【NQNニューヨーク=三輪恭久、川上純平】
■エヌビディアが一時5%高 「AIで優位性高まる」との声
22日の米株式市場で半導体のエヌビディア(NVDA)が8日続伸し、一時は前日比5.3%高の275.89ドルを付けた。21日、人工知能(AI)開発者向けイベントの基調講演で企業がAIを利用できるようにするサービスや、次世代AIの開発でソフトウエアのアドビとの協力を拡大することを発表した。これを受けて目標株価を引き上げるアナリストが相次ぎ、好感する買いが入った。
バンク・オブ・アメリカは投資判断を「買い」で据え置き、目標株価を275ドルから310ドルに引き上げた。講演内容について「(取り組みの)範囲と野心は発展初期にあるAI市場でのエヌビディアの優位性を強化する」と指摘。株価の上昇余地が広がったと分析した。
トゥルイスト証券は目標株価を266ドルから289ドルに引き上げた。発表されたサービスは「会社の成長を加速させる」と予想。AI市場におけるエヌビディアのリーダーシップは「ますます議論の余地がないものになった」と強調した。
■ルミナー・テクノロジーズが16%安、株価に割高感との指摘
22日の米株式市場で自動運転技術のルミナー・テクノロジーズ(LAZR)が急落し、一時は前日比15.8%安の6.51ドルを付けた。ゴールドマン・サックスが投資判断を「中立」から「売り」に引き下げた。他社との競争が激化するなか、株価に割高感があると指摘し嫌気した売りが広がった。
ゴールドマンのアナリストは、自動運転技術におけるルミナー・テクノロジーズの競争力を評価しつつも「競合他社も顧客を獲得する力を持っている」と指摘する。今後も競争が激しさを増し、利益率の伸び悩みにつながる可能性があると分析した。
株価は2022年に71%下落したあと、23年は前日までに56%戻した。足元にかけての株高を受け、ゴールドマンのアナリストは「バリュエーション面で割高感がある」と指摘した。目標株価は引き続き5ドルとし、21日終値から35%下落する余地があるとみている。
■ボーイングが続落 給油機の納入遅れで防衛部門の収益悪化
22日の米株式市場で航空機のボーイング(BA)が続落し、一時は前日比2.8%安の198.88ドルを付けた。米軍向けに空中給油機の納入が遅れている問題で、2023年1~3月期の防衛部門の利益にマイナスの影響があると同社幹部が語ったと22日朝に伝わった。収益回復が遅れるとの見方から売りが出ている。
ブライアン・ウエスト最高財務責任者(CFO)が22日朝、バンク・オブ・アメリカが主催するイベントで語った。ロイター通信によると、空中給油機に搭載する燃料タンクに品質上の不具合があり、追加費用が発生するという。ウエストCFOは「防衛部門の損益は23年1~3月期に赤字になりそうだ」と語った。民間機部門も出荷が伸び悩み、22年10~12月期に比べ悪化するとの見方を示した。
空中給油機のほか、貨物専用機の燃料タンクに不具合が生じていることは一部で報じられていた。タンクを納入するメーカーの生産工程に問題があり、給油機の米軍などへの納入に遅れが生じていた。