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原油相場に嵐の予感 OPEC・ロシアの協調減産に綻びも

最終更新 2017/12/1 17:41

原油先物相場に嵐の予感が漂い始めた。石油輸出国機構(OPEC)やロシアなど主要産油国は18年3月に期限を迎える協調減産を2018年末まで延長することで合意した。ただ、最近の原油相場上昇を受けてサウジアラビアやロシアでは減産ムードが薄れており、協調減産体制に綻びも垣間見える。米シェールオイル生産者はすでに将来の価格下落を見込んで備えを進めている。

11月30日にウィーンで定例総会を開いたOPECはロシアなど非加盟の産油国と協調減産を2018年末まで延長することで合意した。減産延長は織り込み済みだったが、これまで内戦などの影響を踏まえて減産を免除されていたナイジェリアやリビアにも産油量の上限が設定されたことは「需給の引き締まりにいくぶん貢献する」(三菱UFJリサーチ&コンサルティングの芥田知至主任研究員)と受け止められた。

ニューヨーク原油先物は日本時間1日の時間外取引で1バレル57.60ドル近辺と、前日の終値(57.40ドル)と比べてやや高い水準で小幅高となっている。株高によるリスク選好の流れも原油市場に波及している。利益確定売りは思ったほど膨らまず結果としてイベントを「無風」通過したように見える。

原油相場に死角はないのか。フジトミの斎藤和彦チーフアナリストは「ここからが(減産合意の)本当の正念場」と指摘する。焦点はサウジの生産動向だ。協調減産の合意内容に基づくサウジアラビアの生産量の上限は日量1005万8000バレルだ。今年1月から始まった協調減産でサウジはいちばん減産してきたが、9月から産油量が前月比で増加に転じ、10月には1005万6000バレルと、上限ぎりぎりに達している。

「これまで減産を進めた一方で、輸出量は減らしていなかったので、足元では国内在庫を増やすために増産している」とサウジは主張しているもようだ。もっとも、市場は冷ややかで「減産を主導してきたサウジが減産に積極的でなくなった」と受け止められている。9月以降は中東の地政学リスクなどを材料に原油相場も上昇し、減産の緊急性は原油相場が1バレル30ドルを切っていた16年冬と比べて低下しているのも一因だ。

「週末にロイター通信がOPEC月報に先立って発表する11月の産油量でサウジの産油量が上限を超え減産を順守しなくなれば、相場急落の引き金となりかねない」(斎藤氏)という。

サウジと断交が続くイランもサウジが減産しなくなれば、減産を順守するとは考えにくい。ロシアも「最近の原油高に伴うルーブルの上昇による自国経済への影響を不安視している」(石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之主席エコノミスト)といい、OPEC非加盟の産油国にも協調減産の足並みの乱れが見られる。

次回18年6月の総会では減産政策が見直される予定で、いったんは合意に至った18年末までの協調減産延長が完全に履行されるかはまだ不透明だ。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉報告によると、投機筋の買越幅が拡大する一方、投機筋以外の商業部門の売越幅も大きく膨らんでいる。「米シェールオイル生産者が将来の価格下落リスクを防ぐために差損回避(ヘッジ)売りをかけている」との見方が多い。

今後、需給の緩みで原油価格が下がっても生産者はあらじめヘッジして確定させた売値で売ることができるため、供給過剰感はますます強まることになる。そうなれば、投機筋も買いで持ちこたえることは不可能だろう。年末にかけてはこうした急落リスクにも目配せしておいたほうが良さそうだ。

【日経QUICKニュース(NQN) 尾崎也弥】

※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

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