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空調需要の追い風に乗るダイキン株、投資家ひき付けた「緊急施策」

ダイキン工業(6367)株の上昇が続いている。新型コロナウイルスの感染拡大を背景に家庭や事業所のエアコンなど空調機器を新設・更新する需要が拡大し、業績を押し上げるとの期待が高まっている。世界各地でも事情は同じで、各地の状況に合わせたきめ細かな製品開発や販売活動が奏功しそう。死角は「国内での注文集中による機会損失」ぐらいで、株価上昇は続くとの見方が多い。

■対コロナの経営施策が高評価

7月2日のダイキン株は前日比で一時145円(0.8%)高の1万7670円を付け、連日で上場来高値を更新した。利益確定目的の売りが出て下げに転じたものの、すかさず押し目買いが入り持ち直してほぼプラス圏を保っている。

※ダイキン工業の株価
※ダイキン工業の株価

5月に公表した2021年3月期の連結純利益予想は前期比41%減の1000億円。新型コロナの影響が9月までに収束することを前提とした数値だ。大幅減益計画となったが、同時に発表した新型コロナに対応するための経営施策が投資家の評価を集め、株価の支えとなった。

「当社の経営方針について」というシンプルな見出しの資料には、攻めと守り、体質改革に向けた91のテーマ、6つの緊急プロジェクトがずらりと並んだ。各種施策を実行し、固定費圧縮や業務効率化などを進める方針だ。「筋肉質となった経営にコロナ禍を受けた空調需要が加われば、来期(22年3月期)以降の業績拡大の期待が膨らむ」。投資家はそう読んだ。

証券会社による目標株価の引き上げも相次いでいる。SMBC日興証券の大内卓シニアアナリストらは6月26日付の投資家向けリポートで「新型コロナの対策をいち早く具体化しており安心感が大きい」と指摘。目標株価を1万8000円から2万円に引き上げた。

ゴールドマン・サックス証券も同月23日付で、強い買い推奨銘柄を集めた「コンビクション・リスト」にダイキンを新規採用し、目標株価を1万6000円から1万9000円に引き上げた。担当アナリストの諌山裕一郎氏らは、空気の質への意識の高まりがダイキンの業績の追い風となるとし、「グローバルトップの地位を一段と盤石にする公算が大きい」との見方を示す。

■「足元の株価は通過点」

ダイキンはこれまで12年の米グッドマン・グローバルの買収などを通じ、海外事業を強化してきた。さらに世界各地のニーズに合わせた商品を迅速に提供する「市場最寄化生産戦略」を推進。生産の分散化という一見、効率性とは逆行する戦略をとりながらも、20年3月期までの直近5年間の連結営業利益率は10%を超える高水準で推移している。

リブラ・インベストメンツの佐久間康郎代表は「消費者のニーズを的確にとらえた価格競争力のある製品を投入し続けており、売り方もうまい。日本の製造業では希少価値の高い企業だ」と評価する。「足元の株価は通過点にすぎないだろう。グローバルで成長が見込める日本企業少なく、投資家の資金が集中しやすい状況が続きそうだ」と話す。

■エアコン需要増の期待

一方、国内でも国民に1人10万円を配る「特別定額給付金」をもとにした消費の一部が空調機器に向かうことへの期待も広がる。家電量販店を展開するケーズホールディングス(8282)が7月1日に発表した6月の月次売上高でエアコンは前年同月比49.7%の大幅増と、すでにその兆候が見え始めている。

気象庁の3カ月予報も、7~9月は全国的に気温が平年より高くなる見込みだとしている。需要の強さゆえに「取り付け工事が今夏に間に合わず、消費者のエアコンの購入意欲を後退させる可能性もある」(外資系証券アナリスト)との見方さえ出るほどだ。

新型コロナの感染拡大で世界経済が再び大きな混乱に陥るシナリオも残っており、世界的にみてもこの先消費者心理が一気に冷え込むリスクが消えた訳ではない。それでもコロナ禍を受けた社会構造の変化が空調機器にもたらす需要は息の長いものになるとの期待は根強い。ダイキン株に上昇圧力を掛けるエネルギーとしてしばらくは作用しそうだ。〔日経QUICKニュース(NQN)長田善行〕

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日経QUICKニュース(NQN)長田善行

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