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コロナ後の半導体株ラリーを先取り 新光電工などに着目

QUICK Market Eyes=阿部哲太郎

相場全体の戻りが一服しているものの、半導体関連株への物色の根強さが目立つ。新型コロナウイルスの感染収束後を見据えた半導体関連株の上昇が既に始まった兆しもある。需要の増加するサーバーやメモリー向け設備投資の恩恵を受ける新光電工、イビデン、ジャパンマテリアルなどに注目したい。

▼コロナで半導体需要は二極化が鮮明

新型コロナ肺炎の世界的なまん延による景気悪化の見通しがさらに鮮明になっている。国際通貨基金(IMF)は14日、2020年の世界経済の成長率見通しをマイナス3.0%に引き下げた。マイナス成長はリーマン危機後の2009年以来となる。

米調査会社ガートナーは9日、20年の世界の半導体売上高の見通しを従来の前年比12.5%増から0.9%減に下方修正した。外出自粛や景気低迷で自動車やスマートフォン、家電向けの半導体の出荷が落ち込むと見込んでいる。

アップルの廉価版スマホ「iPhone  SE」の新型は感染拡大の影響を抑えるため国内での発売が5月以降にずれ込むことになった。さらに次世代通信規格「5G」対応とみられる次世代品の発売が例年の秋から遅れるとの見方も出てきている。

一方でテレワークの広がりや外出自粛による通信量の増加により、サーバーなどのインフラ強化が急務となっている。NTTコミュニケーションズは運営するネット接続サービスで、4月13日の週の平日昼間のデータ通信量が2月下旬と比べて、最大で39%増えたと発表している。

半導体需要は当面は二極化が続く公算が大きい。スマホ、自動車向けは相対的に需要が弱い一方、パソコン・サーバー向けの半導体は需要の強含みが予想されるというシナリオを前提にするべきだろう。

▼半導体関連の決算内容に明るい見通しじわり増加

終息の時期が見通しづらいこともあり、新型コロナの景気への影響は不透明感が強い。ただ、このところ半導体やハイテク関連には明るい材料も出てきている。16日、半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC、@2330/TW)は20年12月期の連結売上高が前期比15~18%増える見通しだと発表した。

新型コロナの影響で見通し悪化が警戒されていたため、市場ではポジティブサプライズと受け止められ、半導体株の買い材料となった。スマホやデータセンターの技術開発が進む中、TSMCはEUV(極端紫外線)と呼ばれる半導体の性能を飛躍的に高められる露光装置への投資を続けている。TSMCの巨額の投資は近年の半導体製造装置の成長ドライバーとなっていた。

国内では10日、半導体搬送装置を手掛けるローツェ(6323)が発表した20年2月期連結決算で営業利益が3割増となり、21年2月期も増収増益の見通しを示したのが好感され、株価は急伸した。今期の営業利益は前期比7%増を見込んでいる。新型コロナウイルスのリスクは継続するものの、商用化が本格化する5Gやデータセンター向け設備投資が積極化するとの見通しを示した。

スマホや自動車の最終製品の販売は一時的に落ち込むとみられるものの、先行きを見込んだ開発投資はさほど減速していない。特に中国では景気対策もあり、5G関連投資をさらに加速させていく。中国国有通信大手3社(チャイナモバイル、チャイ ナテレコム、チャイナユニコム)の20年12月期の5G向けの投資計画は合計で1800億元(約2兆8千億円)に達し、前期の4倍以上と大幅に膨らむ見通しだ。

▼戻り際立つ川上の製造・検査装置

半導体やハイテク関連株の3月からの戻り相場の期間騰落率を比較した。表は日経平均が年初来安値を付けた3月19日以降、4月17日までの世界の半導体・ハイテク関連株の騰落率順に並べたものだ。
【半導体やハイテク関連株の3月安値からの騰落率】

【半導体やハイテク関連株の3月安値からの騰落率】

直近の戻り相場で最も上昇した銘柄は好決算を発表したローツェだった。期間騰落率は67%と同期間の日経平均株価の20%、米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の27%を大きく上回る。中小型株で値動きの良さもさることながら今期の増益見通しが買い安心感につながったとみられる。

