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「PCFR」はどう使う?目安、計算方法、PERとの違いは?銘柄ランキングも紹介

(初回公開日:2020年10月22日10:30)

株式相場は幾度となく急落を経験してきました。最近では、新型コロナウィルスの影響による株価急落がありましたが、どんなショックでもいつか株価は下げ止まり、反発します。そこで問題になるのが、どこまで株価が下がれば買いなのか・・・。その判断をするために使うものが投資指標です。今回は、株価の割高、割安を判断する投資指標の一つであるPCFRについて紹介します。 

■PCFRとは

PCFRとはPrice Cash Flow Ratioの略語で、日本語では「株価キャッシュフロー倍率」と呼びます。企業の株価が割高か割安かを示す指標で、特に現金の流れに着目してその企業の価値を判断するものです。株価が1株当たりキャッシュフロー(CF)の何倍まで買われているかを表します。

    計算式 PCFR=株価÷1株当たりキャッシュフロー 

【1株当たりキャッシュフロー=(当期純利益+減価償却費)÷発行済株式数】

キャッシュフローは、簡便的に当期純利益に現金の流れを伴わない会計上の費用の減価償却費を足した値を使って計算することが多いです。1株当たりキャッシュフローは(当期純利益+減価償却費)÷発行済株式数で計算します。時価総額を使って計算する場合は、時価総額÷キャッシュフローになります。1株当たりで計算するか全体で計算するかの違いだけで、計算結果は同じになります。

PCFRの計算は、当期純利益+減価償却費のキャッシュフローを使う他に、営業キャッシュフローの数字を使って計算することもできます。企業が発表する決算書の財務諸表は、貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)、キャッシュフロー(CF)計算書の3種類あります。PCFRの計算には、キャッシュフロー計算書の数字を使います。キャッシュフローとは、「お金の流れ」のことです。キャッシュフロー計算書は、「営業キャッシュフロー」、「投資キャッシュフロー」、「財務キャッシュフロー」の3つがありますが、PCFRは本業に関わるお金の流れを示した「営業キャッシュフロー」を使って計算します。

PCFRの計算に営業キャッシュフローの数字を使う理由は、減価償却費の影響を排除したいためです。減価償却費とは簡単に言うと設備投資の費用です。詳細については後述しますが、設備投資を積極的に行っている企業とそうでない企業では減価償却費に差がでてきて、当期純利益に与える影響が異なってきます。また、減価償却は、国によって会計制度が異なるので、減価償却の影響を排除した指標であるPCFRは、国際企業同士の比較などでも活用されています。

簡便的なキャッシュフローを用いて計算するPCFRも、当期純利益に現金の流れを伴わない会計上の費用の減価償却費を足し戻すことで減価償却費の影響を排除していることになります。なお、簡便的なキャッシュフローと営業キャッシュフローでは、数字は異なってきますが、減価償却費の影響を排除する目的として両者の意味合いは同じです。

株価の割安や割高を判断する投資指標には、いろいろな種類があります。有名なものではPER(株価収益率)があります。ネット証券などの個別銘柄の株価ページに表示されているので目にしたことがあると思います。これもPCFRと同じように株価が割高、割安を判断するための指標です。

■キャッシュフローと純利益の違い、PCFRとPERの違いとは

PCFRとPERはどちらも「利益」に着目しているという点では似ている投資指標といえます。PCFRはキャッシュフロー計算書の中にある営業活動のキャッシュフロー、つまり、その企業の本業による営業活動で入ってくるお金から本業の営業活動で使ったお金を引いた「収支」をベースに考えています。一方、PERは損益計算書にでてくる「当期純利益」をベースに考えています。

しかし、両者の「利益」の考え方は違うものです。一番大きな考え方の違いは設備投資の費用である減価償却費の取り扱いになります。PCFRは、営業キャッシュフローをベースに考えているので設備投資の費用は反映されません。あくまで本業の営業活動だけでどれだけ儲かったのかに着目しています。ちなみにキャッシュフロー計算書では、設備投資は投資キャッシュフローに含みます。

一方、PERは設備投資の費用を踏まえたうえでの利益をベースにしています。会社の売上高から設備投資の費用などを差し引いた最終的な当期純利益に着目しています。

PCFRとPERの違いは例えばこんな場合にでてきます。一般的に売上高が好調な場合、企業は次なる成長のために新しい工場建設など設備投資をします。設備投資をした場合、売上高からその費用を差し引くので当期純利益は小さくなります。しかし、当期純利益が少ないからといって業績が悪いわけではありません。足元の売上高は好調なうえ、積極的な設備投資によって今後も成長が続く可能性が高いといえます。設備投資の費用の取り扱いの違いで損益計算書の当期純利益は少なく、キャッシュフロー計算書の営業キャッシュフローは大きくなります。こういった場合、当期純利益をベースに考えるPERだけを見ていると、成長可能性がある企業を見落としてしまうことがあるので、PCFRも合わせて見ていく必要があります。

また、PERは企業同士を必ずしも同じ条件で比較ができない場合があり、同じ条件で比較したい時にPCFRが役立ちます。設備投資の費用を会計用語では「減価償却費」と呼びます。設備投資は多額なため減価償却費を一度に全額差し引いてしまうとその年の利益に与える影響が大きすぎます。影響を分散するため、設備の耐用年数などによって分割して費用計上することが会計ルールで決まっています。企業によって設備投資の規模や内容は異なるので、減価償却費の額も異なります。また、使っている会計制度の違いも影響するので、減価償却費が絡むと同じ条件で企業同士を比較することが難しくなります。減価償却費を省いた本業だけで企業同士を比較したい場合はPCFRが必要になります。

