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ESG投資の意味とは SDGsとの関連性、メリット・デメリットも解説

記事公開日 2022/11/8 07:30 最終更新日 2022/11/8 11:15 経済・ビジネス コラム・インタビュー SDGs 市場用語再点検 ESG 金融コラム

(初回公開日2021年3月12日17:00)

【QUICK Money World 辰巳 華世】最近の大雪や大雨は被害が甚大になるケースも多く、気候変動を肌で感じる機会が多いと思います。まったなしの環境問題に、世界的に国や企業が脱炭素社会へ向けた取り組みを始めています。この流れの中、投資の世界でも、社会的課題を解決する企業に積極的に投資をする意識が高まっています。未来の社会を良くする企業に投資する新たな基準「ESG」について紹介します。

■ESGとは?

ESG投資とは、環境・社会・企業統治に配慮した企業に行う投資のことです。ESGは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の頭文字をとって作られた言葉です。Environment(環境)は、省エネルギー、環境汚染を回避するなど地球環境に貢献していること、Social(社会)は、労働環境の改善、地域貢献、人権問題への取り組みなど社会に貢献していること、Governance(企業統治)は、法令を遵守し、会社の所有者である株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の利害関係者の利益を考慮した、公正な企業経営が行われていることを指しています。これらのことに配慮した取り組みをする企業に投資をすることがESG投資になります。

E Environment(環境) 地球環境への貢献
S Social(社会) 労働問題、地域貢献、人権への取り組み
G Governance(企業統治) 株主、顧客、従業員、地域社会といった利害関係者の立場を考慮

ESG投資は、企業の社会的責任(CSR)に重きを置く社会的責任投資(SRI)の考え方がベースにあります。SRIは、1920年代の米国でキリスト教的倫理の観点から武器やギャンブル、タバコやアルコールなどに関わる企業へは投資しないという ネガティブ・スクリーニング から始まったと言われています。時代の変化とともに社会問題や環境問題と企業の社会的責任は変化していきました。2000年代に入ると、社会問題などへの 対応に優れた企業を選んで投資する ポジティブ・スクリーニング が広がり始めました。

その流れの中、2006年に国連が機関投資家に対して、ESGを投資プロセスに組み入れる 「責任投資原則」(PRI)を提唱したことをきっかけにESG投資が広く注目されるようになりました。日本でも2015年にGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がPRIに署名して話題を集めました。世界最大の機関投資家であるGPIFがESGを投資判断とする姿勢は、投資マネーを呼び込みたい企業にとってもESGを意識する大きなきっかけとなりました。

これまでの投資判断は、企業の売上高や利益など業績に重きを置く傾向がありました。しかし、気候変動の問題や人種問題、格差問題など環境や社会問題への関心が高まっていることもあり、最近の投資判断は、社会的課題の解決に繋がる事業長期目線での企業評価に軸足を置く傾向が高まっています。

ESGに配慮した経営をしている企業は、未来の社会を良くするための取り組みをしていると考えられています。収益面で考えた場合、すぐに利益に結びつかなくても、そういった企業は継続的に社会に受け入れられ、結果的に長期的に利益を出す可能性が高いとも言えます。そのため、ESG投資はリスクを抑えて長期的に運用することに適した投資方法として注目されており、公的年金基金などもESG投資を採用しています。

世界持続的投資連合(GSIA)は、ESG投資手法を7つに分類しています。

ネガティブ・スクリーニング

ESGの観点から問題がある企業(ギャンブルや化石燃料など)を除く投資

ポジティブ・スクリーニング

ESGの観点から評価の高い業種や企業に投資

国際規範スクリーニング

国連やOECDなど国際機関の規範を満たしていない企業を投資対象から除外

ESGインテグレーション

財務情報だけでなく、ESGに関する取り組みの非財務情報も含め総合的に判断する投資

サステナビリティ・テーマ投資

気候変動、エネルギーなど持続可能性に関する特定のテーマに投資

インパクト・コミュニティ投資

社会や環境問題の解決など社会的インパクトを目的とした投資

エンゲージメント・議決権行使

株主が企業に対して株主総会での意見表明などでESGを呼びかけること。株主が企業と目的をもった対話をする

 

