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豪ドル、一段高にハードル QUAD強化で陥るジレンマ

最終更新 2020/11/19 18:00 豪ドル FX QUAD NQNセレクト


【日経QUICKニュース(NQN) 末藤加恵】外国為替市場でオーストラリア(豪)ドルが高値圏で足踏みしている。19日発表の10月の雇用統計で新規雇用者数が市場予想を上回ったが反応薄だった。17日にはモリソン豪首相が来日し、会談した日豪首脳は日米豪印4カ国による枠組みの重要性で一致した。中国を抑止し、「自由で開かれたインド太平洋」の実現が共通目標だ。つながりの強い中国との溝は深まるばかりで、豪ドルの一段高にはハードルが立ちはだかる。

■景気持ち直しでも上値重いワケ

19日の東京外為市場で対米ドルの豪ドル相場は1豪ドル=0.73米ドルちょうど近辺で推移している。2日には0.6米ドル台に下げ、3カ月半ぶりの安値を付けたが、新型コロナウイルスのワクチン開発期待による世界的な株高も相まって17日に0.7338米ドル近辺まで上昇した。9月1日に付けた年初来高値(0.7410米ドル近辺)の更新が見え始めたが、ここにきて豪ドルの足どりが鈍くなっている。

豪ドルチャート

19日に豪統計局が発表した10月の豪雇用統計で、新規雇用者数は17万8800人増と、減少を見込んでいた市場予想に反して大きく増えた。失業率は7.0%と前月から0.1ポイントト上昇したが、市場予想(7.2%程度)は下回った。ただ、豪ドル買いに弾みはつかず、相場への影響は限られた。欧米に比べると新型コロナの新規感染者数は少ないが、感染防止を目的とした経済活動の制限による景気下押し懸念は拭えないまま。サウスオーストラリア州は18日、州都アデレードでの新型コロナの感染拡大を抑えるため6日間のロックダウン(都市封鎖)を実施すると発表した。

■QUAD vs 中国

外交面では、経済的な結びつきが強く、豪州の輸出の3割超を占める最大の貿易相手国である中国との関係悪化が不安材料だ。17日にモリソン首相が来日し、菅義偉首相と首相官邸で会談した。終始和やかだった日豪首脳会談では、海洋進出を急ぐ中国への抑止力を高める一環で、日米豪印4カ国による枠組みの重要性を再確認した。

日米豪印は英語で4を意味する「QUAD(クアッド)」とも呼ばれる。このQUADの結びつきを警戒するのが中国だ。17日の日豪首脳会談を受け、中国外務省の趙立堅副報道局長は18日、両国が中国の海洋進出をけん制したことに反発。「中国を理由なく非難し、乱暴に内政干渉した」と不満を表明した。

昨年5月の豪州の総選挙では、モリソン首相率いる与党・保守連合が野党・労働党を下した。中国に厳しい姿勢をとってきた保守連合を支持する機運が高まったことが総選挙での「逆転」勝利につながった。「モリソン首相は中国に強硬姿勢で臨まざるをえない。一方、中国は米中対立が先鋭化するなか、米国の安全保障上の同盟国で、中国が相対的に優位に立てる豪州を標的にすることで、米国に圧力をかけている」(第一生命経済研究所の西浜徹氏)という。豪州と中国の対立が収束する気配はみえないのが現状だ。

今後、中国が豪州に対し、豪州の主力輸出品の鉄鉱石に輸入制限をかけるなど、経済的な制裁を加える可能性もある。そうなれば豪州の景気回復に水を差しかねない。経済的な依存度が高いにもかかわらず、政治・外交面ではQUADの一角として中国に強硬姿勢をとらざるを得ない豪州。ジレンマを抱える豪ドルの高値更新には時間がかかりそうだ。

著者名

日経QUICKニュース(NQN) 末藤 加恵


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