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脱炭素と日本株式(上):国家最大の危機と「見える課題」への回帰(フィデリティ投信 重見吉徳氏)

最終更新 2022/7/20 12:00 日本株 フィデリティ 気候変動 脱炭素 ESG

皆さんは、今日見上げた空の青さが、自然に当然に与えられているものなのか、あるいは、過去の誰かの決断や判断によってもたらされているものなのかを考えたことがあるでしょうか。

気候変動、ロシアによるウクライナ侵攻、そして先週末のこと、我々は存亡の危機を迎えていると筆者は感じます。

国家は、我々を守ってくれる存在というより、我々自身がその主体です。企業は、我々を守ってくれる存在というより、我々自身がその主体です。「誰かが何とかしてくれるだろう」と思うとき、何とかするのは我々自身でしかありません。我々は自分たちの力で、自分たちを守り、自分たちの危機を乗り越えなければなりません。

はじめに:歴史は韻を踏む

「歴史は韻を踏む」と言います。

「脱炭素」をキーワードに、先進国の環境意識は、大気や水質の汚染、騒音などの公害に悩まされた1960-70年代以来、約50年ぶりに高まっています。

欧州では約80年ぶりに戦争が起き、世界全体で考えれば、約70年ぶりに「二極の分断」が始まりました。それは、約50年ぶりのエネルギー危機に加え、食糧の危機も招いています。

米国は、ウクライナに巨額の軍事支援を提供し、また、日米豪印4ヵ国による安全保障や経済の枠組み(通称『Quad』)、米英豪3ヵ国による安全保障の枠組み(『AUKUS』)、インド太平洋経済枠組み(IPEF)などで、実質的な「中国包囲網」を強めています。

対する中国は、3隻目の空母を進水させたほか、ロシア産の原油輸入量がサウジアラビア産を抜いてトップになり、中露合わせて9隻の艦隊が日本を周回するなど(→国内の各種報道に基づく)、ロシアとの政治・経済・軍事的な結びつきをさらに強めています。また、アルゼンチンとイランは新興5ヵ国グループ『BRICS』への加盟を申請しました。

そして、パンデミックに伴う巨額の財政支出とマネタイゼーション、高齢化に伴う労働供給の減少、「世界の分断」による食糧とエネルギーの供給遮断、国防支出の増加などによって、世界経済では約50年ぶりに「ディスインフレからインフレへの転換」が起きつつあります。

合わせて、世界や米国の株式市場では、「成長株式から割安株式への転換」、「テクノロジー企業などのソフト/インタンジブル(無形の)銘柄から、資源や素材株式、商品、リートなど実物資産へのシフト」が起きています。

米国の政府支出(GDP比)とインフレ率(前年同月比)

「見える課題」への回帰:国家最大の危機に瀕する日本とその活路

今後を考えると、①環境保護の意識・気候変動対策によって、投入・生産・消費の社会的・経済的コストが高まり、②世界の分断によって食糧・エネルギーの供給も分断され、③高齢化に伴って労働供給が減少することで、世界の生産技術の力点は、1990年代以降の「情報技術」から、再び「工業技術」に置かれる可能性があるでしょう。

言い換えれば、「物質的な平和」は終わり、我々は再び、「モノに関する課題」に対処することになるでしょう。例えば、気候変動対策に伴い「モノを以前よりも少ない材料やエネルギー、人手で生産すること」もそうですし、東西の分断により「食糧やエネルギーの供給が不足する」こともそうです。

いわば世界は再び、「見える課題」の解決を求められています。資本が投下されるテーマや分野が変わり、成長企業の陣容も変わる可能性があります。

こうした変化は、1970-1980年代と同様、日本の製造業や彼らが持つ技術にとっての好機である可能性があります。

もしかしたら、日本の企業は、インターネットやプラットフォームなど「ソフトで、見えない課題」を解決することや、あるいは「課題そのものを見つけること」は上手ではないのかもしれません。

他方で、「ハードで、見える課題」を解決するのは得意分野であるように思えます。1960年代の公害問題を抱えて迎えた70年代のニクソン・ショック(金・ドルの兌換停止)やオイルショックは日本にとって「戦後最大の危機」であり、日本はその危機を省エネや省力化、代替エネルギーなどの工業技術で乗り越えました。それは、80年代の飛躍につながりました。

そして、今日、食糧やエネルギーの調達、高齢化、地政学リスク、そして「闘う政治家」の喪失を考えると、日本は「国家最大の危機」を迎えていると言っても過言ではありません。

危機こそが、イノベーションにとっての好機です。

ただし、企業や社会のメンバーひとりひとりが「危機を認識し、これを共有できるかどうか」が、我々自身の現在と未来にとって最も重要なカギとなるでしょう。

日本の鉱工業生産とTOPIX

(次回「1960-90年代の日本」に続きます)

 


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フィデリティ投信 重見吉徳


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