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細る自社株買い、厳選されるのはキャッシュリッチ銘柄

QUICK Market Eyes=川口究

自社株買いを控える企業が増えている。TOPIX採用銘柄が4月に発表した自社株買い金額は約1000億円と、前年同月の7000億円を大きく下回った。新型コロナの影響で手元資金の確保が優先されていることが大きい。一方、株式市場では自社株買いを発表した銘柄の株価が上昇するなど、投資家が自社株買いを評価する傾向は変わらない。

■自社株買い発表企業の株価は堅調

丸紅(8002)は7日、自社株買いを22年3月期まで実施しない方針を示し、今期は減配により前期比で200億円程度のキャッシュを確保すると発表した。またNTTドコモ(9437)なども自社株買いを見送った。

自社株買いを発表する企業の株価は堅調で、なかでも手元流動性の厚い企業に買いが入っている。さらに上昇率の上位には成長が期待されるテーマに関連する銘柄が並んだ。

大型連休前の4月23日~30日の期間に自社株買いを発表した積水樹脂(4204)が同期間中に8.7%、ゼンリン(9474)が8.8%、DTS(9682)が4.6%上昇し、それぞれTOPIXをアウトパフォームした。これらの銘柄は手元資金も豊富だ。

■「利益に対する配当性向、総還元性向ともにキャッシュリッチ企業が高い」

TOPIXをユニバースとし、ネットキャシュ比率が高いポートフォリオと低いポートフォリオのパフォーマンスを比較した。期間は昨年末から、7日まで。結果は比率が高い方の下落率が小さくとどまり、TOPIXも上回った。

チャートを見ると、決算発表が本格する4月中旬頃からTOPIXに並び始めている。三菱UFJモルガン・スタンレー証券によれば、「利益に対する配当性向、総還元性向ともにキャッシュリッチ企業が高い」という。

【キャッシュリッチ銘柄のパフォーマンス比較】※(注)ネットキャッシュ比率を5分位に分類したポートフォリオを作成し、比率が最も高い第1分位と低い第5分位のパフォーマンスを比較

※ネットキャッシュ比率を5分位に分類したポートフォリオを作成し、比率が最も高い第1分位と低い第5分位のパフォーマンスを比較

■ファイズHD、eBASE、朝日ネット、アセンテック、テモナ

さらに比率が高い中で上昇率が大きい銘柄をみると、今後成長が期待されるテーマが並んだ。対TOPIXで最も優れたパフォーマンスを示したのが、ファイズHD(9325)で都市圏を中心にインターネット通販サイト関連の商品取り扱いや小口配送が好調。食品会社がスーパーに商品仕様書を提出するシステムを手がけるeBASE(3835)は、5月1日からテレワーク用ソフトを無料にし、テレワーク定着を見越して、潜在需要を掘り起こしている。学校法人向けにクラウドシステム型の教育支援システム「マナバ」の販売を行う朝日ネット(3834)は教育ICT(情報通信技術)関連銘柄で、中小型株の中では総還元性向の高さでも上位に位置する。アセンテック(3565)は情報処理をパソコン本体ではなくサーバーで集中的に担う「仮想デスクトップ」を手掛け、テレワークの浸透で受注増が期待される。インターネット通販事業者向けのシステムを開発するテモナ(3985)は外出自粛の影響で、健康食品やサプリメントなどを購入する需要が増加し、同社の通販システム販売が増えると見込まれている。

※対TOPIXで優れたパフォーマンスを示した銘柄一覧

※対TOPIXで優れたパフォーマンスを示した銘柄一覧

ただし、日本のキャッシュリッチ銘柄は、バリューリバーサル局面ではリターンが大きく悪化することもある点に注意が必要だ。過去の傾向としてバリュー株がアウトパフォームする局面では、高ネットキャッシュ銘柄のリターンは低調となる傾向があった。短期的には、経済の急回復期待から、これまで低調な推移を続けたバリュー銘柄が大きく反発する可能性もありそうだ。

とはいえ、三菱UFJモルガン・スタンレー証券によれば、「新型コロナウイルスによる経済への影響、並びに低金利環境の長期化があらためて意識される年央以降は、再度高クオリティ銘柄への物色が強まる局面が訪れると想定している」という。中期的な観点でキャッシュリッチ銘柄の好調さも期待できそうだ。

 

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著者名

QUICK Market Eyes 川口 究


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