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円高・円安とは何か 輸出・輸入企業への影響や原因、覚え方をわかりやすく解説 

記事公開日 2022/10/28 10:00 最終更新日 2022/12/14 19:10 為替・金利 為替 ドル円 日本株 FX 米金利 市場用語再点検

(初回公開日2021年5月14日16:00)

【QUICK Money World 辰巳 華世】2022年に入り日米金利差を背景に円安が進んでいます。7月14日の外国為替市場では、一時1ドル=139円台とおよそ24年ぶりの安値を付けました。為替のニュースは、株式情報と並んで目にする機会が多いと思います。グローバル化のなか、為替動向は我々の生活に密接に関係しており、株式相場にも大きな影響を与えます。今回は、ニュース等でよく聞く円高・円安という用語について、その意味や仕組みを紹介し、為替相場が動く理由や株式相場に与える影響などを分かりやすく解説します。

円高・円安とは

「円高」「円安」は、為替相場で使われる言葉で、外国通貨に対して日本の通貨である「円」が「高い」か「安い」かを表す表現です。円を外国通貨と交換するには、需給と供給の関係で変化する為替相場で交換比率が決められます。その交換比率の変動により、円高・円安の現象が起こります。

例えば日本円と米国の通貨「ドル」では、「円高・ドル安」、「円安・ドル高」などの表現があります。円が高ければ、交換されるドル(外国通貨)は相対的に安くなり、円が安ければ、ドル(外国通貨)は高くなる。為替相場では、円と外国通貨はシーソーの様な関係です。そのため「円高・ドル高」といったような、両方の通貨が同時に高くなったり、安くなったりというような表現は使われません。

為替相場では、円と外国通貨はシーソーの様な関係

例えば、1ドル=120円と1ドル=100円の状況を比べた時、1ドル=120円の方が1ドル=100円に比べて「円安」と表現します。一般的な日本語の感覚からすると、為替の世界の表現は、少し独特かもしれません。120と100の数字を比べると120の方が大きいのに「安い」と表現することに最初は違和感を感じるかもしれません。しかし、理屈が分かれば納得できると思いますので見ていきましょう。

円安とは、例えば昨日まで100円で買えた物が、今日は120円払わないと買えない状況です。同じ物を手に入れるのに、多くの円を払わないといけない。物が高くなっています。この物を1ドルに置き換えて考えてみれば良いのです。100円で1ドルもらえたのに、120円払わないと1ドルもらえない。円から見ると、1ドルの価値が高くなっています。為替の世界では、円と外国通貨はシーソーの様な関係なので、ドルの価値が高いということは円の価値は低い、つまり、円安・ドル高となるわけです。円安とは、外国通貨に対して円の価値が低くなっている状態なのです。

一方、円高の状況とは、外国通貨に対して円の価値が高くなることです。1ドル=120円と1ドル=100円では1ドル=100円の方が円高になります。120円で1ドルもらえるのと、100円で1ドルもらえるのを比べると、100円で1ドルもらえる方が円の価値が高いことになります。少ない円で多くのドルと交換できる状況を「円高・ドル安」と言います。

円高・円安の状況が頭の中で整理されるまでは、表現に騙されて少し混乱してしまうことがあるかもしれません。混乱するようであれば、最初のうちは割り切って、為替の表現は一般的な日本語の感覚とは逆なんだ、1ドル=100円が1ドル=120円と円の数字が大きくなったら、「円安」と覚えてしまうのも一つの手です。そのうち、すんなりと定着してきて理屈も頭で整理されると思います。

円安傾向が強まっています。今回の円売り・ドル買いの流れの源流を辿ると米国の金融政策の大転換に至ります。米国では現在、急激な物価上昇が発生しています。サプライチェーンの問題に加えそもそも景気が拡大し需要が強いことに加え、ロシアによるウクライナ侵攻で原油や小麦といった商品市況の上昇も大きな影響を与えています。
ドル円相場を取り巻く環境を把握するには、中央銀行の金融政策、金利、景気動向を正確に理解する必要があります。

QUICK Money Worldでは日々のマーケットの変化を専門記者・ライターが伝えています。以下のリンク先ではドル円相場に影響を与える「為替・金利」の記事を一覧にしました。マーケット情報の収集と知見の獲得にぜひご活用ください(一部は会員限定コンテンツとなっています)

「為替・金利」の記事・ニュース一覧_ボタン

 

円高・円安どちらがいいの?

