米バイオ製薬のモデルナは16日、開発中の新型コロナウイルスのワクチンの臨床試験で「94.5%の有効性が示された」と発表した。9日に米製薬大手ファイザーがワクチンで高い有効性が確認されたと発表したことに続く朗報に、ダウ工業株30種平均が2月に付けた過去最高値を更新。17日の日経平均株価も26000円台を回復した。
SMBC日興証券の野地慎氏は、金融・財政の全面サポートが株価上昇要因であることから「コロナ禍だからこそ株価が上昇し易い」と16日のレポートで指摘していた。そのためワクチンの開発が進むなかで株価が上昇することについて17日のレポートでは、「『コロナ禍が鎮静化すれば株安なのではないか』と考える市場参加者が増えてきても不思議ではない」と述べている。しかし、グロース株が大崩れを始め、本来マネーがシフトするはずのバリュー株まで値下がりの憂き目に遭う展開は「中央銀行が出口に言及し始めてからの話である」と指摘する。
ワクチンの普及で「平常」に戻るシナリオが「期待」に止まるうちは中央銀行が出口への言及がなされない公算は大きい。野地氏は当面の株式市場は「金融・財政のフルサポート+ワクチンへの期待に押し上げられる『最高のユーフォリア状態』となってくる」とみている。過熱感が出る場面では一定の調整がなされることはあるが、「足元の環境が株式市場にとって最高の状態である点についても認識すべき」と述べていた。(QUICK Market Eyes 池谷 信久)