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なぜ資産運用にコーチングが必要なのか(フィデリティ投信 重見吉徳氏)

フィデリティ投信マクロストラテジストの重見吉徳が日本の投資家の皆様に、マーケットの動きを理解するためのヒントをお伝えします。

インフレに火が付いているように見えます。その背景として、以下の要因が挙げられます。

①新型コロナウイルス・パンデミック(→原材料などの生産稼働率の低下や輸送手段のひっ迫)

②国家間の対立(→人権問題などでのロシアとEUの関係悪化と、ロシアへの天然ガス依存;ロシアからの新設パイプラインを巡る欧州内の対立)

③国内での対立(→国内を二分したEU離脱によって英国人の雇用を守るためにEU域内からの労働者の流入・移動を制限しようとしたら、結果的にガソリンを輸送するドライバーが不足した)

④気候温暖化対策(→投資家による資源企業への投資抑制と、企業の設備投資手控えによる供給不足;温暖化対策の途上としての天然ガスへの需要増加;天然ガス価格高騰による原油への需要増加)

そして根っこには⑤金融緩和によるマネーからの逃避や実物資産への需要もあり、いずれも「あちらが立てば、こちらが立たず」「堂々巡り」という状況です。

コモディティ価格・期待インフレ率・10年金利が上がるなら、どのセクターがアウトパフォームするか

急に実践的になりますが、以下に3つのシンプルなチャートを用意しました。現状が続く場合には、バリュー系のセクターが全体をアウトパフォームしそうです。

※先進国株式の業種別相対リターンとコモディティ価格指数との相関係数

※先進国株式の業種別相対リターンと米インフレ連動債市場の期待インフレ率との相関係数

※先進国株式の業種別相対リターンと米10年債利回りとの相関係数

アスリートは専門家との二人三脚

この夏、オリンピックやパラリンピックを観ながら、改めて「誰もひとりでは輝けない」と感じました。ひとりのアスリートには、動作のほか、メンタルや疲労回復を支えるコーチやトレーナー、管理栄養士といった専門家たちが何人も付きます。

我々も、外部の専門家にコーチングを受けることは一般的になりつつあります。例えば、ゴルフやヨガ、ランニングや筋トレのフォームやメニュー、運動や食事の量と内容の管理などです。我々は、お金を支払い、彼ら専門家の技術や時間を買います。そうする理由はふたつあるでしょう。

ひとつは、十分に楽しむためには上達することが最善・最速の方法であり、上達するためには、美しいフォームや合理的な方法により、練習を積み重ねることが必要だからでしょう。「自分ひとりでできる」と思ってお金を渋ると、上達に時間がかかったり、離脱したりして、時間というコストを支払う場合もあります。

専門家に対価を支払うもうひとつの理由は、上達や目標達成に向け、あるいは、スランプやプラトーの時期(停滞期)を通じ、離脱することなく忍耐強く継続するためには、コンスタントな励ましや見守り、フィードバックが必要だからでしょう。

他方で、専門家の力を借りる我々もまた、なにかの専門家であり、専門性を交換することで、経済は成り立っています。

向かい風にひとりで立ち向かえる?

では、日本の個人投資家の資産運用はどうでしょうか。少額投資非課税制度(NISA)や「老後資金2000万円不足問題」、パンデミックなどをきっかけに資産運用を始めた「新しい個人投資家たち」は、インターネット証券に口座を開き、「自分ひとりで個別の銘柄や投資信託を選んでいる」ようです。

書店に行けば、「資産運用」に関する書籍は「自己啓発」に関する書籍と共に2大エリアを構成しており、新しい個人投資家たちは資産運用について自学自習をしているようです。弊社の「ビジネスパーソン1万人アンケート」でも、「長期・分散・積み立ての有効性」についての理解が年々、広がっていることが確認されています。株式指数への連動を目指すインデックス型の投資信託やETF(上場投資信託)が広がっていることも自学自習の反映でしょう。

