経営理念は変わっていないことを強調した。

受益者が投げかけた「残高が増えると運用が難しくなるのでは」との質問に対しては、①残高拡大に伴う収入増を調査などの費用に回せる②運用資産が多いと経営トップに会いやすくなる――などのメリットを挙げた。

今月25日にはレオスが上場する予定だったが、直前に突如延期。上場手続きの再開時期は慎重に判断すると言う。上場に向けては「お客様からお預かりした資金を主として日本の成長企業、頑張っている企業に投資をすることにより『日本を根っこから元気にする』ことに全力を尽くしていく」とのコメントを同社サイトなどを通じて発表していた。

きめ細かい情報発信や受益者との近さで長期投資を根付かせ、今後も「地味で地道な」階段をのぼり続けることができるかどうか。レオス上場の行方も含め、来年も「ひふみ」から目が離せない1年になりそうだ。

(QUICK資産運用研究所 小松めぐみ)

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