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東証REIT指数の上昇余地はわずか4%? コロナ後の世界厳しく

REIT指数

※東証REIT指数の推移

QUICK Market Eyes 川口 究】東証REIT指数がもみ合いを続けている。コロナショックにより急落した後の戻りは鋭角的だったが、一巡したあとは相場に方向感が出ないままだ。ここにきてREITの担当アナリストから示される見通しがシビアさを増している。今後の上値として1800が1つの節として意識されそう。足元の指数の水準から見れば上値余地はわずか4%しかない。

■21年末の見通しは前年末比横ばいの1800ポイント=みずほ証

みずほ証券は10月1日付リポートで、20年末の東証REIT指数見通しを1800ポイントに据え置き、21年末の見通しを新たに前年末比横ばいの1800ポイントとした。

J-REIT(不動産投資信託)は今年3月に新型コロナウイルスの影響で急落したが、その後は緩やかな持ち直しの流れにある。「今年度中は更なるリバウンドが主導する形で東証REIT指数は1800ポイントに向けて緩やかな上昇トレンドが続くだろう」との見方を示した。一方、「21年には市場の原動力はリバウンドからファンダメンタルズに移行すると考える」と指摘。「不動産市況の調整がREITの収益に影響を与えるのは21年以降と考えられ、21年は業績変化が顕在化する中で一進一退で横ばいの展開」を予想している。

■目標レンジ50ポイント引き上げ=野村

野村証券は9月18日付リポートで、「株式市場で総じて新型コロナ禍でも成長を続けられるビジネスモデルを持つ企業が評価される傾向にあるが、不動産賃貸事業を手掛けるJ-REITはそれに該当しにくい」と指摘。その一方で「各社が最近公表している業績予想の内容は、市場参加者の事前の警戒ほどに厳しいものでなかったと受け止められ、幾らか警戒感を後退させ安心感をもたらしていると考えられる」との見方を示した。

J-REITのバリュエーションは過去対比で割安な水準にあり、今後も業績に対する警戒感の後退に繋がる内容の業績予想公表が続けば、J-REIT相場の上昇を期待できるほか、出遅れが修正される局面で一層上昇し易くなると期待されるとして、今後2カ月間の目安として、東証REIT指数の想定レンジを従来の1550~1800ポイントから1600~1850ポイントへ引き上げた。

また銀行の不動産業向け貸出姿勢の厳格化を警戒する見方もあるが、今のところホテルREITの借入金調達期間の短期化こそ見られるものの、セクター全体が信用収縮に陥りそうな兆候見られないという。こうした点も、今後各社業績予想の内容が引き続き市場参加者に安心感をもたらすものとなれば、J-REIT相場の上昇を後押しするみている。

今回サブセクターの投資優先順位は、物流施設、複合型・総合型、住宅、中小規模オフィス、大型オフィス、商業施設、ホテルの順とした。

■1700台半ばでは利益確定売りも個人の買いニーズは強い=SMBC日興

SMBC日興証券の鳥井裕史シニアアナリストは1日付リポートで、9月の日本の上場不動産投資信託(J-REIT)相場について、「前半は8月に相次ぎ発表された公募増資に伴う換金売りで需給的に軟調な展開となった。一方、半ばにかけてJ-REITがFTSEグローバル株指数に算入されることで実需・期待資金が流入して堅調に推移した。9月末にかけては地域金融機関等からの利益確定売りも散見された」と振り返った。

また、9月末時点のJ-REIT特化型投信の純資産残高は3兆9378億円と、8月末から1.2%減少したと推計。REIT-ETFについても、同月における純資金流入額はマイナス24億円となり、7~8月の資金流入から一転資金流出超過となったとも指摘した。東証REIT指数が1700台半ばの水準では、「中間決算対策を含め利益確定売りが散見された」との見方が示されている。それでも、ETFを除いたJ-REIT特化型投信へは214億円の資金流入超過となったものと推察し、「同投信に関して、4月以降は一貫して資金流入が継続しており、個人投資家からの買いニーズは強い」との見方も示されている。

■8月の東京都の転出者数は16.7%増、運輸・不動産業界に与える影響=モルガン

総務省が9月29日に発表した住民基本台帳人口移動報告によると、8月の東京都の転出者数は3万2038人となり前年同月比16.7%増えた。モルガン・スタンレーMUFG証券は29日付リポートで、7月と8月の月次データは、東京都の転出者数が47都道府県で最も多く、7月は2522名、8月は4514名の転出になったという。これは07年4月以降の月次データでは、8月の転出者数は最大規模であり、東日本震災が発生した当時を上回る規模だった。転入者数が増加基調なのは、北海道、沖縄県、九州エリア、大阪府などで、こうした状況について「新型コロナの感染拡大を受け、感染リスクのない東京を避け地方へ移住、テレワークの進展、単身赴任制度の見直しなどが、背景にある」との見方を示した。

このまま東京圏(東京、千葉、埼玉、神奈川)からの人口転出が中期的に継続する場合は、「東京圏を事業基盤とする鉄道会社の在来線には相対的にネガティブ材料となろう」と指摘した。一方、「大阪府や福岡県への人口流入が中期的に継続する場合には、大阪圏の鉄道会社・JR九州の在来線には相対的にポジティブ材料になりうる」とみている。

東京からの人口転出は、潜在的に東京都に立地するオフィス、住宅などの需要減に繋がり、「大手不動産デベロッパーやオフィスREITが保有するオフィスの殆どが東京都に立地しているほか、住宅REITの保有不動産も東京都内に集中している点を踏まえれば、東京からの人口転出が続く場合、これらの銘柄において先行き不透明感が意識されやすい」との見解を示した。

■E・Sスコアは企業価値を高める、ESGスコアが高いほど事後リターンは低い=大和

大和証券は9月30日付クオンツ・リポートで、J-REIT(不動産投資信託)についてESG(環境・社会・企業統治)スコアの水準とパフォーマンスに関する検証を行った。

ESGスコアと企業価値の関係では、企業価値の代理変数として「ドービンのQ(時価総額÷資本再取得価格)を用いて検証した。結果としては、ESGスコアは企業価値を引き上げる傾向が見られた。また、Eスコア、Sスコアは企業価 を引き上げる一方で、Gスコアは引き下げる傾向が見られた。「米国 REITにおいては、ESGスコアと企業価値には正の関係があると報告されている先行研究は多く、結果は概ね合致していた」という。

ESGスコアと事後リターンの関係については、分位ポートフォリオによる分析を行った。運用スタイルによりスコアの水準が大きく異なるため、運用スタイル毎に標準化したESGスコアによる検証を行い、結果として「ESGスコアが高い銘柄ほど事後リターンが低い傾向が見られた」という。また「運用スタイル別にESGスコアと事後リターンの関係を検証した結果では、2018年以降、住宅および総合ではESGスコアが高い銘柄ほど事後リターンが高い傾向が確認された」と指摘した。

著者名

QUICK Market Eyes 川口 究

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