長く続いている強気相場を見る限り、彼らの資産運用は、専門家の力を借りるまでもなく、大変うまく行っているように見えます。しかし、彼らの成功が、NISAの普及や「長期・分散・積み立ての有効性」への理解によるものか、巨大な金融緩和や勢いのある強気相場のためかと問えば、理屈では後者が答えです。

ランニングに例えれば、彼らの体調は非常に良く、追い風の中、平地を颯爽と走っています。しかし、彼らはまだ、向かい風もスランプも経験もしていません。ランニングでは、向かい風は執拗なほどに強く感じられますが、追い風は不思議なほど背中には感じられないもので、始めたばかりのランナーが風に気づくのは「折り返してから」です。著名投資家のレイ・ダリオはしばしば「人間の典型的な過ちは、サイクルを認識せず、最近という過去がずっと続くと勘違いすることだ」と言います。

今後、先進国の金融市場では、中央銀行による流動性の追加支援がなくなる転換期を迎えます。また、追加支援の停止のみならず、金融引き締めを模索する中央銀行も少なくありません。そして、過去は、流動性の追加供給が止まって「クッション」がなくなると、金融市場は、欧州債務危機やチャイナ・ショック、米中貿易摩擦などのイベントに脆弱になりやすいことを示しています。

また、中国の金融市場でもモラルハザード(倫理の欠如)を防ぐために、暗黙の公的支援を否定するという、大きな転換期を迎えます。中国は、日米に学んでいる分、不動産市場や金融システムへの影響を最小限に留めるでしょうが、何度も続いてきた暗黙の公的支援を一度、明確に断ち切り、金融市場に規律を与える必要があります。

すなわち、今後、実体経済も金融市場も流動性の支援を得られず、自立を求められます。それは、投資家も同様です。

資産運用にもコーチングを

こうした中、筆者は、ひとりで資産運用を行う新しい個人投資家のことが気がかりです。

変動性が大きくなると、頭の中では「長期・分散・積み立て」の有効性を理解していても、心は冷静ではいられないものです。積み立てを続けて良いのか、すべてを売ったほうが良いのか、本当に分散できているのか、と不安になるものです。

新しい個人投資家は、人間は同じことを繰り返す生き物であり、自分も例外ではないことと、どの専門分野も「自分ひとりでできる」ような、簡単なものではないことを想像する必要があります。言い換えれば、資産運用の専門家であるファイナンシャル・アドバイザーにコーチングを受けることも一案です。

これまで彼らの印象は良くないかもしれません。しかし、彼らは生き残りをかけて変わりつつあります。最近の証券会社や銀行は、個人投資家のポートフォリオや金融市場のサイクルを考えつつ、個人投資家が長期目線で分散投資ができるような投資信託を採用することを心掛けています。例えば「これまで大型・成長株式が隆盛を極め、主要な株式指数もそうした銘柄に偏り、金融政策が正常化に向かうならば、分散のために小型・割安株式を投資家に届けよう」といった具合です。

また、最近の彼らは自社の顧客に手数料を控除した後でもインデックスを上回る成果を届けることを企図し、我々運用会社に、長いトラックレコード(運用歴)があり、安定的に指数を上回っているファンドを求めます。結果として、弊社を例に取れば、米国や欧州で長く生き残ってきた哲学と実績のある運用戦略を日本の個人投資家の皆様に提供しています。

ファイナンシャル・アドバイザーのイメージは次のようなものかもしれません。すなわち、サイクルを見て、投資家にアドバイスをし、ポートフォリオに影響を与えます。その後の市場とポートフォリオの動きを受けて、投資家に状況の説明とフィードバックを行い、次のアクションを提示します。

しかし、ファイナンシャル・アドバイザーには、もっと重要な役割があります。それは、金融市場がスランプやプラトーに陥ったときに、投資家のそばに寄り沿い、資産運用のゴール(目的)をリマインドすることです。

資産運用こそ「自分でできる」と思わず、常に皆さんの側に立つファイナンシャル・アドバイザーを見つけることをお勧めします。

 


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著者名

フィデリティ投信 重見吉徳


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