そのほか、5Gやデータセンター向けの設備投資に半導体メーカーが積極姿勢を示していることから、上位には米ラムリサーチ、アドバンテスト、東京エレクトロンなど川上に近い製造・検査装置を手掛ける企業が並んでいる。

一方で川下に近いスマホなどの最終製品や電子部品のメーカーは軒並み下位に並んでいる。米アップルやソニー、韓国サムスン電子などは供給網(サプライチェーン)が広範囲にわたり、消費の落ち込んだ場合の影響も大きいとみられることから日経平均や米SOX指数を下回っている。村田製作所、太陽誘電も足元ではスマホ向けの売上比率が高いことが手控えの要因とみられる。太陽誘電は19年に株価が約2倍に上昇した反動もあったとみられる。

▼新光電工、イビデン、ジャパンマテリアル、アンリツ

これまでの前提と戻り相場での騰落率を加味して注目銘柄を紹介したい。まずは新光電工(6967)、イビデン(4062)だ。両社はICなどで使うパッケージ基板の大手だ。近年ではサーバーやパソコンで使うCPUやMPU(超小型演算処理装置)では、性能向上のために内部構造を多層化して立体にする積層パッケージ技術への評価が続いている。

米インテルや台湾TSMCが多層化した次世代の半導体の生産を手掛けており、材料となる積層パッケージの需要が高まっている。パッケージ基板自体は手掛けるメーカーが多いが、積層パッケージは立体化する分歩留まりと呼ばれる不良品率が高く、新光電工とイビデンの持つパッケージ技術に優位性がある。両社は将来の需要増加を見越して多層パッケージ基板の生産設備の増強に向け投資している。積層パッケージ技術はスマホより大型の半導体チップで使われることが多く、パソコンの販売増加やサーバーの増設・性能向上が続けばさらなる需要の伸びが期待できるだろう。直近の戻り相場でも新光電工の期間騰落率は55%とリスト中では2位であり、先行きへの期待がうかがえる。

新光電工は21日、20年3月期の業績予想を上方修正した。純利益は前期比9割減の3億円から同3%増の26億円と減益から一転して増益へと引き上げた。円安に加えサーバー、パソコン向けに多層パッケージ基板などの主力製品が伸びたとし、成長シナリオの確度が高まっているのが鮮明になった。

期間騰落率のリストの中で3位のジャパンマテリアル(6055)は、国内の半導体工場の裏方ともいえる事業を手掛ける。半導体製造装置や設備のメンテナンスの請負や加工に必要な特殊ガス、純水の配管工事・供給などを手掛けておりいわゆるのストック収入の比率が約6割となっている。半導体の工場は一度稼働させると生産調整などでも稼働停止が難しく、同社のサービス提供は継続している。

主要顧客は三重県四日市や岩手県北上のキオクシア(旧東芝メモリ)、広島県東広島のマイクロンメモリジャパンなど国内の半導体メモリー工場など。熊本や長崎のソニーの半導体イメージセンサー工場での工事受注の獲得やサービス提供への期待も高い。ストック収入の比率が高く新型コロナ肺炎の影響下でも業績の変化率が低いとみられているのも買いを誘っているようだ。

出遅れの銘柄としてアンリツ(6754)を取り上げたい。同社は通信計測器メーカーの世界大手3社のうちの1社だ。5Gの研究開発段階で計測器が必要になることから早くから5Gの中核銘柄として注目されてきた。中国の通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)など中国のスマホメーカーや通信キャリアに計測器を納入しているため中国の5G投資拡大の恩恵を受ける銘柄の1つだ。さらに現行の5G対応スマホの多くは4GLTEよりも高速だが、5Gの特性である低遅延・同時多接続の性能をすべて発揮できるフル規格仕様の研究開発はこれからが本番となる。アンリツの直近の戻り相場での上昇率は17%と下位に位置しており、将来的な戻り余地は大きくなりそうだ。

 

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著者名

QUICK Market Eyes 阿部 哲太郎


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