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日銀買い、インパクトが大きい銘柄とREIT市場で薄まる存在感

QUICK Market Eyes=川口究

新型コロナウイルスの感染が世界的な拡大を見せる中で世界の中銀は必至の防衛戦を強いられている。日銀も例外ではない。前倒しで開催した16日の金融政策決定会合では上場投資信託(ETF)の買い入れ枠を年12兆円、不動産投資信託(REIT)を1800億円とともに倍増させる方針を決定。19日にはETFを1日あたりでは過去最大となる2000億円強、REITも過去最大となる40億円を買い入るなど早速実行に移した。買い入れのタイミングも読みにくくなった「日銀砲」は売り方に買い戻しを迫り、25日の日経平均株価は26年2カ月ぶりの上げ幅を記録した。ひとまず出そろった日銀の政策対応。市場では様々な分析が進んでいる。

■押し上げより下支え

JPモルガン証券は16日付リポートで、「日銀のETF購入は、株式市場をある程度下支えする効果はあっても、株価水準を押し上げる作用は限定的。“コロナ・ショック”に端を発する実体経済の悪化懸念は、金融政策では払拭できないとの見方が支配的であり、市場の焦点は財政政策に移っている」と指摘。世界的な株価の下落基調に歯止めをかけることが出来るとすれば「主要国が軒並み大規模な財政拡大を打ち出すことしかない」との見解を示しいている。

一方で、年間12兆円を上限とするETF買い入れは巨額であり、個別銘柄の株価形成には相応のインパクトが想定されるとも指摘し、「TOPIX構成銘柄で流動性の低いものにプラス・インパクトが発生しやすい」との見方を示した。

■個別銘柄によっては価格インパクトが大きい

個別銘柄への影響はどうか。大和証券は17日付リポートで、アベノミクス相場初期の2013年の1年間に外国人が買い越した現物株の金額の約15兆円と比較しても、年12兆円という金額は大きく、「日本株の下支え要因として機能するだろう」との見解を示した。また、「買入ペースが2倍に拡大したことで、日銀ETF買入の株価インパクトがこれまで以上に顕著に表れる可能性があり注目したい」と指摘し、日銀ETF買入による株価インパクトが大きいと考えられる銘柄として阪急阪神(9042)や東武(9001)などを挙げていた。

24日には、「3月に日銀がETF買入により積極的になったことで、日銀インパクトの大きい企業群がインパクトの小さい企業群をアウトパフォームする傾向が2月末以降みられる」と分析。また日銀トレードは「当面有効に機能するとの見方」という。日銀がリスクプレミアムを図る指標の1つにTOPIXの益利回りと10年債の利回りの差があるといわれる。新型コロナウイルスの感染拡大が続けば外国人による日本株売り圧力は継続し、TOPIXのリスク・プレミアムは高止まりするとの見立てだ。

株価インパクトの大きい企業はに対し大和は、過去1年間の売買代金の1日当たり平均金額に対する日銀の1日のETF買入によって生じる投資額の比率が大きい企業と設定している。

日銀買い入れインパクトのバスケット比較

※日銀の買い入れインパクトが大きい銘柄のバスケット(青)は小さいバスケット(黄緑)を上回るパフォーマンス

■REIT買い入れでは薄まる存在感

直近で急落したREITも日銀は買い入れ対象としている。野村証券は19日付リポートで「J-REIT市場の1日当たり平均売買代金は2020年1月の543億円、2月の644億円に対し3月18日までで1162億円に増加している。日銀買入れの直接的な効果が低減しているとみえる」と指摘。同日の東証REIT指数は前日比18.5%安の1146ポイントで引け、指数開始以来最大の下落率を記録した。この背景には、「足元で様々な投資家のロスカット売りに加え、3月の決算期末を見据え保有簿価が低いJ-REITの益出しを行っている金融機関もあると考えられる。加えて最近で日本の不動産市場における信用収縮を懸念する海外投資家も増えている。更に足元で債券を現金化する動きから国内外で長期金利が上昇しており、J-REIT相場にとっての悪材料となっている」と指摘した。

23日も日銀がJ-REITを40億円買入れたが、J-REIT市場の3月の1日当たり平均売買代金は23日には1210億円となっとており、日銀の買入れの影響はさらに小さくなっていた。

一方で「少なくとも地方金融機関の売りは過去のように年度末である3月内に一巡する可能性も高く、売買需給がまもなく改善する」(UBS証券)との見方もある。19日時点でPBR(株価純資産倍率)に相当する「NAV倍率」の平均は0.63倍台、配当利回りは6.8%で09年以来の水準にあり、「さすがに割安」との指摘が多くなってきた。

「3月の決算期末後国内金融機関の活発なJ-REIT売却が落ち着き、一方で最近の相場急落を受けて久し振りにJ-REITへの投資意欲を見せている国内外の日本株ゼネラリストやヘッジファンドなどの投資が続けば、J-REIT市場の需給環境好転すると考えられる」(野村証券)。加えて「1700~1800ポイント、加重平均配当利回り4.3~4.5%、新型肺炎の影響への警戒からNAV倍率で若干ディスカウントの0.93~0.98倍を回復できるか」(同)という。

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QUICK Market Eyes 川口 究

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