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菅新総裁への期待と評価①、デジタル・地銀・観光・携帯・農業・不妊・待機児童・・・多岐にわたる政策テーマ

9月14日に行われた自民党総裁選挙で菅義偉官房長官が535票中377票を獲得し、7割以上の票を獲得して次期総裁に選出された。菅総裁は16日に召集が予定される臨時国会での首相指名選挙で次期首相に就任する予定で、直後に閣僚人事が発表されて菅新政権が発足する見通しだ。ストラテジストなどが相次いで今後の見通しを示している。

■インターネットにポジティブも中立の見方が多い=UBS証券

UBS証券は14日付のリポートで、菅新政権の発足を踏まえ、同社の株式アナリストが政権交代による影響をどうみているかを明らかにした。セクターアナリストの見方は中立が多かったといい、全15セクターのうち12セクターは中立だった。ポジティブとの回答があったセクターは「インターネット」だけで、通信、小売がネガティブとなった。

安倍政権による政策の効果はポジティブが多かったというが、「主因は円高是正だった」とのこと。以下は全体ならびに、各セクターに対するアナリストの見解の概要。

セクター 見解 概要
全体 中立 アベノミクス継続で新しい政策路線が示された訳ではないから。
自動車・自動車部品 中立 外交面で安部政権とあまり差がなさそうで外需環境が変化することはなさそうだから。首相交代による自動車関連税制変更の方向性は見えない。
産エレ・民エレ・半導体製造装置 中立 基本的には政府方針に大きな変化が出なさそうなため。目下の注目点は、米中関係の行方であろう。菅氏が安倍・トランプ間のような関係を構築できるかは不明。
機械 中立 機械関連企業の業績を左右しやすい為替変動、補助金に関連する政策が出ない限り、セクターインパクトは大きく無いだろう。
電子部品 中立 為替市場への影響が限定的と予想され、電子部品企業の売上高の大半は外需向けであるため政権交代に起因する事業環境の変化は限定的と推察される。
食品 中立 短期的には、政権交代による大きな政策変更影響がないという前提に立てば、インパクトは中立。消費税の増減税もすぐに動きは出ないとみれるが、食品は(アルコール・たばこ・外食を除き)軽減税率(8%)が適用されている。
ヘルスケア 中立 為替市場への影響は限定的、外交面では安倍政権とあまり差がなさそうで外需環境が変化することはなさそうだから。
運輸 中立 「人の移動を伴わない商慣行、労働慣行の定着」という構造問題は、政権が変わっても変わりそうにないから。
通信 ネガティブ 株価は既に下落しているが、今後携帯電話料金への値下げプレッシャーが一段と強まる中で、当面、株価の懸念材料となる可能性が高い。
不動産 中立 金融(不動産全般)、地方分散(オフィス、都心店舗)、働き方・テレワーク(オフィス、都心店舗)、観光(ホテル)それぞれの政策においてあまり安倍政権と変わらないだろう(カッコ内は不動産内の該当箇所)。
化粧品トイレタリー 中立 化粧品において、インバウンド需要減、外出自粛による日本人需要減の影響、また日用品では、巣ごもり品の需要増の影響を受けている。政権交代による環境変化は限定的とみる。
小売 中立 大きな路線変更はなさそう。
小売 (調剤・ドラッグストア) ネガティブ 新政権が膨張する医療費(技術料・薬価)の抑制圧力を強めることで、調剤薬局および調剤併設型のドラッグストアの収益性に影響を及ぼす可能性がある。
インターネット ポジティブ 現状の施策が維持されることでインターネットセクターへのビジネスチャンスが拡大されると考えるから。
ゲーム 中立 為替による影響は懸念点ではあるが、ビジネスモデルの根幹を揺るがすような変化は発生しないと考えるから。
小型 中立 政策に大幅な変更は想定されず。コロナ感染、グローバル景気、金融政策がより重要。

■注目政策はデジタル庁新設、地銀再編、観光支援など=大和証券

大和証券は14日付のリポートで、菅新政権発足に伴う日本株への影響を分析した。リポートでは「菅新政権の注目政策は、デジタル庁新設、地銀再編、観光支援、携帯通信料引下げなどである」としながら、「新政権発足時の高支持率を活かし10月衆院解散総選挙の可能性」とも指摘した。

以下はリポートの概要。

  1. 菅官房長官は、ふるさと納税やビザ要件緩和によるインバウンド需要創出などの政策実現に大きく貢献した実績があり、政策実現力に期待できる。規制改革による需要創出から中長期的に日本株にポジティブな影響を与えると考えている。
     
  2. デジタル庁新設、地銀再編、観光支援などに注目:これまでの菅官房長官の記者会見や自民党候補者討論会での発言などから菅新政権では、①デジタル庁新設、②地銀再編、③観光支援、④携帯通信料引下げといった政策が注目される。このほか、農業改革(農作物の輸出促進、6次産業化など)、不妊治療への支援拡大、待機児童問題解消といった面でも政策実現力の発揮が期待される。
     
  3. 金融政策に関して、「黒田日銀総裁の手腕を大変、評価している」と発言したと報道されている。黒田日銀総裁の任期は2023年4月までだが、菅政権が続いていれば、菅新総理が黒田総裁の後任選びに大きな影響力を持つと考えられる。リフレ政策の継続性が担保されるような人物を選ぶ可能性が高いだろう。
     
  4. 10月にも解散総選挙の可能性。コロナ感染が深刻な状況になっていないという条件の下であるが、①新政権発足直後は高支持率が期待されること、②選挙時期が早期であるほど野党の選挙準備が進まず与党に有利であること、③連立相手の公明党が2021年の東京都議選と衆院選が重なるのを望んでいないこと――から、菅新総理は9月又は10月に衆院解散総選挙に踏み切ると予想している。 

QUICK Market Eyes  片平正二)

<金融用語>

リフレ政策とは

不況下で生産活動が停滞しているときに、インフレ(景気過熱)を避けながら、金利の引き下げや財政支出の拡大によって景気を刺激し、景気回復をはかろうとすること。

著者名

QUICK Market Eyes 片平 正二

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