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米中交渉、強硬トランプ流の行方は経済次第 指標悪化なら「合意」へ転換も 

QUICKコメントチーム=松下隆介

米中貿易交渉や英国の欧州連合(EU)からの離脱問題(ブレグジット)など、国際政治の不透明感が市場を大きく揺さぶっている。海外の大手運用会社は、高まる政治リスクをどうみているのか。英アバディーン・スタンダード・インベストメンツのシニア・ポリティカル・エコノミスト、ステファニー・ケリー氏は9日に開いたセミナーで、ブレグジットについて「ノーディール(合意なき離脱)よりも交渉期間を延長させる方向に進む」などと語った。主な発言は以下のとおり。

Brexit、英はEUとの交渉期間延長の方向

英国でのブレグジット問題は3つの要素から構成されている。1つはEUの関税同盟から抜けること、もう1つは単一市場から抜けること、最後は北アイルランドをしっかりと確保すること、だ。EU側からみた論点は、関税同盟や単一市場、北アイルランドとアイルランド共和国の自由な貿易を守ること、といえる。

英国は関税同盟や単一市場から抜けたいと考え、EUは両方とも守りたいと考えている。着地点を見出すのはとてもむずかしい状況だ。加えて、アイルランド問題についてどう対応するかが、とても重要になってくる。

私はアイルランド出身だが、アイルランドという島を巡っては3つの問題がある。1つはインフラ。現在は北アイルランドとアイルランド共和国の間で自由に貿易できる。ただ、国境はとても複雑で、2国間を往来できる場所が275カ所もある。たとえば、ノルウェーとスウェーデンの間には、こうした場所が60カ所しかない。英国が単一市場、関税同盟から抜けてしまうと、国境すべてを監視しなければならない。どれだけ難しいか、わかるだろう。

2つ目は島としてのアイルランドの経済状態。北アイルランドとアイルランド共和国は強い経済的な結び付きがある。農業でいえば、子羊は北アイルランドで養育されてアイルランド共和国で精肉にされ、再び北アイルランドに戻って売られる、という流れがある。こうした問題をどう取り扱うべきなのか明確でなく、アイルランドの島全体の経済状況が非常に複雑になる。

3つ目は非常に重要な政治的問題だ。歴史的にみて、アイルランド島には安全保障上、政治上の大きな問題があった。北アイルランドの人の中には、自分たちが英国人だと考える人たちとアイルランド人だと考える人たちがいて、過去にはぶつかりあった。

アイルランド島を巡る政治的、経済的、インフラの問題があり英国とEUの着地点が見いだせない中で、ブレグジットのインセンティブはあるのか。英国はノーディールを強行するよりも、EUとの交渉期間を延長させる方向に進むと考えている。11月か12月に選挙があると思うが、選挙をしたところでブレグジットの問題が解決するわけでなく、結果的にノーディールのリスクを中期的に高めてしまうと考えている。そのため、英国の経済見通しには非常に慎重な見方を持っている。

ダメージコントロールしつつ「待ち」の中国

しかし、グローバルでみれば、英国の問題はさほど大きなインパクトはない。それよりも影響が大きいのは米国と中国の政治的なリスクだ。トランプ米大統領は2020年の大統領選での再選を狙っているが、再選を果たすために何をすべきか、いまだ決めかねている状況だ。

これまでは、再選のために中国に対して強硬な姿勢を示すことが重要だった。今週もそういった動きが続いていた。だが、経済指標や雇用情勢が悪化すれば「米中貿易交渉で合意したほうがよい」と考えを見直すきっかけになり、これまでの姿勢を転換するだろう。トランプ氏はまだ、そこまでには考えが至っていないようだ。

一方の中国は、米国とは違ったインセンティブが働く。経済的な圧力はあるが、選挙という政治的なサイクルがない。米国の要求は中国の経済的なあり方を変える内容で、合意は難しい。中国はいま、ダメージコントロールしつつ”待ち”の姿勢で構えているのではないか。「時が経てば米国から違う交渉団がくる」と考えている可能性もある。米大統領選での民主党候補が誰になるかで「中国との貿易摩擦を続ける意図があるのかどうか」など、今後のリスクの見方も変わってくるだろう。

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