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廃プラのリサイクルは「熱」から「素材」へ(IPリポート VOL.23)

証券アナリスト=三浦毅司(日本知財総合研究所)

SDGs(持続可能な開発目標)の意識の高まりをうけ、廃棄物のリサイクルに対する関心が強まっている。とりわけ、プラスチックごみ(廃プラ)のリサイクルは、海洋投棄されて完全分解されないマイクロプラスチックの問題がクローズアップされ、世界的な取り組みが検討されている。

プラスチックのリサイクルでは採算がとれるかどうかがカギとなる。廃プラを焼却する際に発生する熱エネルギーを発電に利用する「サーマルリサイクル」がこれまで主体だったこともあり、有力特許は三菱重工業(7011)や日本製鉄(5401)など大企業が多く保有している。

サーマルリサイクルは二酸化炭素(CO2)削減の観点からは望ましくなく、技術開発の中心は焼却せずモノや原料として再利用する「マテリアルリサイクル」、「ケミカルリサイクル」に移っている。ここでも採算性が重視されることから大企業優位の構図が続く。

■成長続くプラスチックリサイクルの特許出願

出所:PatentSQUAREにより日本知財総合研究所作成

プラスチックは石油由来であり、燃料としての再利用や高熱での分解の研究はかなり昔から行われてきた。環境意識が高まるなか、こうした技術の実用化を目指した研究開発が加速している。

廃プラの総排出量は少しずつ減少を続けている。リサイクルできていない「未利用」分が問題で、2000年頃には全体の54%に達した。未利用の廃プラは埋め立てや単純焼却で処分されていたわけだが、この割合は16%まで低下している。

■廃プラの総排出量・未利用量は低下、「サーマルリサイクル」の比率が上昇

出所:プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況(2018年、プラスチック循環利用協会)を元に日本知財総合研究所作成

背景にあるのは廃プラの処理コストや環境意識の変化だ。2000年当時、エネルギーコストや廃棄費用は今より安く、企業のリサイクルへのモチベーションは低かった。効率的にリサイクルするにはごみの分別が重要だが、企業・個人とも環境意識が今ほど高くなかった。ところが原油価格の上昇を受け、廃プラを燃料として活用するサーマルリサイクルの需要が高まった。

■原油価格は2000年以降、上昇が続いた

出所:QUICK

もっとも、サーマルリサイクルでは焼却時にCO2を排出してしまうことから世界的な要請であるCO2の削減を十分に果たすことが出来ない。原油価格が下落するなか、今後の課題はいかにコストを抑えつつマテリアルリサイクルやケミカルリサイクルの比率を高めるかにある。

プラスチックリサイクルの技術開発は、その採算性から、巨大な生産プラントを製造・利用している企業が圧倒的に有利だ。特許価値評価ツール「KKスコア」で各社の関連特許の価値を調べると、三菱重工業(7011)、日本製鉄(5401)、シャープ(6753)、三菱電機(6503)、トヨタ(7203)など大企業が上位に並ぶ。

環境保護への意識は世界的に高まっているが、企業にとってのプラスチックリサイクルは常にコストとのせめぎ合いである。今後も大手企業を中心とした技術開発が進むと思われる。足もとの原油価格の下落はサーマルリサイクルの割合の低下に寄与し、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルの比率を高めそうだ。

日本知財総合研究所 (三浦毅司 takashi.miura@jipri.com 電話080-1335-9189)

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