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12月の株主優待、利回り上位にホテルや観光関連の優待目立つ 業績には注意も

【QUICK Market Eyes  弓ちあき】12月優待銘柄の権利付き最終売買日が12月28日となっている。

■利回り上位にホテルや観光関連の優待目立つ

12月優待銘柄の権利付き最終売買日が28日となっている。年内最後の株主優待を迎えるがポイントはどこにあるのか―。金額換算した優待利回りと配当利回りの合算で見ると、首位はネット広告などを手掛けるカヤック(3904)だった。

※12月配当&優待利回り上位20社

本社所在地の神奈川県鎌倉市での社員食堂や不動産、葬儀サービス、コミュニティースクールに関連した割引クーポンなどを贈呈している。不動産売買取引に関連する仲介手数料について10万円割引のクーポンを贈呈しているため、利回り換算すると高めになりやすい。地域に根差したビジネスを意識しての優待のため、生活圏が鎌倉にある場合はメリットも多そうだが、優待目的での株購入にはハードルが高い。

また上位の顔触れではホテルや観光関連の優待も目立つ。利回りランキングで3位の東海汽船(9173、2部)は伊豆七島方面への観光航路を主軸とする海運会社だ。優待内容も乗船割引のほか、企画旅行や温泉ホテルの割引券などをつづりにしたサービス券がもらえる。例年6月末・12月末の権利確定に向け株価は強含む傾向があるものの、足元の株価は2019年12月末比で7%ほど低い水準にある。新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が高水準で推移しているほか、政府が年末年始にかけ観光需要喚起策「Go To トラベル」キャンペーンを全国一斉停止する方針を固めるなど、旅行に出かけるにしても状況が読みにくいことが重荷になっているようだ。

■業績動向も考慮していきたい

また12月優待銘柄の株価動向を見てみると、2021年度を見据えて業績回復を織り込む動きも出ている。12月優待銘柄のうち、QUICKコンセンサス(QC)で20年度予想と21年度予想のEPS(1株利益)が確認できる銘柄で増益率、減益率の上位15社をランキングした。

※12月優待銘柄でQC予想EPSの増益率、減益率 上位15社ランキング

すると、予想増益率上位の12月以降の上昇率は平均で3.5%と、下位銘柄(1.1%)を上回る結果となった。優待銘柄を見極める上では業績動向も考慮していきたい。ただ、サービス業を中心にコロナ禍の影響を大きく被った企業に関しては、まだ業績回復について半信半疑な様子も伺える。

例えば増益率で上位に入った化粧品大手のポーラ・オルビスホールディングス(4927)のQCによる21年12月期の予想EPSは今期予想比で6.9倍の55.85円の見通しだが、12月に入ってからの株価の上昇率は横ばい圏にとどまる。資生堂(4911)はQCで21年12月期予想EPSが92.03円に黒字転換する見通しとなっているものの、株価は2.6%下落しており、戻りは鈍い。新型コロナをきっかけに人びとの消費行動が変わり、化粧品の売り上げに関してはコロナ禍が一服した後には元の成長シナリオに回帰できるか半信半疑の投資家が多いためだと考えられる。

一方、20年12月期は赤字予想の業務用プリンター大手のローランド ディー.ジー.(6789)は12月に入り14%近い上昇となっている。人員削減を含む大規模な構造改革を行っており、21年12月期に向けての収益水準の回復を確実視する向きが多いもよう。

また業績が不安定な中、優待ばかりではなく配当の安定性への注目度も上がっている。SBI証券のNISA(小額投資非課税制度)の週間保有残高ランキング(18日時点)で見ると、首位は日本たばこ産業(2914、JT)だった。優待は19年度から年1回の実施に絞り、1年以上の継続保有が条件に加わった。自社商品をもらえる優待の利回りは低いものの、配当利回りは7%近い。ESG(環境・社会・企業統治)投資の高まりの中でたばこ事業は機関投資家からはダイベストメント(投資撤退)の対象になりやすく逆風はあるものの、値上げによる国内たばこ事業の改善などで21年12月期に向けても配当水準は維持される公算は大きいほか、フィリップ・モリス・インターナショナルなど他のたばこ世界大手と比べても配当利回りは遜色ない。

■効率化のための基準引き上げが目立つ

12月は2社が新設や特別優待の実施を発表したほか、スズキ(7269)が廃止を発表。変更では事務用品大手のキングジム(7962)が対象を100株から500株に引き上げ、翌18日には売りが膨らんだ。

※12月発表の主な優待の新設・制度変更・廃止

企業は優待コストがかさむ中で効率化のため保有株式の基準を引き上げる動きが目立ってきている。投資家からすれば最低投資単位が上がるため、優待銘柄を厳選する動きが加速していきそうだ。

<金融用語>

QUICKコンセンサスとは

QUICKコンセンサスとは、証券会社や調査会社のアナリストが予想した各企業の業績予想株価レーティングを金融情報ベンダーのQUICKが独自に集計したもの。企業業績に対する市場予想(コンセンサス)を示す。一方、「QUICKコンセンサス・マクロ」は、国内総生産や鉱工業生産指数など経済統計について、エコノミストの予想を取りまとめたものをいう。 QUICKコンセンサスを利用したものとして、QUICKコンセンサスと会社予想の業績を比較した「QUICK決算星取表」や「決算サプライズレシオ」、QUICKコンセンサスの変化をディフュージョン・インデックスDI)という指数にした「QUICKコンセンサスDI」などがある。また、「QUICKコンセンサス・プラス」は、アナリストの予想対象外の銘柄に会社発表の業績予想などを採用して、国内上場企業の業績予想を100%カバーしたものをいう。

著者名

QUICK Market Eyes 弓 ちあき


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