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運用の大方針は「期間」で決まる―楽しく増やす!「北澤式」資産運用術【05】

第2部 資産運用 勝利の手順 ① 運用の大方針は「期間」で決まる

資産運用を始めるとき、多くの人はどんな金融商品がもうかりそうかを真っ先に考えるかもしれない。しかし具体的な商品選びは後回しだ。初めての資産運用では事前に決めておくこと、確認しておくべきことがあり、その手順をきちんと実行できるかどうかが結果を大きく左右する。最初にやるべきは、運用の期間を定めておくことだ。

■長期なら「株式」で大きなリターン狙い

なぜ資産運用では期間がそれほど大事なのか。それは、どれだけの期間を使うことができるかによって、リスクの取り方や投資対象とする資産の種類が変わってくるからだ。連載の3回目で述べたように運用期間は10年が一つの区切りになるが、実際は長ければ長いほど都合がよい。

運用では一時的な相場の下落で含み損が生じることが珍しくない。その一方で、第3回で確認したように、世界経済の成長が続く限り、ほとんどのケースで資産価格はいずれ回復する。いつ回復するかは予想できないが、運用期間が長くなるほど損失を挽回し、利益を獲得する機会は増える。そして、損失が生じたとしてもそれが一時的だと割り切れれば、大きなリスクを負って大きなリターンを狙うことが可能になる。

例えば30代、40代の現役世代が老後資金のために、20年、30年と長期運用をするケースを考えてみよう。そんな場合は難しいことは何も考えず、粛々と国内外の株式で運用する投資信託などを買い続ければいい。

株式は大きく値上がりしたり値下がりしたり激しく変動する(リスクが大きい)ため、投資の未経験者は怖く感じるかもしれない。しかし過去の実績をみると、長期では最も大きな運用成果をもたらしてくれそうな資産だというのがわかる。よほどリスク許容度が低い人は別として、運用期間が20年も30年もあるなら、思い切りよくリスクを取って大きなリターンを求めた方が得策だ。

個人型の確定拠出年金(iDeCo=イデコ)や積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)を使って積み立て投資をするなら、なおさら株式関連の商品がお勧めだ。価格変動のブレ幅が大きく、かつ長期的には上昇傾向が続くというのは、それだけ株式(または株式で運用する投信)を安値で買える機会が増えることを意味するからだ。購入のタイミングを分散する定時定額の積み立て投資と、株式で運用する投信とは相性がいい。

長期で積み立て投資を続ける人は「時間」という個人投資家の最大の武器を持ち、さらに「リスク」(価格変動のブレ幅の大きさ)をも味方に付けた「最強の投資家」といえる。そして最強の投資家となるには、若さという特権が必要になる。「資産運用はたとえ少額からでも、できるだけ若いうちに始めた方がいい」と言われるのは、20代、30代ならその特権を活用できるからだ。

■10年未満は資産分散が必須

では、長期投資の目安としている10年よりも運用期間が短いときはどうか。リターン優先でリスクをあまり気にしなくてよかった10年超の運用よりも、慎重さが求められる。株式相場は一時的に大きく下げても多くの場合は10年あれば回復すると述べてきたが、期間が10年に満たない場合、資産運用を終わらせる時期と相場の下落局面が運悪く重なってしまったら、期間内に投資額を回収しきれない恐れが強まるからだ。

具体的な対応策は資産の分散だ。株式を運用資産の中心に据えつつ、債券やヘッジファンド型の投信などをポートフォリオ(資産の組み合わせ)に加えておくという方法だ。これらは株式と異なる値動きをすることが多く、株式が値下がりしたときに逆に値上がりしてくれれば、資産全体が受けるダメージを抑えられる。主に株式で運用するバランス型投信(リスク抑制のために株式や債券など複数資産に分散投資する投信)を買っても、同じような効果が期待できる。資産分散は大事な考え方なので、その効果や具体的な方法については別の回で改めて説明したい。国内株,国内債券,REIT,先進国株,先進国債券の価格推移

次に、期間が5年にも満たないときはどう考えたらいいだろうか。運用期間がさらに短くなると、株式中心の運用では相場の下落局面に巻き込まれて、取り返しがつかなくなるケースも想定される。だから、10年未満の運用と同じように資産は分散するとしても、リターンの低下には目をつむり、よりリスクの低い債券などを投資対象の中心に据えた方がいい。バランス型投信を買うなら、株式の組み入れ比率は20~30%程度に抑えた低リスクのタイプが候補になる。

■減らせないお金は「運用しない」も選択肢

運用でどの程度のリスクを取るかを考えるとき、期間のほかにもう一つ気にかけてほしいことがある。それは、運用しようとしているお金の性格だ。運用で一時的に含み損が生じても大丈夫なお金か、減ってはいけないお金なのかをきっちり区別する必要がある。

例えば、「子供の入学資金」や「住宅購入の頭金」のように使い道が明確に決まっているお金は、いざ使おうとした時に不足があっては困る。さらに使う時期が5年以内ぐらいだと、運用で一度損をしてしまったら損を取り戻すのに使える時間は少なすぎる。

つまり、5年以内に使い道が決まっているお金なら、大きなリスクにさらすべきではないのだ。運用といってもせいぜい、利回りが少しだけ一般の預貯金より高いネット銀行の定期預金や個人向け国債といった、元本保証の金融商品にとどめておく方が無難だ。

同様に、運用期間が同じ20年だとしても、現役世代とリタイア世代では資産運用の在り方は違ってくる。現役世代の資産運用は資産そのものを増やすのが目的なのに対し、資産を次第に取り崩していくリタイア世代は手持ちの資産を守りつつ、できるだけ長持ちさせるのが目的になる。また、運用で一時的に損失が出た場合、現役世代は給与収入などから回して運用元本を回復させられるが、年金収入が中心のリタイア世代は運用原資を補填することもままならない。

つまり、高齢になればなるほど運用しているのは減らしてはいけないお金になるので、大きなもうけを狙ってリスクを取るべきではない。物価上昇率に負けない程度のリターンを目標として、守り優先の運用を心がけるのが鉄則だ。(QUICK Money World=北澤千秋)

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著者名

QUICK Money World 北澤 千秋

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