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自動車セクターが最も低い評価、児童労働など人権リスク対応で―日本企業のスコア一覧

11月16日、ビジネスと人権に関する国際的なイニシアチブであるCHRB(Corporate Human Rights Benchmark)が2020年版ベンチマークを発表した。このベンチマークは、日本企業27社を含む229社の人権課題への取り組みを、国連ビジネスと人権の指導原則に基づき、6つの分野(A.ガバナンスと方針、B.尊重の組み入れと人権デュー・デリジェンス、C.救済措置と苦情処理メカニズム、D.実践:企業の人権活動、E.実践:深刻な申し立てへの対応、F.透明性)に渡り評価し、スコア化したものである。2017年のパイロット版を皮切りに今回が4度目の公表となる。

評価対象企業は世界の時価総額上位企業から業種、地域バランスを加味し選定している。昨年までの農作物、アパレル、資源採取、ICTに、自動車セクター29社が加わった。

■自動車セクターは過去最も評価が低い業種に

自動車セクターの平均スコアは100点中12点という結果で、これは過去CHRBが評価してきた業種で最も低い数字だという。50点以上を取得した自動車企業は皆無で、半数は10点未満だった。フォード・モーターが47.5点でトップに立ち、グループPSA(33点)、ダイムラー(30.6点)とつづく。日本企業は、本田技研工業(14.2点)、マツダ(14点)、トヨタ自動車(11.6点)、スバル(10.1点)が10点以上、他3社(三菱自動車、日産自動車、スズキ)は10点未満だった。

総じて、サプライチェーン上の強制労働や児童労働、結社の自由および団体交渉権といった主要な人権リスクへの対応が確認できなかった。また大多数は、強制労働や児童労働の防止、労働組合員やその代表者に対する脅迫やハラスメントの防止のために、サプライヤーと協力し、または契約上の取り決めとして要求していないことも分かった。直接および間接的なサプライヤーのマッピングを行っているのは ゼネラルモーターズだけだった。

■気候変動対応だけでは「公正な移行(Just Transition)」は実現できない

今回CHRBで評価された自動車企業は、気候変動に特化したベンチマークClimate and Energy Benchmarkでも評価された。結果、2つのベンチマーク間の相関性はほとんど確認できなかったという。たとえ、低炭素移行計画やGHG排出削減目標を策定し、気候変動対応のガバナンスを整備している企業が、人権尊重の取り組みも同様に進んでいるとはかぎらないということだ。この相関性の無さ、取り組みのギャップは、公正な移行(Just Transition)の妨げとなり、気候変動と人権は別々の課題であるという企業の間違った認識を示しているとCHRBは説明する。

■方針・プロセスから実際のインパクトへ

人権方針でのコミットメントや、人権デュー・デリジェンスの実施といった、基本的な要件を満たす企業の慣行は拡がりつつある。一方、こうしたコミットメントやプロセスと、実際の人権への影響では、かい離が見られている。具体的には、今回のCHRB調査対象企業229社のうち、104社は1件以上の深刻な人権侵害の申し立てを受けており、全体で225件の申し立てが報告されている。このうち、企業がステークホルダーとエンゲージメントをしたケースは3分の1以下で、被害者の要求を満たす、効果的な救済措置を提供したのは、たったの4%だった。人権方針でのコミットメントや人権デュー・デリジェンスに関する項目で高評価を得た企業でも、実際の人権侵害の申し立て件数が少ないわけではない。

また、これらの人権への負の影響の多くは発展途上国で起きている。評価対象企業229社の78%はOECD諸国に本社を構えているが、申立ての85%は、インド、中国、インドネシアといった発展途上国で発生しているという。主に、強制労働、児童労働、労働安全衛生の事例が多かった。

来年、指導原則は国連人権理事会での採択より10周年を迎える。またSDGs達成の2030年まで残り10年となった。CHRBでリードを務めるカミーユ・ル・ポー(Camille Le Pors)氏は、11月16日の国連ビジネスと人権フォーラムのセッションに登壇し、今後、「体系的な変化が必要」であるとした。また、人権方針は単なるコミットメントに過ぎず、実際にビジネスの現場で起きている人権への影響について、より透明性をもって開示することを企業に求めた。

日本企業22社のスコアは以下の通り。

自動車(7社)

企業名 スコア(100点満点)
本田技研工業 14.2
マツダ 14
トヨタ自動車 11.6
スバル 10.1
三菱自動車 8.9
日産自動車 8.3
スズキ 5.9

農作物(6社)

企業名 スコア(26点満点)
イオン 13.5
キリンホールディングス 12
アサヒグループホールディングス 10.5
サントリー食品インターナショナル 5.5
セブン&アイ・ホールディングス 5
ファミリーマート 4.5

アパレル(2社)

企業名 スコア(26点満点)
ファーストリテイリング 19.5
イオン 13.5

資源採取(3社)

企業名 スコア(26点満点)
ENEOSホールディングス 7
国際石油開発帝石 5
日本製鉄 2.5

ICT(10社)

企業名 スコア(26点満点)
ソニー 9.5
日立製作所 8.5
東京エレクトロン 8.5
キヤノン 8
パナソニック 6.5
村田製作所 5.5
任天堂 5.5
HOYA 2.5
京セラ 2.5
キーエンス 1

<金融用語>

ビジネスと人権に関する指導原則とは

ビジネスと人権に関する指導原則は、国連事務総長特別代表のジョン・ラギー氏が策定し、2011年6月16日に国連人権理事会により決議された。その目的は、2008年に同じくジョン・ラギー氏が、多国籍企業のビジネスと人権に関する基準と慣行を強化するために策定した「保護、尊重及び救済の枠組(ラギーフレームワーク)」を実行に移すことである。同原則は、31の原則により成り立ち、企業が取り組むべき具体的なプロセスである「人権デューデリジェンス」の手順も記されている。 基本的認識として、Ⅰ. 人権を保護する国家の義務、Ⅱ. 人権を尊重する企業の責任、Ⅲ. 救済へのアクセス、の3つの柱に基づいており、企業活動が人権に与える影響に係る「国家の義務」及び「企業の責任」を明確にすると同時に、被害者が効果的な「救済」を得るメカニズムの重要性を強調し、各主体が、それぞれの義務・責任を遂行すべき具体的な分野及び事例を挙げている。 日本では、持続可能な開発目標(SDGs)推進本部が発表した「持続可能な開発目標(SDGs)を達成するための具体的施策(付表)」において、「ビジネスと人権に関する国別行動計画」が策定することが決定された。(QUICK ESG研究所)

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QUICK ESG研究所


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