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コロナ禍で役割増す環境債と社会貢献債<HSBCリポート>

※マイケル・リドリー氏


HSBCグローバル・アセット・マネジメントのレスポンシブル・インベストメント(責任投資)部門でダイレクターを務めるマイケル・リドリーが、新型コロナウイルスの感染拡大が進む中でのグリーンボンドとソーシャルボンドの役割についてリポートします。


グリーンボンドは環境関連事業を使途とする債券だ。2019年のグリーンボンドの発行額は前年よりも大幅に増えた。2018年は382銘柄のグリーンボンドが発行されたが、2019年には479銘柄が企業や政府、金融機関から発行された。世界がパンデミックによる景気後退の脅威に直面している現在、環境問題やグリーンボンドに対する関心が急速に薄れることはないだろうか。当社では、その心配はないと考えている。

ウイルスとの戦いで各国が実施した対策の実際のコストはまだ把握されていないが、国会議員達が主要な環境プロジェクトに充当できる資金は、計画していた額より少なくなることは確かだろう。そこにはプロジェクトに資金を供給するグリーンボンドへのニーズが存在する。環境面および実務面の両方の観点からグリーンボンドは役割を果たすだろう。

グリーンボンドの利回りは、危機の間は市場全体の動きに沿って変動する傾向があり、グリーンボンド・ファンドの運用資産総額は大半のファンドより堅調に推移する傾向が見られた。いくつかの理由があるが、グリーンボンドの発行者は環境、規制、社会的問題に関係する困難な局面に直面しても、比較的、機敏に対応できると考えている。

2020年のグリーンボンドの発行額は前年をわずかに下回っているが、急増しているのが社会貢献事業を対象とするソーシャルボンドの発行額だ。多くの発行体が、新型コロナで打撃を受けた国や集団、企業などの支援にソーシャルボンドを選択したためである。3月26日にアフリカ開発銀行(AfDB)は、償還期限が2023年4月、利率0.75%のソーシャルボンドを30億米ドル発行した。調達資金は、アフリカ諸国の経済と国民の生活に対する新型コロナの影響を軽減するのに使われる。

※グリーンボンドとSSボンド

新型コロナが既に危機的な状態にあったいくつかの社会問題をさらに深刻にさせた。さらに、この危機は環境悪化が原因となっている可能性もある。環境問題と社会問題への注目度は高まりこそすれ、下がることはないだろう。

環境への影響の観点から、先進国市場で発行されたグリーンボンドより新興国市場で発行されたグリーンボンドを選好する投資家が多い。新興国のプロジェクトの方が、先進国より環境改善の効果が上回りやすいためだ。南アフリカに再生可能エネルギー発電所を建設する場合、石炭で発電されていた電力が再生可能エネルギーに代替される。例えばフランスに建設するよりもCO2(二酸化炭素)排出量の削減効果は大きくなる。フランスは化石燃料による発電の比率が低く、すでに「クリーン・グリッド」を実現しているためだ。

ただ、これはクリーン・グリッド達成国で発行されたグリーンボンドの購入を完全に停止すべきということではない。投資家が、これらの国のグリーンボンドによるリスク軽減機能の恩恵を受けることも考えられる。一方で新興国は信用リスク、規制リスク、市場リスクが高い。発行企業が直面するESG(環境、社会、ガバナンス)に関する分析が、こうしたリスクの軽減手段となる。

環境に最大の恩恵をもたらそうとするインパクト投資家は、脱炭素が世界でどのように根付いていくかを理解して、恩恵が最大となるように投資対象を選定するべきだ。欧州で見られたような発電の脱炭素化が世界的に広がると当社は予想する。同時に脱炭素化はセクター単位で広がっていく。ある国の発電が脱炭素化すると、輸送、建物、調理、暖房なども脱炭素化される。その場合、乗用車、バス、二輪車の動力源が石油から電力に代わり、暖房や調理の熱源はガスではなく電力になる。

新型コロナの影響で世界は「ニュー・ノーマル(新たな常態・常識)」という新たな状況に入った。さまざまな発行体が環境や社会問題を解決しようとグリーンボンドとソーシャルボンドを発行していくと当社は予想している。インパクト投資家が求めている重要かつ魅力的な投資機会がこれほど多く存在したことは、いまだかつてなかった。

グリーンボンドへの投資は短期間で環境に影響をもたらすだけでなく、長期的にはパフォーマンスが他の債券を上回る期待もある。つまりグリーンボンドへの投資は短期的には環境問題の改善、長期的には良好な投資リターンという2つの果実を期待できるだろう。


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