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インドを救うデジタル化 株と通貨を支えるEC大手(Asiaウオッチ)

インドの大手財閥、リライアンス・インダストリーズ(RIL)の株価が絶好調だ。6月19日は6%高の1759.5ルピーと連日で上場来高値を更新し、22日も1,804.10ルピーまで買われる場面があった。資本異動を考慮したベースでみると過去3カ月で2倍近くに急伸している。評価されているのは通信販売ビジネスだ。電子商取引(EC)による市場拡大への期待から投資家の引き合いは強く、新型コロナウイルスの感染拡大で何かと不安視されがちなインドの株式相場や通貨ルピーの「救世主」となっている。

※印リライアンス株価とSENSEX指数の推移

※印リライアンス株価とSENSEX指数の推移

■傘下の通信会社に将来性

なぜリライアンスがここまで熱狂的な人気を集めるのか。最大の理由は、傘下の通信会社ジオ・プラットフォームズのインド最大の顧客網を基盤としたネット通販など、消費者向けデジタルサービスの将来性だ。評価の高さを裏付ける外資の動きが投資家の強気に拍車をかけた。

リライアンスは19日、ジオに対する出資の受け入れなどで過去58日間で1兆6881億ルピーを調達したと発表している。リライアンスのムケシュ・アンバニ会長兼社長は「予定していた2021年3月よりもずっと早く、無借金経営を実現した」と胸を張る。

ジオに関しては米フェイスブックが4月に57億ドルで株式の9.99%を取得したのを皮切りに、米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)やアブダビ政府系ファンドのムバダラ・インベストメントなど11社が次々と出資に動いた。集めた資金は18日までに総額1兆1569億ルピー(約1兆6000億円)に達し、外国企業の出資比率は計24.7%となった。

■EC市場支配を期待

人口が10億人を超えて増加を続けるインドでは潜在的な市場が大きいうえ、先進国に比べて若年層の割合が高く、ECビジネスとの親和性が高い。しかもインドには欧米などでよく見かける巨大スーパーなどの大規模な小売業者が少ない。IIFL証券は「小規模業者が9割を占める『断片化した』この国の市場では消費者と業者を結ぶデジタルサービスの成長余地はかなりある」と指摘する。

ジオはインド携帯通信業界では新興ながら市場シェアが最も大きく、フェイスブック傘下の対話アプリ「ワッツアップ」との連携などでも競争力を高め、EC市場を支配できると期待されている。IIFL証券は「リライアンスの収益全体に占める通信や小売りなどの消費者向け事業の比率は現在3割強だが、2022年3月期には半分を占めるまでに成長する」と予想。そのうえで「株価は今後2~3年で大幅に(高く)再評価されておかしくない」との見方を示す。

米ファクトセットの集計によると、足元のリライアンスの時価総額(米ドル換算)はインド株式市場で最大の1500億ドル(約16兆円)台で、2位のタタ・コンサルタンシー・サービシズの1.5倍以上に膨らんだ。新型コロナの感染拡大への懸念がくすぶり続けるインドで、リライアンス株の躍進が株式相場を支えている。

■インドルピーにも影響

リライアンスはインドの通貨ルピーも支えている。米国の金融緩和などであふれた資金がインドルピーに流れただけではない。ジオへの投資に伴う資金がルピー相場さえ押し上げた面がある。

ルピーの安定は中央銀行がルピーを売って米ドルを買い、外貨準備を積み増す余裕も生んだ。12日時点でインドの外貨準備高は5000億ドル台と過去最高の水準を記録した。

インドは新型コロナの感染拡大に歯止めがかかっていないにもかかわらず経済活動を再開し、財政赤字への不安から大手格付け会社が投資不適格な水準への格下げを視野に入れるなど悪材料にはこと欠かない。一方でコロナ禍はむしろ、インドのEC市場への楽観論を高めた。リライアンス株はデジタルビジネスの象徴として、そうしたインドの微妙な均衡状態の映し絵となっているようだ。(NQNシンガポール=村田菜々子)

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著者名

QUICK Money World 村田菜々子


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