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IPリポート VOL.14【食品】次の飯のタネは医薬・ヘルスケア

記事公開日 2019/10/10 12:08 最終更新日 2019/10/16 00:58 注目銘柄 国内 KKスコア 特許・知財 IP最前線

食品産業は代表的な低成長の業種だ。大手ほど、海外進出や新規事業展開に積極的で、安定した財務基盤を活かして大型のM&Aを実施したりしている。ただ本業でみる限り、成長の維持は難しく、健康関連などの高付加価値化が長続きするかは疑問だ。

新規事業として、医薬、ヘルスケア、ファインケミカルなどを展開。これらの分野は開発競争が厳しいが、一方で成長余地も残されている。KKスコア上位にランクされた企業の多くは、競合相手に伍していけるだけの技術力をもっているといえる。

上位の企業でもコンスタントに重要な特許を出願できているわけではない。安定的な開発は業績向上につながる可能性が高く、市場の評価にもつながるだろう。

KKスコアを使った業界分析「食品」

正林国際特許商標事務所

証券アナリスト=三浦 毅司

第1章  新規分野に注力

株式市場に上場する食品業127社(2019年9月27日現在)の中で、有効な特許を保有している企業は52社と約4割。安定した事業基盤をもつ企業が多く、技術革新が必要な製品の割合が比較的小さいことから、特許を出願している割合はそれほど高くない。

特許を多く保有している企業は、味の素に代表されるように、①規模が大きく研究開発の余力がある、②既存ビジネスを多角化し、医薬、機能食品などに展開しているタイプが多い

■特許を保有している企業は約4割

(PatentSQUAREを元に正林国際特許商標事務所作成)

保有する特許の重要性に注目してランキングしてみると、1位は味の素、2位は日清オイリオグループ、3位が日本たばこ産業(JT)となった。ランキングでは、特に他分野への応用技術で注目を集めた企業が上位となった。

■食品業のKKスコアランキングTOP10(正林国際特許商標事務所)

第2章 個別企業分析

●味の素(2802) ヘルスケアと電子材料

味の素の全社売上高は横ばいが続いているが、これは主力の食品部門の売上高が伸びていないからだ。同社の食品の売り上げは、すでに海外の割合が高く、海外部門は増加している。ただ、国内部門の減少が大きく、食品全体では横ばいにとどまっている。

業績推移

出所:会社資料

現在、力を入れているのが新規分野である、ヘルスケアとライフサポート(電子材料)部門だ。これらの2部門の利益貢献は2018年以降着実に向上しており、現在では20%を超えるまでに成長している。

部門別事業利益構成比

出所:会社資料を元に正林国際特許商標事務所作成

味の素の重要特許の出願件数にKKスコアを掛け合わせて毎年の出願状況をみると、おおむね高水準を維持しており、当面の技術シードは確保できていると思われる。

特許出願状況(重要度勘案)

出所:PatentSQUAREにより正林国際特許商標事務所作成

やや気になるのは、注目度の高い特許の出願が減ってきていることだ。味の素で評価の高い特許TOP3は、①L-グルタミン酸生産菌及びL-グルタミン酸の製造方法(特許第5343303号)、②アミノ酸生産菌の構築方法及び構築されたアミノ酸生産菌を用いる醗酵法によるアミノ酸の製造法(特許第3651002号)、③顆粒の造粒方法(特許第3651002号)だが、いずれも2005年までに出願されたものだ。

その後の特許は量でカバーしているとも見える。味の素の企業成長には、大型特許につながる技術開発が期待されるところだ。

●日清オイリオグループ(2602) 製品の高付加価値化に活路

食品メーカーの中で、製油会社は多くの特許を出願している。特許の中身は、油脂や加工食品の製造に関するものが多く、比較的知財保護に関する意識の高い業界と言える。日清オイリオも売上高はほぼ横ばいだが増益を続けており、原材料価格の下落や、健康などをキーワードとする製品の高付加価値化がドライバーだ。新規事業であるファインケミカルの利益貢献は10%程度となっている。

業績推移

部門別営業利益構成比

出所:会社資料を元に正林国際特許商標事務所作成

重要特許の出願件数にKKスコアを掛け合わせて毎年の出願状況をみると、減少傾向にある。健康ブームでの高付加価値化が一段落した後の利益確保に課題があると言えそうだ。

特許出願状況(重要度勘案)

出所:PatentSQUAREにより正林国際特許商標事務所作成

●JT(2914) 医薬、利益貢献が始まる

JTの売上高は横ばいを続けている。世界的な健康意識の高まりでたばこの国内販売は減少が止まらず、海外での売り上げも不安定。医薬部門の着実な伸長が支えている。研究開発が先行していた医薬部門はここにきて利益貢献がはっきりしてきた。2015年には赤字を計上していたが、ここ3年は黒字で、直近の18年度では営業利益全体の5%に成長している。

業績

部門別営業利益構成比

出所:会社資料を元に正林国際特許商標事務所作成

出願件数にKKスコアを掛け合わせて毎年の出願状況をみると、急成長のステージに入ったと言える。特許の中身は概ね医薬品中心で、超大型の新薬はない分、コンスタントに出願を積み上げている。今後の安定成長・収益化につながりそうな内容だ。

特許出願状況(重要度勘案)

出所:PatentSQUAREにより正林国際特許商標事務所作成

(2019年10月10日)

(免責事項)本レポートは、レポート作成者が信頼できると判断した情報に基づき作成されていますが、レポート作成者及びその所属する組織等は、本レポートの記載内容が真実かつ正確であること、重要な事項の記載が欠けていないこと、将来予想が含まれる場合はそれが実現すること及び本レポートに記載された企業が発行する有価証券の価値を保証するものではありません。本レポートは、その使用目的を問わず、投資者の判断と責任において使用されるべきものであり、その使用結果について、レポート作成者及びその所属組織は何ら責任を負いません。また、本レポートはその作成時点における状況を前提としているものであって、その後の状況が変化することがあり、予告なく変更される場合があります。

正林国際特許商標事務所 (三浦毅司 takashi.miura@sho-pat.com 電話03-6895-4500)


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