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ミセス・ワタナベの味方になるか FXリピート系注文を検証(IPリポート VOL.37)

最終更新 2020/9/11 15:30 国内 FX 注目銘柄 特許 知財 IP最前線

FX(外国為替証拠金)取引で個人投資家の利用が広がっているリピート系注文サービスの効果を検証した。これは相場の範囲を定め、条件に従って取引を繰り返す自動取引のシステムである。

検証したのは2017年4月から20年7月末までのドル円相場だ。レンジを1ドル=105.00~115.00円、この範囲内で0.4円幅ごとにドルを買い、それぞれ0.5円の利益が出たら売る設定とした。

検証は比較対象があった方が分かりやすいため、参考までに①通常の外貨預金、②東京市場の開始時にドルを買い終値で売るスポット取引、という2つのパターンも試算した。その結果を示すのが次のグラフになる。リピート系注文サービスの方が相対的に大きなリターンを得られた。

■リピート系注文、外貨保有、スポット取引の運用実績

 

出所:QUICKデータ等を基に正林国際特許商標事務所作成

その要因は2つ考えられる。一つは、細かな利益を狙った複数の注文を設定することで少ない変動幅でも効率的に利益を確保できることだ。いわば、相場の動きを線としてではなく、面としてとらえ、収益機会の最大化を図っている。

もう一つが時間だ。収益機会を増やすには取引時間をできるだけ伸ばす方が有利となる。FXは24時間取引されているが、個人がすべての時間、相場を見続けることは不可能だ。リピート系サービスという自動売買の活用で、投資家が相場に張り付いていない時間帯でも取引できる。これが運用実績を高めている。

リピート系の注文システムはFX取引会社のマネースクエアが2007年7月にいち早く導入した。こうした利便性が評価され、現在では多くのFX企業が導入している。

■リピート系注文サービス導入の広がり

出所:正林国際特許商標事務所作成 (2020年8月末時点)

ただ、FX取引にはもちろんリスクがある。リピート系のサービスのレンジ設定は、取引順序をあらかじめ決める必要がある。「買って売る」あるいは「売って買う」のいずれかを決定し、レンジごとの取引順序の変更はできない。今回のテストでは取引順位を「買って売る」に設定したため、急激な円高局面では評価損が次々と発生する事になった。

リピート系の取引は、為替相場が一定のレンジで一進一退する時に収益を増やす有効な手段だ。相場が大きく動く時には評価損を拡大させるケースがある。こうした時にロスカットが発生しないよう、きめ細かな取引方針の見直しと余裕をもった証拠金の拠出が望ましい。

マネースクエアを例にとると、顧客の84.3%がリピート系サービスの「トラリピ」を活用している。顧客の取引期間をみると5年以上が全体の6割で、比較的、長期の取引関係を築けている。取引実績を見るとドル円への過度な傾斜がみられず、FX取引のリスク分散につながっているようだ。

マネースクエアは知的財産の側面からも興味深い。特許出願件数がFX業界の中で突出して多いからだ。

■FX取引関連特許の出願件数比較

出所:正林国際特許商標事務所作成

課題は特許の実効性だが、類似サービスを提供した外為オンラインに対する特許侵害訴訟で2019年10月にマネースクエアが勝訴し2020年7月に当該案件に対する損害賠償請求を提起したことで、特許の実効性は向上した。以前の原稿でも紹介したが、マネースクエアは今後、特許を侵害している他社に対し適切な権利保護を主張していくと思われる。FX各社が知財を尊重しながらサービス開発にしのぎを削り、業界が発展していくことが望ましい。(2020年9月10日)

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日本知財総合研究所 (三浦毅司 takashi.miura@jipri.com 電話080-1335-9189)

著者名

日本知財総合研究所 三浦 毅司

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