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IPリポート Vol.7【中堅・新興企業の知財力】 正林国際特許商標事務所

最終更新 2019/2/12 14:15 注目銘柄 特許・知財

知財の重要性が広く認識される今、特許が重要な業種はどこか、あるいは同じ業種の中で特許出願が多い企業はどこかというのは関心の高いポイントだ。そこで、比較的、技術優位が業績に結びつきやすいと思われる中小型株の中から特許が重要な業種と特許出願が多い企業を探してみた。具体的にはJPX日経200、ジャスダック、東証マザーズの1190社(2019年1月1日現在)について、1971年からの特許出願件数を調査。河西工業(7256)、ブイ・テクノロジー(7717)は、特許を良好な収益性につなげている事例と言える。

知財ランキング~技術競争力が高い中堅・新興企業は?

証券アナリスト=三浦毅司

第1章 特許が重要な業種

業種ごとに①特許出願社数、②特許出願企業の比率、③1社あたりの特許出願件数を分析し、3つの指標の大きい業種を総合的に見て特許が重要な業種を判断した。

1. 出願社数は情報・通信業が最多

1件でも特許を出願したことのある企業は602社と全体の51%。業種的には、もっとも多いのが情報・通信業の110社。以下、サービス業、機械、電気機器、卸売、化学、建設、その他製品、小売の順となっている。

■業種別の特許出願社数

※正林国際特許商標事務所

2. 輸送用機器などは業界全社が出願実績

業種毎に特許を出願している企業の比率を見ると、輸送用機器、非鉄金属、ゴム製品、繊維製品が100%となっている。機械、化学、金属製品、精密機器も90%以上と高い。

■特許出願比率

※正林国際特許商標事務所

3. 1社あたり出願件数が多いのは機械や電機

1社あたり平均特許出願件数で見ると、繊維製品が3533件とトップだが、これは中に含まれるユニチカが6960件を出願していることによる。機械の782件、電気機器の612件、ゴム製品の413件、輸送用機器の342件までがTOP5である。

■1社あたり出願件数

※正林国際特許商標事務所

4.特許の重要性が高い業種は機械、化学など

特許出願社数、特許出願企業の比率、1社あたり特許出願件数を順位付けし、これらの3指標の合計値の少ないものを特許が重要な業種と判断した。繊維製品、ゴム製品、ガラス・土石製品、非鉄金属、鉄鋼の5業種は、業界を構成する社数が少ないため除いた。16位以下の業種は、おおむね業界としての重要性はなく、個社の特許戦略によると思われる。以上の理由から、特許が重要な業種は、機械、化学、輸送用機器、電気機器、金属製品、精密機器、その他製品、建設業、情報・通信業、医薬品、の10業種と言える。

■特許が重要な業種(数字は順位、低いほど優良)

※正林国際特許商標事務所

※今回調査したのは上場企業の名義で出願・保有されている特許件数。大手企業になると、複数の子会社が特許を出願・保有していたり、特許を一括管理する企業を設立したりしている場合があり、上場企業の名義と知財管理している企業の名義は必ずしも一致しない。そうした名寄せの問題が比較的小さいことも今回中小型株を対象とした理由の一つ。持ち株会社形態をとる会社の中には子会社で特許を管理している可能性があることに留意が必要

第2章 特許を積極的に活用している企業は

1.素材開発と装置開発は表裏一体

第1章で述べた「特許が重要な10業種」ごとの出願件数TOP3の企業はそれぞれ以下の通りだ。

特許出願の中身を見ると、そのほとんどが装置(モジュール化)に関するものであり、素材そのものへの出願は多くない。このことは、画期的な材料開発により、技術優位性の順位が変化する可能性があることを示唆している。素材開発は装置開発と表裏一体であることから、特許出願で先行する企業には技術的な面で競争力があるともいえる。

■各業種の特許出願数TOP3

※正林国際特許商標事務所

※中堅・新興1190社の特許出願件数ランキングはこちら

2. 注目企業の戦略

(1)河西工業(7256)

河西工業はグローバルに展開する自動車内装インテリア部品メーカーである。内装部品について幅広く特許を出願しており、出願件数で同業他社を大きく引き離している。特許出願も着実に実施されており、今後の技術優位も維持できる可能性が高い。特許が製品の良好な利益率につながっていると考えられ、資産収益性(ROA)、資本利益率(ROE)ともに良好な水準を維持している。

■河西工業の特許公開・取得件数

※正林国際特許商標事務所

■河西工業の業績

※正林国際特許商標事務所

(2)ブイ・テクノロジー(7717)

ブイ・テクノロジーは液晶ディスプレー、有機ELディスプレーなどの製造・検査関連装置を製造する。技術優位性を武器に高成長を遂げている。高水準の特許出願が続いており、出願件数で2位以下を大きく引き離している。2015年3月期までの研究開発投資が実を結び、高水準での利益成長を維持。ROA、ROEともに良好だ。

■ブイ・テクノロジーの特許公開・取得件数

※正林国際特許商標事務所

■ブイ・テクノロジーの業績

※正林国際特許商標事務所

(2019年2月12日)

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正林国際特許商標事務所 (三浦毅司 takashi.miura@sho-pat.com 電話03-6895-4500)

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