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山口長男、抽象絵画の先駆的な開拓者【Art Market Review】

2月1日(土)にシンワアートミュージアム(東京・銀座)で開催されたシンワオークションについてレポートする。シンワオークションは、戦後美術から現代美術まで、国内外作家を問わず、幅広いジャンルの良質な作品がセールにかけられており、アートコレクターからも注目される国内主力のオークションハウスである。

2020年初開催となった本オークションでは、絵画作品269点、立体・その他の作品16点、285点の作品がセールにかけられた。出来高は、落札総額2億2798万5千円(落札手数料含まず・以下同)、落札率は81.05%という高水準であった。

■フランス画家に高額落札、アメリカの巨匠には予想上限の2.75倍

1000万円を超える高額落札となった作品が4点あった。最高落札となった作品は、ベルナール・ビュッフェ「スペイン貴族」で、落札予想価格3500~4500万円のところ、落札予想価格下限の3500万円で落札された。次いで、モーリス・ユトリロ「郊外の教会」1550万円、マルク・シャガール「“青い風景の中のカップル”のための習作1969-1971」1200万円が続く。いずれもフランスの画家による油彩・キャンバス、鑑定書付きの作品である。オークション後半に連続でセールにかけられた3点であったが、高額落札の結果に熱い視線が注がれた。

4点目は、アメリカのリアリズム絵画の巨匠と知られるアンドリュー・ワイエスの作品「3本の煙突」で、落札予想価格300~400万円のところ、予想価格上限の2.75倍となる1100万円での落札となった。森の中に佇む古い家と納屋という何気ない風景を卓越した描写力で繊細に描いた水彩作品である。技法的に高値がつきにくいとされる水彩画であるが、高額落札の結果となったのは、ワイエスの水彩画に対する評価の高さといえるであろう。

■日本の抽象画家の開拓者

今回は、山口長男(やまぐちたけお,1902-1983)に焦点を当て、レポートする。山口長男は、日本の抽象絵画の先駆的な開拓者の一人と言われ、国内だけではなく、国際展への出品も多く、1960年代には、ニューヨーク近代美術館に所蔵されるなど、世界的にも注目された作家である。数ある作品の中でも、黒の地色の上に、黄土色や赤茶色の絵具を幾度となく塗り重ねた油彩作品に定評がある。
本セールでは、1972年に制作された作品、「引」(45.5×38.0㎝)が出品された。支持体には板が用いられ、赤茶色の油彩を塗り重ねた前述した油彩の特徴的な作品である。落札予想価格400~600万円のところ、落札予想価格内の480万円で落札されている。



山口の2015~2019年10号サイズ以下油彩・抽象画作品のオークションデータを抽出分析したACFパフォーマンス指標を読み解く。落札価格平均は、2015年のみ落札予想価格上限平均を上回る結果となっている。以降は、この結果を受け、落札予想価格の評価も上がり、落札予想価格上限下限内に収まり、安定した推移となっている。2017年以降は250~280万円程度となり、ほぼ横ばい傾向で落ち着いている。

次回のシンワオークションでは、1975年に制作された板・油彩作品「線」の出品が予定されている。60.5×91.1cmと大型の作品で、落札予想価格は1000~1400万円。大きさが異なる作品のセール結果も合わせ、今後も動向を注視していきたい。

(すべて落札手数料を含む価格、月1回配信します)

※アート・コンサルティング・ファーム提供  ⇒リポート全文はこちら

※次回のシンワオークション開催予定は3月28日

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