QUICK Money World(マネーワールド)

個人投資の未来を共創する
QUICKの金融情報プラットフォーム

ホーム 記事・ニュース 2022年、自分への問いかけ:「世界は変わるのか」(フィデリティ投信 重見吉徳氏)

2022年、自分への問いかけ:「世界は変わるのか」(フィデリティ投信 重見吉徳氏)

テクノロジーは、労働者間の競争を厳しいものにし、(資本主義が促す)格差の拡大を後押ししてきたでしょう。有権者や政府は、巨大テクノロジー企業を解体したり、独占企業や富裕層への増税を実現するでしょうか。企業は、労働者を機械で代替することを止めるでしょうか。

気候変動対策に伴う経済的なコストの上昇は、巨大テクノロジー企業や富裕層が所得に見合う負担をするでしょうか。それとも、重厚長大の装置産業や一般市民が負担するのでしょうか。「持続可能な社会」に伴う生産・消費の抑制は、労働者の所得を減少させないのでしょうか。

有権者は、無関心であり続けるか自由を求めるかわりに、負担の増加や所得の減少、格差を「資本主義だから仕方ない」「エコだから仕方ない」と受け入れるのでしょうか。それとも、有権者は、平等を求め、階級闘争が起き、ベーシック・インカムが実現するのでしょうか。その先には、インフレが待っているのでしょうか。

こうした問いに自分なりに答えるときに、投資をすべきかどうか、投資をするなら、自分自身なのか家族なのか、金融資産なのか実物資産なのかといったことが決まるように思えます。

2021年のリターン・ランキング

【次の図】に示すとおり、2021年1年間の、さまざまな資産に関するリターン・ランキングをつくってみました。

【上位】からおおづかみで眺めると、暗号資産をトップに、エネルギー・産業金属・不動産といった実物資産系が上位、情報技術や金融などの景気敏感株式が続きます。

【プラス・リターンの真ん中】あたりに位置するのが、ディフェンシブ株式や素材、資本財セクターです。

【ゼロ%リターン近辺】に米小型グロース、日本株式、中国株式が来ます。日本株式(TOPIX)は円ベースでは12.7%のリターンでしたが、円安・ドル高で米ドル・ベースでは1.1%のリターンに留まりました。

【下位】に進んで、リターンがマイナスになったのが、債券全般、ゴールドを含む貴金属、新興国株式でした。

※2021年のリターン

シンプルにいえば、2021年は「パンデミック・ロックダウンからの景気回復ストーリー」(①経済再開・景気回復⇒資源や産業金属、不動産に戻り。②金利が上がる⇒金融が良好、ディフェンシブ冴えず、小型グロース冴えず、債券・ゴールド下落)といったところです。

債券軟調といっても、長期金利は依然としてかなり低い

リターンの方向だけを見れば、「金利上昇・株上昇」の業績相場ですから、長期に及ぶ金融相場的な色彩が解消されたようにも映ります。しかし、実際には「長期金利の水準は、パンデミックの極端な低金利がいくぶん解消された程度で、依然としてかなり低く留まっています」。

※FRBの政策金利および米国10年国債利回り

長期金利が上昇しない理由はいくつかありますが、需給ではなくロジックに焦点を当てたものとして、金融市場が「景気の底」から「利上げ織り込み」までを一気に突き進んだことが挙げられるでしょう。

景気のサイクルは、①「景気の底(デフレ)」→②「景気回復(リフレ)」→③「景気拡大(インフレ)」→④「利上げ(インフレ抑制)」といった形で進んでいきます。

過去2回のサイクルでは、③の「景気拡大」の勢いが緩やかで、インフレも鈍いために、④の「利上げ」がかなり遅く訪れるといったふうでした。しかし、今回は、景気後退が金融危機や信用収縮を伴わず、供給制約も影響しているために、③「景気拡大(インフレ)」の勢いが強く、まもなく④「利上げ」が訪れると見込まれています。すなわち、米連邦準備制度理事会(FRB)への信頼が厚く、「FRBはインフレを看過しない」と見ているわけです。

債券市場は「世界は変わらない」と見ている

FRBへの信頼だけではありません。【次の図】に示すとおり、金融市場は「FRBが考えるほど(→打ち止め2.5%)には利上げは継続できず(=さほどインフレは持続せず)、利上げはせいぜい1.5%程度で止まる」と見込んでいます(⇒ならば、10年国債利回りもその程度に留まっているのは不思議ではありません)。

