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レーザーテック株、「理想買い」は終了か 最先端装置の受注に陰り

半導体検査装置のレーザーテック(6920)が5日発表した2020年6月期連結決算は、市場の期待に届かない内容だった。市場では半導体微細化の加速を期待して株価は年初来で7割近く上昇した。長期的な成長シナリオは変わらないが、理想買いの局面は終了し、今後は現実との差を縮めるようにいったん下落に転じそうだ。

9日終値は前日比320円高の9410円。時価総額は8872億円と年初から3600億円増えた。

レーザーテックと日経平均

※レーザーテクと日経平均(2019年末を100にして指数化)

■受注に陰り

半導体の高性能化には回路の微細化が不可欠となる。半導体製造では回路パターンの設計図である「フォトマスク」に光を通し、シリコンウエハーに転写する。転写時の光の波長が短ければ短いほど細い回路を描ける。そこで注目されるのが従来より波長が短い「EUV(極端紫外線)」を使う製法だ。レーザーテクはEUV対応のフォトマスクやフォトマスクの原版となるガラス材料「マスクブランクス」の欠陥を検査する装置を手掛け、同分野では世界で高シェアを誇るニッチトップ企業だ。

台湾積体電路製造(TSMC)など半導体メーカーのEUV関連技術投資を追い風に、レーザーテクの20年6月期の売上高は前の期比48%増の425億円、純利益は同82%増の108億円とそれぞれ従来予想を上回り、過去最高を更新した。

問題は21年6月期だ。受注高見通しに陰りがみえる。半導体関連装置の受注高は前期比微減の700億円を見込む。20年6月期は前の期比88%増だった。レーザーテクは「EUV関連は伸びる計画だが、半導体の回路線幅が5ナノメートル(ナノは10億分の1)品の開発・生産で、EUVではない従来技術関連の需要が減る前提を置いた」(経営企画室)と説明する。

レーザーテクの業績予想

※会社の見通しは市場の期待値に届かなかった

だが、肝心のEUV関連も市場が期待したほど強くないようだ。レーザーテクのIR担当者は「5ナノよりも微細な3ナノメートル品の関連需要はまだ顕在化していない」と語る。市場参加者のなかには次世代半導体である3ナノ品に対応する需要が21年3月期に出るとの期待があったが、レーザーテクは端境期とみている。

■顧客は強気

東海東京調査センターの石野雅彦シニアアナリストは決算発表前に「受注の伸びが鈍れば株価の調整リスクがある」と話していた。今回の受注高見通しは市場の高い要求に届かず、利益確定売りが先行する可能性が高い。

顧客である半導体メーカーの強気姿勢には変化がないという。コロナ禍や景気減速を巡る不透明感は根強いが、レーザーテクは「先端半導体向けの設備投資意欲に変化はなく開発を急いでいる」(経営企画室)としている。

6月末時点の受注残高は900億円を超え、21年6月期の純利益は前期比16%増の125億円と連続で最高を更新する見込みだが、予想PER(株価収益率)は68倍に達する。QUICK・ファクトセットによればEUV関連の代表銘柄である蘭ASMLは35倍にとどまる。期待先行の株高にはブレーキがかかりそうだ。

レーザーテクの業績推移

※レーザーテクの業績推移(21年6月期は会社予想)

〔日経QUICKニュース(NQN) 田中俊行〕

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日経QUICKニュース(NQN) 田中 俊行

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