投資には様々な情報が必要です。先に説明した様に企業は3種類の財務諸表を発表しており、どれもその企業を表すのに必要な財務諸表になります。どれか一つだけあればその企業が分かるわけではなく、3つそれぞれがその企業を表し総合して企業全体が分かるといえます。同じ様にPCFRやPERなどの投資指標も一つだけでその企業の割高、割安が分かるわけではなく、それぞれの指標がいろいろな視点からその会社の割高、割安を表しています。一つの投資指標だけでその企業が分析できるほど株式投資は単純ではありません。投資をする時は、様々な投資指標を見比べて総合的に判断する必要があります。

■PCFRの計算方法、意味、使い方

PCFRの計算式は、PCFR=株価÷1株当たりキャッシュフローです。 

仮にPCFRが20と計算された場合、それはその企業の本業から生み出すお金の20倍まで買われているということになります。言い換えると、本業の利益の20年分の価値まで買われているといえます。

イメージしやすいようにマンション購入に例えてみましょう。例えば1億円のマンションを購入したとします。自分の収入が年間1千万円でそれを全額返済にあてたとします。金利など細かいことは省きます。1億円÷1千万円=10となり、10年でローンを払い終わることになります。このマンションは自分の収入の10倍の価値があるともいえます。

これと同じように考えればいいのです。PCFRは時価総額÷営業キャッシュフローです。時価総額は企業全体を買う場合にかかるお金、先ほどの例だとマンションの額1億円です。営業キャッシュフローは1年間のその企業の本業で入ってくるお金、先ほどの例だと1千万円です。その企業は本業の儲けの何年分で買えるのか、つまり何倍の価値があるのか。PCFRの計算結果は年数ともとらえられます。

PCFRは数字が低いほど割安といえます。PCFR20倍と10倍であれば、10倍の方が割安です。10年でローンを払い終わる物件か20年かかるか物件か。10年の物件の方が割安といえますので、PCFRは数字が小さいほど割安なのです。

PCFRは何倍からが割高、何倍からが割安といった具体的な基準はありません。割高か割安の判断は、市場平均、同業他社や過去の事例との比較からします。ちなみに、2022年10月末の日経平均株価に採用されている225銘柄のデータを利用して計算した平均PCFRは7.9倍、東証プライム全体の平均9.0倍となっていますのでこれを目安に考えるのも一つです。

PCFRが低い銘柄では、10月末時点の実績ベースで日本郵政(6178)0.7倍、日本板硝子(5202)1.08倍、オリックス(8591)2.29倍などがあります。ただ、PCFRが割安でも、他の投資指標と比較し、ニュースや業績動向を確認しながら、その銘柄がなぜ割安な状態にあるか理由を調べることが大切です。

低PCFRランキング 順位 高PCFRランキング
コード 銘柄名 PCFR コード 銘柄名 PCFR
6178 日本郵政 0.705 1 4568 第一三共 63.9
5202 板硝子 1.08 2 5703 日軽金HD 60.461
3863 日本紙 1.371 3 2413 エムスリー 56.544
5406 神戸鋼 1.416 4 1721 コムシスHD 55.848
4755 楽天グループ 1.805 5 6594 日電産 49.717
9501 東電HD 1.904 6 9022 JR東海 46.37
7201 日産自 2.132 7 6861 キーエンス 46.196
8591 オリックス 2.29 8 9502 中部電 42.186
9503 関西電 2.427 9 8252 丸井G 41.535
9101 郵船 2.643 10 5711 三菱マ 36.515
5411 JFE 2.647 11 8015 豊田通商 32.459
9107 川崎汽 2.696 12 6954 ファナック 29.599
4188 三菱ケミG 2.729 13 2801 キッコマン 29.488
5706 三井金 2.805 14 7951 ヤマハ 26.309
7012 川重 2.851 15 6326 クボタ 26.3
3401 帝人 2.861 16 6367 ダイキン 26.137
5401 日本製鉄 3.033 17 7741 HOYA 25.896
5201 AGC 3.119 18 6273 SMC 24.115
7261 マツダ 3.247 19 7974 任天堂 23.903
5233 太平洋セメ 3.288 20 4543 テルモ 23.804
4004 昭電工 3.335 21 7733 オリンパス 23.081
5214 日電硝 3.346 22 1963 日揮HD 22.857
7205 日野自 3.362 23 9009 京成 22.737
7267 ホンダ 3.365 24 1812 鹿島 22.55
9984 SBG 3.371 25 9008 京王 22.324
9104 商船三井 3.405 26 4021 日産化 22.174
3861 王子HD 3.56 27 4523 エーザイ 21.541
7013 IHI 4.313 28 4151 協和キリン 21.518
3405 クラレ 4.322 29 8035 東エレク 21.426
1605 INPEX 4.531 30 6506 安川電 21.374

※対象は日経平均株価の採用銘柄、PCFRは10月末時点の実績

■まとめ

PCFRは、企業の株価が割高か割安かを示す投資指標で、株価が1株当たりキャッシュフローの何倍まで買われているか表します。PCFRは信頼度が高い指標ですので株式投資する際に役立ちます。ただ、投資をする際には、一つの投資指標だけでなく、いろいろな情報を入手し、総合的に判断して投資をするように心がけましょう。(QUICK Money World 辰巳華世)

著者名

QUICK Money World 辰巳 華世


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