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米長期金利、なぜ上がる② 原油と賃金にインフレの芽

金利は一般的に、当該期間の「実質経済成長率」と「インフレ率」で決まると言われている。将来の成長率やインフレ率は現時点では確定していないことから、両者の予想(期待)を反映したものが金利ということになる。予想は過去のデータの影響を受ける。経済指標や市況変動を受けて金利が動くのは、そのためだ。

2009年7月に始まった米国の景気拡大局面は、今年7月には10年目に入り、戦後最長となる「10年」が視野に入る。歴史的な好景気にもかかわらず、10年物米国債の利回りでみた米長期金利はリーマン・ショック前の水準には戻っていない。一因は物価(期待インフレ率)の伸び悩みにある。

米GDP成長率と米10年物国債利回り(QUICK FactSet Workstationで作成)

 

原油価格が物価に与える影響は大きく、期待インフレ率との連動性も高い。2011年から1バレル=100ドル前後で推移していたWTIは2014年後半から大幅に下落。BEI(ブレーク・イーブン・インフレ率=債券市場が織り込む期待インフレ率)も低下した。

米BEI(期待インフレ率)とWIT(QUICK FactSet Workstationで作成)

賃金の上昇も物価を押し上げる大きな要素だ。賃金上昇はコストの増加によるサービスや商品価格の上昇だけでなく、所得の増加による需要の拡大をもたらす。需要が増えることで価格が上がり、更に賃金も上昇するという循環的な物価上昇につながる。

逆に賃金の上昇がなければ、持続的な物価上昇は起こりにくい。賃金上昇率の伸び悩みが、2017年までの金利上昇を抑える要因になっていた。

米賃金上昇率とCPI(QUICK FactSet Workstationで作成)

しかし、原油価格は2017年後半から徐々に水準を切り上げ、WTIは60ドル台を回復。2018年2月2日に公表された1月の米雇用統計では賃金上昇率が2.9%と、2008年以来の水準に達した。インフレ観測の高まりから、米長期金利は急上昇し、14日には一時2.92%と2014年1月10日以来、ほぼ4年1カ月ぶりの高水準を付けた。

良好な経済状況のなか、トランプ政権は減税やインフラ投資など、よりインフレにつながる政策を進めようとしている。インフレが加速するようなら、金利は一段と上昇するだろう。一方、市場は米国の好景気を前提に動いており、その前提が崩れれば、これまでのトレンドが反転することもあり得る。いずれの方向に向かうかは、今後の米景気や物価動向次第だ(③に続く)。

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