【日経QUICKニュース(NQN) 池田幹】任天堂(7974)株が急落している。家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の2023年3月期(今期)の販売台数計画を引き下げ、市場に驚きが広がった。半導体不足による供給制約の解消で回復が見込まれていたが、「ポケットモンスター」の新作効果を打ち消すほどのスイッチの不振を受け、市場は需要減に対する懸念を強めている。
8日午前の東京株式市場で任天堂株は前日比478円(8.5%)安の5146円に沈み、22年1月に付けた株式分割考慮ベースの昨年来安値(5145円)まであと1円と肉薄した。23年3月期の連結純利益が前期比23%減の3700億円になりそうだと7日に発表し、従来予想(4000億円)から引き下げた。市場予想平均であるQUICKコンセンサスの4725億円(1月20日時点、17社)も大きく下回り、嫌気した売りが強まった。
業績予想の前提となる想定為替レートを1ドル=135円から125円へと見直したことなどが影響したが、特に市場が注目したのはスイッチの販売計画だ。今期の販売台数は前期比22%減の1800万台と、従来計画から100万台引き下げた。半導体不足による供給制約の緩和を受け、挽回生産を見込んで販売計画は据え置かれるとみられたが、米国での販売が落ち込んだ。
販売不振の背景には、新型コロナウイルス禍で高まった巣ごもり需要のはく落がある。行動制限が緩和されて外出機会が増え、ゲームをする機会が減った。任天堂は「消費行動の多様化が進み、スイッチの販売を大きく増やすことが難しくなっている」(広報担当)と説明した。市場では「インフレなどの影響で消費者の需要が減退した可能性がある」(野村証券の三木成人リサーチアナリスト)との指摘もあった。
ソフトの年間販売計画が引き下げられたことにも「想定外」(東洋証券の安田秀樹シニアアナリスト)との受け止めが広がった。「ポケモン」の最新作「スカーレット・バイオレット」投入の追い風が吹き、市場ではむしろ上方修正するとみられていた。実際には販売計画は前期比13%減の2億500万本と、従来計画から500万本引き下げられた。
投資家の関心は24年3月期(来期)に移りつつあるが、視界は依然として良好とは言えない。5月には「ゼルダの伝説」シリーズの新作ソフト「ティアーズ オブ ザ キングダム」の発売を控える。「米国で人気の高いシリーズでコアなファンの需要を取り込める」(東海東京調査センターの福田聡一郎シニアアナリスト)との声もある。

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