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パーク24が大幅安 「近場の移動」回復も、課題は海外に

16日の東京株式市場でパーク24(4666)が大幅に反落した。前日発表した2019年11月~20年7月期決算で連結最終損益が122億円の赤字になったことが要因だ。鉄道や航空と比べ、クルマの移動は新型コロナウイルスの感染拡大による落ち込みからの回復が早く、国内だけであれば回復はもっと早いはずだ。ただ、縮小する国内市場を打破するために展開する海外事業が足を引っ張る構図に直面している。

駐車場

■クルマの移動は回復傾向だが…

観光刺激策「Go To トラベル」に東京都発着を含めることが決まったり、東京都内の飲食店に営業時間を午後10時までとする要請が15日に解除されたりするなど、行動自粛は解除の方向に向かいつつある。

なかでもクルマの移動の回復はすでに起こっている。国土交通省が公表している高速道路の交通量の推移をみると、首都高速や阪神高速は回復基調にある。交通量は4月に一時、それぞれ前年比6割まで落ち込んだものの、足元では9割前後の水準まで戻している。人々の移動需要を巡っては、コロナの感染拡大がいったん収束に向かいつつあるなか「以前の水準には届かないものの、緩やかな回復が続いている」(松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリスト)との見方が多い。JR東日本(9020)とJR西日本(9021)で新幹線が大半を占める中長距離券が前年比7~8割減の状況が続く電車移動とは対照的だ。

パーク24も国内駐車場事業は回復基調にある。カーシェア事業も近距離の観光需要を背景に成長し、7月の売上高は前年同月の水準を上回った。

だが業績への恩恵は乏しい。営業損益は118億円の赤字(前年同期は146億円の黒字)だった。営業段階から厳しい収益環境となっている。同社株は16日の東京市場で一時、前日比6.9%安まで下落する場面があった。

■業績悪化の理由は「海外事業」

業績が振るわず株式市場からの評価も厳しいワケは海外事業にある。英国やオーストラリアでの強制力を伴うロックダウンの影響を受け、85億円の営業赤字となり業績を下押しした。

パーク24は17年にオーストラリアと英国など4カ国で、M&A(合併・買収)を実施。海外事業は19年度まで2年連続の営業赤字を計上していた。今期から現地の駐車場開発を加速し21年度の黒字化を目指していたが、コロナによる移動制限などの打撃を受けた。17年に日本政策投資銀行と共同で約460億円で買収した英駐車場最大手のナショナル・カー・パークス(NCP)では、足元で74億円の営業赤字を計上している。

海外事業の不調はのれんの減損を連想させる。20年7月末時点ののれんは357億円で、その大半が過去に買収した海外企業によるものとみられ、今後の業績の見通し次第では多額の減損損失を計上する可能性もある。足元ではコロナの感染再拡大を受け英国で集会の制限などが実施されているほか、オーストラリアはメルボルンがあるビクトリア州などの大都市でのロックダウンを9月末まで延長するとしている。

パーク24の自己資本は642億円で、「仮に減損損失を計上するとしても自己資本を大きく毀損する規模になるかは見通せないが、冬にかけて一段とコロナの感染拡大に警戒感が高まる可能性もあり、リスクは軽視できない」(ミョウジョウ・アセット・マネジメントの菊池真代表取締役)との見方もある。

■国内中心の同業は相対的に堅調

同業の日本駐車場開発(2353)は20年7月期の連結純利益は12億円と前期比57%減だった。同社も中国や韓国、タイなどに展開しており、海外事業の減速の影響は少なからず受けている。株価も横ばいが続く。一方、国内が主流のトラストホールディングス(3286)は緩やかな上昇基調にある。海外動向に振らされないことで足元では株価が下支えされている。

駐車場3社

※昨年末を100とした駐車場3社の株価推移。海外事業が業績の重荷となるパーク24の株価は低迷している。

長期的に見れば駐車場という内需産業でも海外市場を取り込んでいくことが求められるかもしれない。ただ、どう海外事業に向き合っていくかには難題も多い。多額の減損処理を迫られるリスクを負いながらも将来の成長の可能性を探る――。コロナ禍が突きつけた、日本企業に共通した課題ではないだろうか。〔日経QUICKニュース(NQN) 寺沢維洋〕

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日経QUICKニュース(NQN) 寺沢 維洋

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