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東京ドーム、物言う株主が存在感 「巨人」効果の最大化で上値余地

【日経QUICKニュース(NQN)尾崎也弥】10月20日の東京株式市場で東京ドーム(9681)株が一時、前日比4%高の834円と、9月10日以来、約1カ月ぶりの高値を付けた。きっかけは同社の上位株主で香港のヘッジファンド、オアシス・マネジメントから臨時株主総会の招集請求書を受け取ったことだ。社長らの解任を求める突然の要求にこれから対話が円滑に進むのか不透明感は強いが、それでも東京ドームが良い方に向かうだろうと市場はひとまず受け止めたようだ。

※東京ドーム株価と日経平均株価の相対チャート
※東京ドーム株価と日経平均株価の相対チャート。12月30日を起点に100として指数化

■「物言う株主」からのプレッシャー

「物言う株主」として知られるオアシスは2019年12月に東京ドーム株の発行済み株式数の約5.4%を取得、その後は保有比率を引き上げて20年1月末時点の大量保有報告書ベースでは9.61%を保有している。

オアシスは今冬の公表資料で「巨人は日本で最も人気の高い球団」と強調しながら「東京ドームは収益化できていない」と痛烈に批判した。東京ドームの広告収入戦略はドームの内外ともにアナログ看板へ依存しているとして、発光ダイオード(LED)サイネージ導入を求めた。21年度の予測営業利益を14億円押し上げる効果があるとも試算していた。

東京ドームは23年プロ野球シーズンの開幕に向けてメインビジョンを現行面積の約3.6倍となる最先端の超大型ビジョンへ更新、スコアボードや試合演出のみならずデジタルサイネージなど新たな情報発信デバイスとして機能も拡張していくと7月の施設改修計画で明らかにしていた。

オアシスからの提案はある程度反映されているようにも見えるが、オアシスはこれにとどまらず、東京ドームの命名権やシート構成、さらにはホテルや遊園地の運営、コーポレートガバナンスまで踏み込んでいた。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で開幕が大幅に遅れたプロ野球は観客動員制限がいまも続き、音楽コンサートも軒並み中止になっている。東京ドームの21年1月期は180億円の最終赤字に落ち込む予想だ。足元では「Go To トラベル」など追い風も吹き始めるなかで、オアシスとしてはコロナ禍からの改善の道筋をスピード感をもって確かなものにすべきだと、経営陣の解任まで求めてプレッシャーをかけているようにも映る。

※東京ドームの業績(21年1月期は会社予想)
※東京ドームの業績(21年1月期は会社予想)参照

■回復が見込める銘柄へ

市場では「難しい要求もあるが、オアシスの存在感が強まることで自己資本利益率(ROE)や配当目標の引き上げなど株主価値が向上し、結果的には株価上昇要因になる」(藍沢証券の三井郁男・投資顧問部ファンドマネージャー)という声が出ていた。「コロナ禍からの回復が見込める銘柄としての投資妙味も出てきている」(三井氏)という。

東京ドームは10月中旬には対話の具体的な候補日を伝え、日程を調整していたという。19日の発表資料では「突然一方的な提案を受け、大変に困惑している」という見解を示した。オアシスの出方も含めて今後の展開は読み切れないとあって、東京ドーム株は買い一巡後はやや伸び悩んだ。終値は1.5%高の814円だ。優勝マジックをあと7としている巨人は早ければ今週、東京ドームでセ・リーグV2が決まる。ただ、今年は日本シリーズへ進出しても都市対抗野球大会が同時期に東京ドームで開催されるので、日本シリーズは京セラドームで開催される見通しだ。今年は巨人の優勝効果を物販などで最大化できない事情もある。

全天候型スタジアムの先駆けである東京ドームは、1988年の誕生からは30年超の月日が経過した。物言う株主の圧力を前向きな後押しに変えて、「昭和のドーム」から、遊園地、ホテルが一体となったリゾート型の「令和のドーム」へ進化を遂げる成長ストーリーが描けるようになれば、株価の上値余地も広がるだろう。

<金融用語>

ROEとは

Return On Equityの略称で和訳は自己資本利益率。企業の自己資本株主資本)に対する当期純利益の割合。 計算式はROE当期純利益÷自己資本またはROEEPS(一株当たり利益)÷BPS(一株当たり純資産)。 米国では株主構成に機関投資家が増加し、これらの投資家が「投下した資本に対し、企業がどれだけの利潤を上げられるのか」という点を重視したことも背景となって、最も重要視される財務指標となった。 企業は、株主資本自己資本)と他人資本負債)を投下して事業を行い、そこから得られた収益の中から、他人資本には利子を支払い、税金を差し引いて最後に残った税引利益株主に帰属する。したがって、自己資本利益率は、株主の持分に対する投資収益率を表すことになる。 そのため、経営者が株主に対して果たすべき責務を表した指標と見ることができる。また、それは株主に帰属する配当可能利益の源泉となるものであり、配当能力を測定する指標として使われる。自己資本利益率は株式投資尺度としても重要である。

著者名

日経QUICKニュース(NQN) 尾崎 也弥


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