ここまで円高・円安の説明をしてきました。では、円高と円安どちらの状況が良いのか?について考えてみましょう。グローバル化のなか、為替動向は私たちの生活に密接に関係しています。 私たちが日常的に使う多くのものが輸入されていますし、仕事や旅行で海外に行くこともよくあります。実は、円高が良いのか円安が良いのかは、それぞれの状況によって異なります。円高・円安のメリット・デメリットについて見てみましょう。

円高メリット

円高は、1ドル120円が100円になる状態です。円の価値が高くなっています。これまで120円払わないと交換できなかった1ドルが100円で手に入る状態です。つまり、海外の商品を安く買えます。輸入に有利です。石油などの資源を安く買えたり、ワインや食材なども安く輸入できます。海外旅行での買い物もお得になります。

円高デメリット

円高が輸入に有利ということは、輸出にはデメリットになります。例えば日本企業が海外で1ドルで売っている製品を円に交換すると今までは120円だったのに、円高になると100円と20円分も手取りの円が少なくなってしまいます。この差額20円分を回収しようと製品を値上げすると今度は売りにくくなり業績に影響が出る可能性があります。円高は輸出産業にとっては打撃になります。

円安メリット

円安は1ドル100円が120円になる状況です。円の価値が安くなっています。今まで1ドルを得るのに100円だったのが、120円必要になります。輸出企業にとっては有利になります。これまで1ドルの製品を売ると日本円だと100円の売上高が120円と20円も増える形になります。為替で有利になる分を利用して製品を値下げし価格競争力から物が良く売れ売上高が増える可能性もあります。円安になると輸出企業の業績にとってはプラスになります。また、投資家にとって外貨建の資産価値が高まるのもメリットです。

円安デメリット

円安になると輸入については不利になります。これまで1ドルの製品を100円で輸入できていたものが120円必要になる状態です。日本は多くのものを輸入に頼っています。石油など資源エネルギーの輸入コストが上がると、電気・ガス代、ガソリン代などが値上がりします。輸入食品の値上がりも私たちの日々の暮らしに影響が出ます。海外旅行も割高になり行きにくくなります。

為替相場が動く理由とは

為替相場は、24時間取引が行われています。為替相場は需要と供給のバランスで動いています。24時間取引のうち、特にロンドン市場とニューヨーク市場の時間が重なる日本時間22時~24時の値動きが大きくなる傾向があります。市場参加者も多種多様で、それぞれの目的をもって取引をしています。例えば、グローバル展開している企業、銀行や証券会社や保険会社などの金融機関、年金基金やヘッジファンドなどが市場参加者になります。為替市場では、企業が輸出・輸入で使うための実需による取引から、金融機関やヘッジファンドなどによる投資や投機筋など取引目的も多岐に渡ります。

為替相場は、様々な要因で動きます。例えば日本企業の米国への輸出が増えれば、ドルで受け取った代金を日本円に交換するため、ドルを売って円を買う取引が増え、円高・ドル安の傾向になります。外国人投資家が日本の株式を購入する量が増えれば、ドルを売って円を買う動きが強まります。

物価や金利の変動も為替相場に影響を与えます。2021年3月の為替相場では、米景気の回復期待を背景に日米の金利差が拡大し、円を売ってドルを買う動きが強まり円安・ドル高が進みました。一般的に、景気が改善し、金利が上昇した国の通貨は買われる傾向にあります。

国の経済や財政状況なども為替相場に影響を与えます。基本的には、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)が良い国の通貨は高くなる傾向があります。一方、財政赤字が深刻化すると、その国の国債を買おうとする投資家が減るし、その国に投資をしようとする企業も減るのでその国の通貨は売られる傾向があります。

