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9月の株主優待、好調マザーズ銘柄を点検 新型コロナで株価急伸組も

9月末の権利付き最終売買日が接近している。連休が控えているため、権利確定までに残されている日数は意外と少ないが、対象銘柄は419社と多い。例年人気の日本航空(9201、JAL)やANAホールディングス(9202)、オリエンタルランド(4661、OLC)は、新型コロナウイルス感染症の影響が大きく、株主優待の利用機会はもとより、収益水準の回復が見通せない状況が続いてきた。ただ、政府の観光需要喚起策「GoToトラベル」キャンペーンに東京都が10月から加わることや感染者数の増加に一服感が広がり、株価にも底入れ感が出てきた。優待狙いで長期保有を検討する好機ともなりそうだ。

■マザーズ銘柄は影響が限られる

安倍政権の承継を掲げる菅政権の誕生で、ひとまず国内の政治イベントは無難に通過したこともあり、新型コロナ後の回復にマーケットの目は向かいやすくなっている。象徴的なのが東証マザーズ指数の上昇だ。足元は約2年半ぶりの高値圏にある。個人の投資意欲が高いことはもとより、国内中心でサービスを展開する企業が多いため、事業環境の回復度合いが見極めやすいことも買い安心感につながっているようだ。大型の外需企業は11月に米大統領選を控える中でまだ懸念材料もくすぶるが、マザーズ銘柄は影響が限られる公算が大きい。

なお、マザーズ銘柄に限ってみると、14社が9月末を基準日に株主優待を実施している(図1)。

※図1:マザーズ上場で優待を実施している銘柄
※図1:マザーズ上場で優待を実施している銘柄

■新型コロナ後の銘柄間の差が大きい

新興企業の場合は成長投資を優先するため配当を実施していない企業も多いが、個人株主の獲得や自社サービスの認知度を上げるために優待制度は導入していることもある。例えば優待利回りで首位の結婚相談所のパートナーエージェント(6181)は入会時の登録料が無料になるほか、パーティー参加券、格安結婚式「スマ婚」や結婚式の二次会代行サービス「2次会くん」の割引券など自社サービスのサービス利用につながる内容が豊富に組み込まれている。

「シックスパッド」で知られるMTG(7806)の優待は100株以上500株未満の場合は5000円~6000円前後の自社製品の選択だが、500株以上を保有する場合は税込み2万9480円の美容器具「リファカラットレイ」と化粧品(同4968円相当)のセット、トレーニング用品「シックスパッド フットフィット」(同4万480円相当)など6つから選ぶことができる。コロナ太りや運動不足を感じている人には魅力的な優待となるかもしれない。

マザーズ銘柄の魅力は業種が多岐にわたる点もある。それゆえに株価の値動きを見ると、新型コロナ後の銘柄間の差が大きい(図2)。

※図2:新型コロナ後の値動きは明暗が鮮明
※図2:新型コロナ後の値動きは明暗が鮮明

アパレルや居酒屋、飲食チェーンなどは3月以降、株価が低迷している。一方、この間に「巣ごもり」特需などを手掛かりに株価が大きく伸びた銘柄も多い。上昇率首位のケアネット(2150)は新型コロナの影響で製薬会社が訪問営業活動を自粛したことで、インターネットを活用した情報発信のニーズが増え、2020年1~6月期の営業利益が前年同期比94%増の4億6100万円に拡大した。

製菓材料通販のcotta(3359)は在宅時間が増えたことで、菓子作りやパン作りに挑戦する人たちを取り込み、4~6月期の連結営業利益は前年同期比5.8倍と急拡大した。新日本製薬(4931)やMTGは外出自粛の中で「お家ケア」のニーズにマッチしたとみられる。新日本製薬は今期営業増益見通しで、MTGは最終損益がトントンまで縮小する見込みだ。

また、8月以降で見れば居酒屋チェーンの海帆(3133)も2割弱上昇しており、苦戦を強いられた企業も株価は底入れ感が出つつある。

とはいえ、打診買いのチャンスとなる可能性は高まる一方、まだ業況は予断を許さないことも事実だ。9月には人気のすかいらーくホールディングス(3197)が優待減額を決め、株価が大幅安となったことが記憶に新しい(図3)。

※図3:9月に入って優待の変更・新設・休止を発表した主な企業
※図3:9月に入って優待の変更・新設・休止を発表した主な企業

従来から株主数の増加に伴って優待が売り上げ好調時でも業績の負担になっていたため「やむなし」との印象はあるものの、300株以上を保有する株主は実質的に半額以上の減額となるため失望感は大きい。優待狙いの個人の保有比率が高い銘柄の場合、廃止のインパクトは多くなりがちなことは注意したい。QUICK Market Eyes  弓ちあき)

<金融用語>

東証マザーズとは

Mothers(Market of the high-growth and emerging stocks )の頭文字から高い成長、拡大が期待される事業や新たな技術・発想に基づく事業を行う高い成長可能性を秘めた企業に資金調達の機会を与えるとともに、投資家に新たな投資物件を提供することを目的に、1999年11月に東証において創設された市場。 設立後経過年数や利益に関する基準を設けないなど、上場基準が大幅に緩和されたことからアーリーステージの企業の上場も可能となっており、申請から上場までの期間短縮が進められた事とあわせて、上場の迅速化が図られている。

著者名

QUICK Market Eyes 弓 ちあき

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