【日経QUICKニュース(NQN)】外国為替市場で円安・ドル高が加速している。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ長期化観測が後押しするドル買いは、米政府債務の法定上限引き上げを巡るバイデン米大統領とマッカーシー米下院議長の基本合意でさらに強まりそうだ。29日の東京市場では一時1ドル=140円91銭近辺まで円安・ドル高が進んだ。日本の財務省・日銀が昨年9月、24年ぶりの円買い・ドル売り介入に動いた直前の円の安値は145円台後半で、その「介入ライン」まであと5円に近づきつつある。
このところの円安・ドル高は急速で、財務省・日銀による介入が再び市場で意識され始めてもおかしくない。もっとも、国内では円安を通じた物価高に伴う実質所得の目減りを賃金上昇が相殺しつつあるなど、昨年9月ごろと経済状況は変わってきている。このため為替介入の警戒感が抑えられている面もある。