※FRBによる利上げの見通しと金融市場による利上げの織り込み

また、原油も昨年からの戻りはあったものの、今後もどんどん上がっていくと見ている人はほとんど見当たりません。

※ブレント原油先物カーブ

債券市場は、「A. FRBは現下のインフレに積極的に対応し、しかも、B.根っこの低インフレの世界も変わらない」と見ています。「過去40年の低インフレが継続する」という債券市場の外挿が、株式市場のセクター配分にも影響を及ぼしているでしょう。

過去40年にわたって「ディスインフレ」の中心であったのは、中央銀行への信頼、低賃金の労働供給を含むグローバル化、高齢化(⇒貯蓄増加)、資本蓄積(=資本の期待リターンの低迷)です。

いまは、これらに格差が加わり、テクノロジーが格差を強化しています。そして、気候変動対策やSDGsが、「質素な生活」として総需要を抑制したり、特定のセクターや一般家計に負担を強いれば、低インフレや格差を支援する可能性があるでしょう。

これらの方向性がどうなるのか、有権者や政府は社会を変えていくことができるのかを考えることが、投資のヒントになるかもしれません。

2021年12月のレビュー:「オミクロン株はさして心配ない」との見方が強まる

最後に、2021年12月のレビューをしておきます。12月は、オミクロン株への悲観が一部解消し、金利上昇・株上昇の「業績相場」となりました。FRBによる利上げの織り込みが進み、イールドカーブはフラット化しました。米国リートが大幅に上昇し、米国ハイ・イールド債券も高格付け債対比でアウトパフォームしました。

このほかの出来事としては、

①中国恒大集団の経営再建・債務再編に向けて人民銀行や広東省政府が介入の意向を表明
 ②中国が預金準備率・政策金利を引き下げ
 ③中国が中央経済工作会議で企業の減税やコスト削減策・家計の住宅取得支援策などを表明・不動産規制や独占禁止などは再強調
 ④ウクライナ情勢をめぐる米ロ首脳協議が不調に
 ⑤ウクライナ情勢の緊迫から天然ガス価格が急騰
 ⑥欧州で温暖化ガス排出量の取引価格が最高値
 ⑦米国が『民主主義サミット』を主催
 ⑧米ファイザーと独ビオンテックが3回目接種のオミクロン株への効果(抗体量の増加)を公表
 ⑨米疾病対策センター(CDC)が新型コロナウイルス感染者への推奨期間を短縮化
 ⑩米議会が連邦政府債務の法定上限を引き上げ
 ⑪米民主党のマンチン上院議員が1.75兆ドル規模の歳出・歳入法案に反対の意思表明
 ⑫英イングランド銀行が0.15%の利上げ
 ⑬ECBがパンデミックに伴う緊急の資産買い取り制度を2022年3月末で打ち切り
 ⑭米スターバックスで同社初となる労働組合の結成

などが挙げられます。

※S&P500および米国10年国債利回り

※米国債イールドカーブ

※米国10年名目債利回り、10年インフレ連動債利回り、今後10年期待インフレ率

※主要国10年債利回り

※米ドルの平均為替レートおよび米国10年実質金利

※主要な株式市場のトータルリターン

※米国株式市場のトータルリターン

※主要なリート市場のトータルリターン

※主要な米国社債市場のトータルリターン

※多様な資産市場のリターン

※米国株式の予想変動率(VIX)と米国国債の予想変動率(MOVE)

 


フィデリティ投信ではマーケット情報の収集に役立つたくさんの情報を提供しています。くわしくは、こちらのリンクからご確認ください。
https://www.fidelity.co.jp/

  • 当資料は、情報提供を目的としたものであり、ファンドの推奨(有価証券の勧誘)を目的としたものではありません。
  • 当資料は、信頼できる情報をもとにフィデリティ投信が作成しておりますが、その正確性・完全性について当社が責任を負うものではありません。
  • 当資料に記載の情報は、作成時点のものであり、市場の環境やその他の状況によって予告なく変更することがあります。また、いずれも将来の傾向、数値、運用成果等を保証もしくは示唆するものではありません。
  • 当資料にかかわる一切の権利は引用部分を除き作成者に属し、いかなる目的であれ当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固くお断りいたします。

著者名

フィデリティ投信 重見吉徳


ニュース

ニュースがありません。

銘柄名・銘柄コード・キーワードで探す

対象のクリップが削除または非公開になりました
閉じる
エラーが発生しました。お手数ですが、時間をおいて再度クリックをお願いします。
閉じる