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日米で2年と30年金利差が拡大 リフレトレードここにも

最終更新 2020/11/10 17:00 米金利 国内金利 リフレ 日銀 FRB NQNセレクト

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2年物と30年物で国債利回りの差が拡大している。新型コロナウイルスのワクチン開発が進んで経済活動の正常化が早まるとの期待から、米市場では割安とされるバリュー株が買われ、イールドカーブ(利回り曲線)の傾きは急勾配(スティープ)化した。景気回復や物価上昇を織り込む「リフレトレード」の波は日本にも押し寄せている。

10日の国内債券市場では長期金利が上昇し、指標となる新発10年物国債の利回りは一時0.035%と前日から0.015%上昇(価格は下落)した。長期金利よりも上昇が目立つのが超長期債の利回りで、新発の30年債と2年債の利回り差は0.79%と2019年1月31日以来の大きさに広がった。QUICKのデータによると、米国に至っては9日時点で1.55%程度と17年7月末以来およそ3年4カ月ぶりの大きさだ。

2年物国債と30年物国債の利回り差

■続く財政拡張

米製薬大手ファイザーがドイツのビオンテックと開発中の新型コロナのワクチンについて、臨床試験(治験)では予防の有効性が90%を超えたと9日に発表した。11月中にも米食品医薬品局(FDA)に承認を申請する見通しで、経済活動の正常化が景気回復や物価上昇につながるとの期待が高まっている。

リフレトレードを後押しするのは、ワクチン開発が進んでも政策当局は景気刺激の手を緩めないとの見方だ。米大統領選で当選を確実にした民主党のバイデン前副大統領は9日の演説で、ワクチンについて「承認されたとしても、今後数カ月は幅広く利用可能にならないのは明確だ」と楽観にクギを刺す。日本でも10日に菅義偉首相が2020年度第3次補正予算の編成を指示するなど財政拡張が続く公算が大きい。

■忍耐の金融政策

金融政策は日米ともに当面は変わらない見通しだ。日銀が9日公表した10月28~29日開催の金融政策決定会合の主な意見では、参加者から「感染症との戦いが長期化することも視野に入れ、政策の時期尚早な手じまいは避けるべきだ」との声があった。ワクチン開発が順調だったとしても日本で出回るのは来年以降になるとみられ、利上げはおろか、21年3月末が期限となっている新型コロナに対応した資金繰り支援策も延長するとの見方が大勢を占める。

米連邦準備理事会(FRB)も目標を超える物価上昇率の上振れを容認し、雇用の質が改善するまで事実上のゼロ金利政策を維持する構えだ。SMBC日興証券の丸山義正氏は「ワクチンが完成すれば需要を抑える要因がなくなるため、追加的な施策がなくても景気刺激策は効果が出やすくなる」と指摘。そのうえで「リフレトレードが続くかはワクチンが確実に開発され、信頼できる効果を持つかがカギだ」と話す。

もちろん、リフレトレードを促す環境があってもイールドカーブのスティープ化には限りがある。財務省が10日実施した30年債入札では応札額を落札額で割った応札倍率が3.76倍と今年度に入ってから7月(3.92倍)に次ぐ高さとなった。「景気の先行きに対する前向きな見方と、利回りを求める投資家の需要が相殺して超長期の金利上昇ペースは緩やかになる」(バークレイズ証券の海老原慎司氏)ためだ。

ワクチンの開発が進む裏で、欧米を中心に新型コロナの感染者数は増加傾向が続く。世界景気の下振れリスクが消えたわけではない。だが、コロナ禍の収束を決定づけるワクチンや治療薬の開発を巡る報道でリフレトレードが活発になるたび、超長期債の利回りを押し上げる環境はしばらく残りそうだ。〔日経QUICKニュース(NQN) 神能淳志〕

<金融用語>

リフレ政策とは

リフレ政策とは不況下で生産活動が停滞しているときに、インフレ(景気過熱)を避けながら、金利の引き下げや財政支出の拡大によって景気を刺激し、景気回復をはかろうとすること。

著者名

日経QUICKニュース(NQN)神能淳志


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