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株高・金利高が鮮明—3次補正、40年増発観測が長期国債売りを誘発

超長期の国債利回りが上昇(価格が下落)している。新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の開発による経済正常化への期待から株高が続き、日本の金利にも上昇圧力がかかっている。とりわけ10年超の利回りが上昇し、イールドカーブ(利回り曲線)の傾きはスティープ化(急勾配化)が目立つ。菅義偉首相の指示で編成が本格化する2020年度第3次補正予算案での40年物国債の増発観測もさざ波を立てているようだ。

■3次補正の規模拡大?

11月16日の国内債券市場では超長期債の利回りが高止まりした。新発30年物国債の利回りは一時0.650%に低下した後、前週末と同じ0.655%まで戻した。新発債として、30年と10年の利回り差は0.635%と19年3月以来の高水準だ。償還が長ければ長いほど利回りは上昇しており、30年債と20年債の利回り差は16日に0.255%と約2年ぶりの大きさとなる場面もあった。

30年金利と10年金利の差

※30年物国債利回りから10年物国債利回りを差し引いた利回り差

菅首相が指示した3次補正予算を巡り、思惑が交錯している。公明党の竹内譲政調会長は11日の記者会見で「最低ラインが15兆~20兆円の規模だ」と述べ、これまでの10兆~15兆円より増額。自民党の下村博文政調会長も同じ日の記者会見で、10兆~15兆円の規模に関し「それより上回らざるを得ないかもしれない」と述べ、3次補正の規模拡大が意識されている。

政権与党の規模拡大の要請で、にわかに活気づくのが40年債の増発論だ。短期国債を中心に大規模な国債増発となった20年度第2次補正予算では、40年債の発行額は据え置かれていた。財務省側は短期国債偏重の発行で短くなっていた20年度の平均発行年限に関し「特別対応と捉えているとみられ、40年債の増発観測につながっている」(国内証券の債券ストラテジスト)という。

■「十分に増発を避けられる」

もちろん、21年度予算とあわせて「15カ月予算」として編成するとみられる3次補正予算の規模が膨らんでも即座に国債増発につながるとは限らない。バークレイズ証券の海老原慎司氏は「補正予算の規模が30兆円に膨らんでも利付国債の増発を避けることはできる」と話す。

政府は20年度予算で、新型コロナに対応した予備費を11兆5000億円計上した。10月には雇用調整助成金の上限引き上げに充てる支出を決めたが、なお7兆円強が残る。

9日の経済財政諮問会議で有識者議員が提出した資料によると、コロナによる外出制限と外需の落ち込みで20年度の国内総生産(GDP)が約33兆円減り、経済活動の再開で21年度には約17兆円改善する見込みだ。

海老原氏は21年度に足りない分を3次補正で埋めるとすれば「規模は10兆~15兆円で、予備費で足りない3兆~8兆円程度を国債で賄うのが基本シナリオだ」と指摘。そのうえで、補正予算の規模が30兆円に増えたとしても「借換債の前倒し発行や短期国債の減額幅を抑えることで十分に利付国債の増発を避けられる」と分析する。

内閣府が16日発表した7~9月期の実質GDP速報値は前期比年率で21.4%増と、約52年ぶりの伸び率となった。だが、前年同期比では5.8%減と、減少率は20年4~6月期(10.2%減)を除けば09年4~6月期以来の大きさに沈んだままだ。

コロナ禍からの回復は道半ばで、政府側も「予算・税制・規制改革を含め、あらゆる施策を総動員した総合的な対策のとりまとめに尽力していきたい」(西村康稔経済財政・再生相)と手を緩める気配はない。財務省の姿勢次第で、超長期債の利回りが一段と上昇するリスクは残る。〔日経QUICKニュース(NQN) 神能淳志〕

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日経QUICKニュース(NQN)神能淳志

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