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にわかに動く米金利、レンジ上抜け 民主党「総取り」織り込みか

2020米大統領選バナー

【NQNニューヨーク  横内理恵】将来の財政支出拡大を織り込み、米長期金利がじわじわと水準を切り上げ始めた。10月21日の米債券市場で長期債相場は5日続落し、10年債利回りは前日比0.04%高い(価格は安い)0.82%で終えた。利回りは米東部時間の時間外取引では0.83%と6月上旬以来の水準に上昇した。

■経済対策成立の確率は低い

追加経済対策に伴う米景気回復や国債発行増に先回りするかたちで米長期金利の上昇基調がにわかに強まっている。長期金利の指標である10年債利回りは10月に入って0.1%あまり上昇し、ここ半年の取引の中心レンジ0.6~0.8%を上抜けた。

経済対策については野党・民主党のペロシ下院議長とムニューシン米財務長官が協議を続けており、週内に何らかの合意に至るとの期待が残る。ただ州政府への財政支援などを巡って与野党の溝が大きいとして、ゴールドマン・サックスは20日付のリポートで「大統領選前の経済対策成立の確率は依然として非常に低い」と指摘した。「与野党両方にとって協議を終わらせることの利点はなく、交渉は続けるだろう」とも予想した。

大統領選までに経済対策が成立しなければ、その後の展開は選挙結果次第だ。世論調査通りに民主党が大統領・議会選挙をともに勝利した場合、来年1月までのトランプ氏の「レームダック」期間に共和党の賛同は得られず、民主党も来年1月の新政権発足後の法案成立を目指す可能性が高い。失業保険の増額措置と中小企業の雇用支援など両党が合意できる部分だけを先に成立させ、大規模な対策は来年に持ち越されるという。

■民主党政権を織り込み

経済対策の早期成立が不透明な一方で、金利上昇が続くのは「債券市場が民主党政権下での政府支出拡大を本格的に織り込み始めた」(RWプレスプリッチのラリー・ミルスタイン氏)からのようだ。世論調査では引き続き民主党候補のバイデン前副大統領が優勢で、議会選挙でも民主が上下両院で多数派になるとの予想が強まっている。今回の上院選挙で改選されるのは民主12、共和23の35議席。そのうち共和現職の10~12議席が接戦とみられるのに対して民主現職で接戦は2議席程度だ。民主が議席を増やしやすい。

現在、無所属を含めて47議席を確保する民主党はバイデン氏が勝利した場合は3議席、トランプ大統領が再選した場合は4議席を積み増せば上院で多数派となる。世論調査の支持率ではアリゾナやコロラド、メイン、ジョージアなど複数の州で民主候補の支持率が共和現職を上回っており、民主が大統領と上下両院を制する「ブルーウェーブ」の現実味が増している。

21日には米連邦準備理事会(FRB)のブレイナード理事が講演で、「(回復する分野と取り残される分野が大きく分かれる)K字型の景気回復をより包括的で広範にするために、金融緩和だけでなく的を絞ったさらなる財政支援が必要だ」と呼びかけた。ブレイナード氏はバイデン政権が発足した場合に財務長官に登用されるとの予想もある人物で、発言が市場の関心を集めた。

21日時点のトランプ大統領とバイデン氏の世論調査の平均支持率の差は7ポイント台と、10ポイントを超えていた前週からは縮小した。依然として予断を許さない状況だ。米株式相場が方向感を探って不安定な展開になりがちな一方、21日に米財務省が実施した20年物国債入札(銘柄統合)では相対的に安全資産とされる米国債への底堅い需要が確認された。選挙や経済対策の行方同様に、金利上昇に弾みが付くかはまだ分からない。

著者名

NQNニューヨーク 横内 理恵


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