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日本電産の決算、有言実行の「永守節」の変化に注目

QUICK Market Eyes  阿部哲太郎】今週から日本企業の4~9月期決算が本格化する。まずは、トップバッターの小型モーター世界トップ・日本電産が26日の大引け後に発表する決算に注目が集まる。

■上場来高値を更新

日本電産の株価は、欧州や中国を中心とした電気自動車(EV)シフトの加速や自動車の電装化を背景に堅調に推移している。2019年末比の株価上昇率は41%と同期間のTOPIX(東証株価指数)の下落率6%を大きく上回り、10月23日には分割修正後の上場来高値を更新した。

※日本電産

同社の2020年4~9月期(第2四半期)の連結業績予想(国際会計基準)は売上高が前年同期比6.8%減の7000億円、営業利益は同11.6%減の550億円と減収減益を見込んでいる。これに対してアナリスト予想の平均であるQUICKコンセンサスは、売上高が前年同期比5.2%減の7122億円、営業利益が同0.7%増の626億円と減収増益と上振れを期待している。

■「永守節」の変化は?

決算後の会見の「永守節」の変化にも注視したい。5月に開催された2020年3月期の決算説明会で永守重信会長兼最高経営責任者(CEO)は、「関潤社長執行役員(COO)とのツートップによるトップダウン経営へ回帰する。売上が半分になっても赤字にならない収益構造を目指し新たな体制づくりを急ぐ。」と述べていた。

同時に永守会長は「今後少なくとも1年はコロナの影響が続く見通しだが、5G(次世代通信規格)や、電気自動車(EV)への変化の大波は変わらない。厳しい環境で現金は大切だが、モーターなどの受注が積み上がっており、今後も必要な投資は続けていく」と攻めの姿勢を明確にしていた。5月時点で多くの企業が新型コロナウイルスの影響で通期予想を比非開示とする中、21年3月期の純利益予想を前期比66.4%増の1000億円と開示したことも市場で好感された。

■4~6月期の決算説明会

7月に開催された4~6月期の決算説明会では、「守り」と「攻め」の両にらみの事業戦略が強みを発揮しているのが浮き彫りになった。説明会の内容をテキストマイニングしたところ、 「WPR(利益倍増プロジェクト)」、駆動モーターシステム「Axle」、米電気自動車(EV)大手「テスラ」などへの言及が目立った。

※日本電産の決算説明会のテキストマイニング
※日本電産の決算説明会のテキストマイニング

 20年4月~6月期は車載向けモーターの不振などで売上高は前年同期比で7%減少した。もっとも、「WPR」の効果により、減収にもかかわらず営業利益は同2%増えた。アナリスト予想の平均であるQUICKコンセンサスの減益見通しを覆してみせ、5月時点の「永守節」は、宣言通り有言実行された。

「攻め」の部分としては、EV用の「eAxle(イーアクスル)」の受注の伸びが際立った。EV先進国の中国のメーカーを筆頭に欧州、日本などグローバルで新規顧客からの受注が増えている。

アナリストやマスコミの質問では、EV向け製品の先行きに強い関心が集まった。

永守会長は、量産効果と技術開発によるコスト競争力と性能向上が好調な受注につながっていると説明し、「我々は車の部品業界のテスラみたいなもの。モーターの供給コストは着実に下がっている。従前から言っているEVの分水嶺となる2025年に向けて着実に歩んでいる」と時価総額がトヨタ自動車(7203)を抜いて急増しているテスラに比べ、日電産の時価総額はまだまだ割安だとのメッセージを市場に送っていた。

※自動車関連株価の推移

野村証券は、23日付のリポートでEV向け駆動用モーターの成長性を評価して目標株価を8700円から1万2300円に引き上げた。車載用は、世界的な自動車生産の回復に加え、日本電産のシェアが比較的高い、中国において自動車市場回復が大きいことやユーザーの裾野が広がっている点に着目。

永守会長は以前「EVメーカーなどがモーターの試作品を自前で作ると性能やコストでウチの製品の良さに気付き、採用が広がっている」と述べている。

株価やQUICKコンセンサスは、市場の期待の高さを示しており、決算内容や「永守節」が市場の期待値をどこまで上回れるかに注目したい。

<金融用語>

QUICKコンセンサスとは

証券会社や調査会社のアナリストが予想した各企業の業績予想株価レーティングを金融情報ベンダーのQUICKが独自に集計したもの。企業業績に対する市場予想(コンセンサス)を示す。一方、「QUICKコンセンサス・マクロ」は、国内総生産や鉱工業生産指数など経済統計について、エコノミストの予想を取りまとめたものをいう。 QUICKコンセンサスを利用したものとして、QUICKコンセンサスと会社予想の業績を比較した「QUICK決算星取表」や「決算サプライズレシオ」、QUICKコンセンサスの変化をディフュージョン・インデックスDI)という指数にした「QUICKコンセンサスDI」などがある。また、「QUICKコンセンサス・プラス」は、アナリストの予想対象外の銘柄に会社発表の業績予想などを採用して、国内上場企業の業績予想を100%カバーしたものをいう。

著者名

QUICK Market Eyes 阿部 哲太郎


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