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ESGとESGとESG そして哀しき日本郵政株〒 

QUICKコメントチーム=岩切清司

ESG(環境・社会・ガバナンス)投資は残念ながらEgoistic(身勝手)でSavage(獰猛な)Greed(強欲)な面を持つのではないかと以前、コラムで書いた。保険販売のノルマ達成を優先するあまり、驚くような不適切な手法が横行していたという今回のケースは、それを地で行く話に見える。

日本郵政(6178)が揺れている。子会社で不祥事が相次ぎ、嫌気した株売りが止まらない。2月に1369円の年初来高値を付けてから、足元では1000円割れも視野に入った。ゆうちょ銀行(7182)では投資信託の販売で社内ルール違反が発覚したのに続き、かんぽ生命(7181)の保険の販売では顧客に不利益すら発生するなどグループへの信頼感が急速に低下している。

企業の不祥事については経営者の監督責任が問われるのが常。昨今ではESG投資の存在感は強まっており、今回の問題でもガバナンスに焦点が向かう。

そもそも日本郵政は自社サイトで「日本郵便・ゆうちょ銀行・かんぽ生命保険等からなる日本郵政グループの持株会社です。郵便局ネットワークの安心・信頼を礎として、地域のお客様の生活を支援する『トータル生活サポート企業グループ』を目指します」と自らを規定している。グループ戦略を担うだけに、子会社の不祥事はガバナンス問題に直結するのは仕方がない。

ニュース報道を人工知能(AI)で分析し、ESG評価に活用する英アラベスク・アセット・マネジメントが算出するデータでは、かんぽ生命やゆうちょ銀のESGスコアは目立って変化していない。大きな反応を示しているのが、その親会社にあたる日本郵政だ。

アラベスクの「S―Ray」より

7月初旬に40を超えていたESGスコアは8月1日時点で38にまで低下。スコアが算出される日本企業の566社の中では下から41番目という低水準に位置するようになった。

日本郵政は国内の株式市場だと「サービス業」のセクターに所属するが、ESGでは「保険」や「金融」となる。アラベスクのデータで「金融」のESGスコアのセクター平均は44.75。セクター首位には64.9で東京海上(8766)。T&DHD(8795)が63.65で続き、MS&AD(8725)が61.15でトップ5に入っている。

ESG投資といってもスコアやレーティングがそのまま運用やパフォーマンスに直結するわけではない。多くの機関投資家がESG指数に連動するパッシブ型の運用を採用しているためだ。代表例は公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)だ。

ESG指数に採用されないと投資マネー流入の恩恵は受けられない。ESG指数はセクター内でレーティングの高い銘柄を採用するのが一般的なルールだ。日本郵政は元々、ESGスコアが低いうえセクター内の上位を「保険」が占める。この現実を反映し、MSCIやFTSEが算出する日本の代表的なESG指数には採用されていない。

皮肉な話だが、一連の不祥事からガバナンスの評価が下がろうとも、指数に採用されていないためESG投資家から売りが出るといった需給不安は皆無と言える。

ただ、不祥事がもたらす意味合いはこれまでとはわけが違う。日本郵政のESGレーティングが引き上がるのには時間がかかる。そのぶん「ESGマネーの恩恵が受けられない大型株」とのレッテルが貼られやすい。短期的には割安感からの反発を期待した買いも入るだろうが、中長期的にはアンダーパフォームする公算が大きくなっている。

もうひとつ、今回の不祥事は、Emergency(緊急事態)、Stagnate(停滞させる)、Governmental Stock Sale(政府による郵政株売り出し)でもある。震災復興に充てるはずの資金調達に迷惑をかけるのは、やはりESG落第というほかないだろう。

参考記事:ESGって「ESG」なの? 高スコア銘柄の値動きに見るマネーの本質 (5/17配信)

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