【日経QUICKニュース(NQN) 尾崎也弥】株式市場で日経平均株価と中国・上海総合指数の格差が開きつつある。ウクライナに侵攻したロシアに対する経済制裁強化が世界景気を冷やすという懸念は日中に共通する。それなのに上海指数が底堅さを保つのは「政策期待」が下支え役になっているという見方がある。
中国では国会に相当する全国人民代表大会(全人代)が5日に開幕する。今秋の中国共産党大会で異例の3期目を狙う習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)が「中国経済の安定という政権運営の目標を明確に示す場になる」(浜銀総合研究所の白鳳翔主任研究員)とみられている。「インフラ投資拡大を中心に、地方では住宅購入の支援、都市部ではゼロコロナ政策で落ち込んだサービス業の復活など、手厚い政策が期待されている」(白氏)という。
一方、日本の岸田文雄政権に対する市場の評価は厳しい。「日本株は資金の逃避先になってもいいのに、買われないのは政策期待がないからとしか言いようがない」とある個人投資家もぼやく。4日はロシア軍がウクライナ南部ザポロジエにある原子力発電所を攻撃したのを受け、日経平均株価は2.2%安となった。上海総合指数の下げは1%程度にとどまり、その後下げ幅を縮める場面があった。両指数の格差はなかなか解消されない。