■ESG投資のメリットとデメリット

メリット

ESG投資のメリットは、投資からの長期的な利益を求めながら、社会貢献ができる点にあります。ESG投資は、社会を良くするための取り組みをする企業への投資と言えるため、投資を通じてそうした取り組みをする企業を支えることになります。また、利益面では、投資視点が短期的な利益の追求だけではないのが特徴です。一般的に成長企業への投資は、短期で利益が狙える一方、その分リスクが大きいといえます。ESG投資は、長期的な目線で投資をするので、長期的かつ安定した運用になると言われます。

デメリット

一方、ESG投資にはデメリットもあります。短期的に大きな利益成長は見込みにくいとされます。ESGの取り組みは、利益を追求しすぐに結果がでるものというよりは、長期的な視点に立った取り組みです。例えば環境に配慮した脱炭素の取り組みでは、水素の活用が注目されています。ただ、現状では、水素はこれまでの化石燃料より割高な状態であり、水素エネルギーのコスト削減が実現するまでは、環境対応でコストは先行して増える傾向があります。

また、ESG投資をする際に、投資先の選定に知識が必要です。コーポレートサイトやIR資料を参考に分析して投資先を決める必要があるため手間がかかるというデメリットもあります。

■ESG投資の方法とは

ESG投資の方法で、一番分かりやすいのは投資信託への投資です。国内の証券会社などが取り扱っているESG関連の投資信託に投資をすることができます。この場合は、自分で一つ一つの企業を精査する必要はありません。ESG投資の経験がない場合は、最初は投資信託などから入り、投資信託の運用レポートなどから情報や知識を増やしていくのは一つの方法です。

投資信託ではなく、ESG投資の視点で自ら調査し投資先を選び、個別銘柄に投資することもできます。

ESG投資をする場合は、企業のESGの取り組みについてきちんと把握することが大切です。ESG投資が広がる中で、最近では企業が本当はESGについて積極的に取り組んでいないのに、市場から評価を得るためにあたかもESGに熱心な企業であるかの様に見せようとする「グリーン・ウォッシュ」 が問題になっています。

グリーン・ウォッシュかどうかを見極めるには、一つの情報だけでなく様々な情報を仕入れて見ていくことが大切になってきます。また、ESGの取り組みが短期的ではなく、長期の具体的な計画が考えられているかや、数年後にその取り組みが続いているかの継続性を見ていくのも一つの方法になります。

■ダイベストメント

ダイベストメントは、投資家が問題ある企業の株式を売却したり、投資撤退をすることです。インベストメント(投資)と反対の意味になります。最近、ESG投資家の間で広がっている動きです。

ESGを重視する運用大手や年金基金の間で、燃料業界やたばこ業界からの投資撤退が相次いでいます。日本たばこ産業(JT、2914)の株価が軟調な理由の一つにESG投資からの資金引き上げが考えられます。健康被害を出すタバコ産業へのダイベストメントによる影響も株価低迷の理由の一つとされています。

※世界のタバコ大手の株価はここ数年、低迷している

■ESG投資の今後の動向――SDGsとの関連性は

国際社会が協働して地球規模で取り組むべき目標がまとめられているSDGs「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の広がりにより環境や社会に貢献する企業が注目されています。SDGsは、2015年9月の国連サミットで採択され、先進国を含む世界全体で2030年までの達成を目指しています。経済や社会、環境など17のゴール(目標)と関連する169の具体策などが示されています。

※17のゴール

(国際連合広報センター SDGsのポスターより)

SDGsの広がりは、ESG投資に良い影響が出ています。ESGの考え方と共通点の多いSDGsを経営指針に取り入れる企業が増えています。今後は、働き方改革(働きやすさ)、食品ロス、健康(コロナ治療等)の課題を解決する企業にも注目が集まりそうです。あくまでESGは手段であり、投資家と企業が対話する共通言語と言えます。ESGという手段が投資の世界で普及することにより、目標であるSDGsを意識する企業が増えるという循環が生まれています。

企業側にとってSDGsに取り組むことは、長期的な企業の価値向上にもつながるので注力する企業が増えることが予想されています。

■まとめ

ESG投資は、投資による長期的な利益だけでなく、社会貢献ができる利点があります。ESG投資に興味を持った方は投資信託からでも初めてみましょう。

 

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著者名

QUICK Money World 辰巳 華世


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