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アジア発サムライ債が続々、出し手にも買い手にも魅力 スリランカ「初」へ

NQNシンガポール=村田菜々子

アジアの発行体による円建て外債(サムライ債)の発行機運が高まっている。インドネシアの政府系発行体が起債に踏み切るなど裾野が拡大。今後もスリランカが初めての発行を目指していると伝わったほか、今年3月に30年ぶりのサムライ債を発行したばかりのマレーシアも第2弾を検討していると明らかにした。高利回り債への日本の投資家の需要を見込んだアジアの発行体が続々と参入している。

マレーシア政府、JBIC保証で追加起債

マレーシアでは8月、政府がサムライ債の追加発行を検討していると伝わった。3月発行の前回債と同じく国際協力銀行(JBIC)の信用保証付き10年債で、発行総額は前回(2000億円)より多くなる見込みだという。マレーシア国営ベルナマ通信は金利水準について、前回より低い0.5%で日本側と合意したと伝えた。またスリランカでは、600億円規模のJBIC保証付きサムライ債が検討されていると報じられている。

発行体からみて金利が低位で安定する円債市場は魅力的な発行市場に映る一方、運用難に苦しむ日本の投資家にとっては相対的に利回りの高いサムライ債は有望な投資対象だ。需要側と供給側のニーズが一致してサムライ債の発行は増加傾向にあり、日本証券業協会のデータによると2018年度(18年4月~19年3月)発行の公募サムライ債の発行額は17年度の2倍超に膨らんだ。

19年度の発行額は8月までで7549億円。5カ月間で18年度全体(2兆3621億円)の3割程度と急激な増加傾向は一服したが、目を引くのはアジアからの発行増加だ。アジアの発行体の割合は、18年度はサムライ債発行額全体の4分の1程度だったが、19年度は半分以上を占める。集計対象は公募債に限られるため、前述のマレーシアが3月に発行した適格機関投資家向け債券などは含まれていない。

かつての「フラジャイル」組、信用力が向上

大和証券キャピタル・マーケッツシンガポールの芹沢健自シニアクレジットアナリストは、長引く低金利環境でサムライ債投資への関心が高まり「アジア新興国は他の新興国と比べて財務基盤の健全性が高いという事実が浸透してきた」と見る。例えばインドネシアはかつて自国通貨が「フラジャイル・ファイブ(脆弱な5通貨)」に挙げられるなど国の基盤が不安定なイメージが根強かったが、大手格付け会社による格上げが相次ぐなど実際の信用力は向上。インドネシア国営電力公社は3本立てのサムライ債を20日に初めて発行する。8月末には旧「フラジャイル」仲間のインドの政府系サムライ債も発行され、需要を集めた。

芹沢氏は今後も発行体の裾野の広がりが期待できると話す。特に今回国営企業のサムライ債を初めて発行するインドネシアでは、「国営企業の自己調達を推進する政府方針に沿って考えれば、石油のプルタミナなど他の国営企業も発行の可能性がある」(芹沢氏)という。

もっとも外貨建て債券の発行には為替リスクがつきまとう。マレーシアのマハティール首相はサムライ債の追加発行について、円の上昇基調を理由に一部の専門家から反対の声があることも明らかにした。今後のサムライ債発行動向は外国為替市場の行方にも左右されそうだ。

※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

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