この他にも、投機的な動きから為替相場が動いたり、各国政府や中央銀行が為替相場を安定させる目的で外国為替市場に市場介入することがあります。

この様に、円高・円安と為替相場が動くのは様々な事象が絡むため一概に一つの要因とは言えないことが多いです。

※過去のドル円相場の動き。円高・円安を繰り返して推移してきた。

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「円高不況」とは

為替相場が円高傾向になると、自動車や半導体、精密機器などの輸出産業は、割高な値段で輸出することになるため、価格面での競争力が低下し、収益が悪化する傾向があります。これを「円高不況」と言います。1ドル=120円で売ろうと思っていたものが、1ドル=100円と円高になると、同じドル建ての価格で売っても、円で入ってくる金額が少なくなってしまいます。一方、利益を確保しようと為替の20円分の差を現地での販売価格に上乗せすると販売価格が上がってしまい、海外で売りにくくなってしまいます。

一般的に輸出入産業の企業は、業績の見通しや事業計画を発表する時に「想定為替レート」を発表します(ドル円が大きく変動したらチェックしておきたいのは各企業の想定為替レートの一覧記事)。想定為替レートとは、為替はこれくらいの水準で予想していますと事前に決めておく為替レートです。ただ、為替相場は変動するので、決算をまとめる段階で想定為替レートからずれることが多々あります。

輸出企業にとっては、想定為替レートから円高になっていれば、予想より業績が悪化し、円安になっていれば業績が改善することになります。大手企業にとっては、為替が1円動くことで業績が想定より数百億円単位で変わってくるので、為替相場の動向はとても重要になります。

輸出 輸入・
海外旅行
円高 不利 有利
円安 有利 不利

円高・円安と株価の関係性

為替相場での円高・円安の動きは、株式相場にも大きな影響を与えます。説明した様に、輸出入企業にとって為替の動きは業績に直結するので、為替相場の動向で株価も影響を受けます。

一般的には、円安傾向になると輸出企業の収益が改善し、株価が上がる傾向にあります。円安時に株価が上昇しやすい銘柄には、自動車、ロボット、電子部品、精密機械、鉄鋼産業などがあります。

一方、円高は、輸入企業にメリットがあります。円高時に株価が上昇する銘柄は、石油・ガス、食料品、輸入家具、紙や木材など原料産業などがあります。なお、国内で完結する飲食や不動産業界などは為替の影響を受けにくいです。

この他、為替による外国人投資家の動向も株式相場へ影響します。外国人投資家は円高・ドル安の方が円建て資産への投資はドルからみて有利になります。主役は外国人なので、円から見るのではなく、ドルから見ます。分かりやすくするために、1円=100ドルが1円=120ドルのドル安となったと想定してください。ドルで考える外国人投資家にとって、100ドルで買ったもの(たとえば1円分の日本株資産)が売るときに120ドルになっているため、為替で20ドルの利益がでます。ただ、円高になると海外の機関投資家や年金の運用資産に占める円資産の割合が高まってしまい、全体のバランスを取るために日本株を売る動きにつながるケースもあります。為替の影響による外国人投資家の動きは、その時々の状況によって異なるので状況に応じた判断をする必要があります。

※青線がドル建て、赤線が円建ての日経平均。2019年4月初を100とした。円相場の変動によって、パフォーマンスの優劣が変わる。

為替の資産運用への影響は、日本人にとってみれば逆。つまり、為替ヘッジをかけず、日本円をドルに換えて米国株を購入したとき、円安になるほど円建ての価値(含み益)は上がるということです。日本人が海外通貨建て資産を買うのなら、円高時に買い、円安時に売ると、為替部分で有利になるということです。

また、為替・金利・株式相場は密接に関係しています。金利の変動が、為替に影響を与え、為替が動くことで、株式相場が影響を受ける。為替・金利・株式のどこが「きっかけ」になってもおかしな話しではなく、どこかが動くことで、連鎖的に他の相場へも影響がでる関係性です。株式相場の動向を占うには、為替相場も金利動向も把握することが大切です。

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    まとめ

    円高・円安の為替の動きは、株式相場にも大きな影響を与えます。投資をする際には為替相場の動向にも注目しながら、投資対象を選別しましょう。

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    著者名

    QUICK Money World 辰巳 華世


    投資経験 10年以上
    投資商品

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    2022/10/24 17:57

    コメント
    0/500
     
    投資経験 10年以上
    投資商品

    輸入、輸出が絡む事業では、為替が重要ですね。

    22/500
     

    2021/7/30 23:42

    コメント
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