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賃金インフレのリスクに注意!

「今さら」の感もありますが、改めて、様々な資産の期待リターンを取ってみると、米国成長株式の期待リターン(益回り)はわずか3.2%で、米国割安株式の期待リターンとのスプレッドを取るとワイドな水準です。

※主要な株式市場と社債市場の期待リターン

※米国割安株式と成長株式の期待リターンのスプレッド

レイ・ダリオはよく、投資家が陥りやすい最大の過ちのひとつとして、「投資家は過去のリターンを外挿する」(≒投資家は最近のリターンがずっと続くと思い込む)と言います。債券価格と利回りの関係を考えればわかりやすいように、あらゆる資産はキャッシュフローに対して買い進められれば、その期待リターンは小さくなります。

※米国成長株式の期待リターン vs 実際のリターン

分散投資を心掛けたいところです。

7月の米求人件数はさらに増加

先週の冒頭部分で、筆者は、以下のチャートを出しつつ、労働市場の旺盛な需要とミスマッチ、そして、賃金インフレのリスクについて触れました(→その後、7月の求人労働移動調査(JOLT)が発表され、米国の求人件数は過去最高水準に増加しました)。

※求人件数 vs 労働人口

合わせて、先週、賃金インフレに関連するデータがニューヨーク連銀から示されました。

労働者は高い賃金を求める

2021年7月のニューヨーク連銀ミクロ経済データセンター・労働市場調査(消費者期待調査の一部)によれば、労働者の「留保賃金」はさらに上昇しました。留保賃金とは、転職を喜んで受け入れる最低賃金のことです。この結果を言い換えれば、労働市場の需給が引き締まる中、労働者は労働市場に「強気の姿勢」で臨んでいるようです。

※留保賃金:転職を受け入れる最低賃金

実際には、学位別で見ると、パンデミックを経た大幅なインフレ(前年同月比4-5%程度)にも関わらず、「4年制大卒以上の学位を持つ労働者の留保賃金」は以前並みの伸びにとどまります。対照的に、「4年制大卒に満たない学位を持つ労働者の留保賃金」は大幅な上昇になっています。

※学位別の留保賃金:転職を受け入れる最低賃金

こうした留保賃金上昇(≒労働者の強気姿勢)の背景として、ひとつには、特に相対的に賃金が低い職種に関して、労働者が旺盛な労働需要を目のあたりしていることが挙げられます。他方で、労働供給が細っていることも挙げられそうです。

労働者は早期リタイアの傾向

同じ調査によれば、「62歳を超えて働くつもり」と回答した労働者の割合は、パンデミック前から低下傾向にあります。

※「62歳を超えて働く」と回答した人の割合

次の図のとおり、学位別に見ると、留保賃金の伸び率が高い「4年制大卒に満たない学位を持つ労働者」は「4年制大卒以上の学位を持つ労働者」に比べて、早期に労働市場から退出する傾向にあります。

※学位別:「62歳を超えて働く」と回答した人の割合

求人件数が減らず、労働力人口が増えない背景には、早期リタイアを選択している人が少なくなく、パンデミックが彼らの背中をさらに後押した(=早期リタイアが増加した)可能性があります。

①早期リタイアが増え、②パンデミックで移民や出稼ぎも制限される中、米国の労働力人口はパンデミック前の水準を回復するのに時間を要し、他方、得られる限りの労働力が雇用される過程で、失業率は米連邦準備制度理事会(FRB)の想定よりも早く低下し、賃金の高い伸びが続く可能性があります。

※就業者数 vs 労働力人口

足元で、米国の消費者のインフレ期待は上向いています。

※消費者の期待インフレ率

※消費者の期待賃金インフレ率

現時点では杞憂と考えたいですが、仮に「米国の労働力人口がパンデミック前を緩やかにしか回復しない」といった事態を金融市場が目の当たりにすれば、ドルは買いでしょうか、売りでしょうか。デフレと思えば買い、インフレなら売りです。

 


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著者名

フィデリティ投信 重見吉徳


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