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患者の表情から痛みを判定 進化する顔認識AI、大手と競うベンチャー

QUICKコメントチーム=本吉亮 

デジタルイノベーションの祭典「日経 XTECH EXPO 2019」(~11日、東京ビックサイト)を取材した。このイベントは、ものづくり、金融、流通・サービス、建設・土木、医療・健康など、ビジネスと技術の「クロス領域」で起こるイノベーションの最前線を、クラウド、IoT、AI、Fintech、ブロックチェーン、働き方改革などの視点から展示している。

そのひとつ、人工知能/ビジネスAI部門に出展するトリプルアイズ(東京・千代田)のAI画像認識プラットフォーム「AIZE(アイズ)」。

「AIZE」は、AIを活用して顔の画像情報により来店者の分析をするシステムで、約40万種類の目、鼻、口、輪郭などの顔のデータから、性別、年齢に加えて感情も読み取り、高い精度でリピーターを特定できるという。利用店舗内にカメラとAIZE端末を設置すると、カメラの前を通るだけで端末が自動で顔を認識しクラウドに画像データを送信し、クラウドに送信された画像データはリアルタイムに解析可能としている。実際に筆者が顔画像を登録し、再度ブースを訪れるとリピーターと一瞬で判定された。

こうしたシステムから、香港のデモを連想するひとも多いだろう。政府に抗議の声を上げる人々がマスクや覆面で顔を隠しているのは、街角のあらちこちらに配備された監視カメラに顔が映ると顔認証システムで個人が特定されて、後に拘束される懸念があるからだという。ハイテク監視が進む中国では設置されたカメラは2億台にのぼるとされる。

トリプルアイズの場合は、大手メガネチェーン、大手飲食チェーンなど順調に導入店舗を増加させている。3月からβ版サービスを提供開始し、目先は1000台の販売を目指しているという。導入費用は月3万円からと安価に設定していることから引き合いが強く、今回の展示会の最中も商談の話が数件あったようだ。「AIZE」の直接のライバルとなるのはNECや、AIベンチャーのABEJAだ。AI画像認識技術で両社に引けを取らないと豪語しながら、導入単価が低いことを強みにしている。さらに、オフィス向け(出退勤・受付)、教育機関向け(出欠席・防犯)、医療機関向け(痛み判定・行動診断)などの用途拡大も視野に入れているという。

囲碁AIで技術研究、上場も視野

面白いのは、この画像認識技術を囲碁AIで培っているというところだ。トリプルアイズは2014年から囲碁AI開発に従事し、囲碁AIで世界一を奪取すると宣言している。それを裏付けるように、同社が開発の一翼を担う囲碁AIソフト「GLOBIS-AQZ」は、7月に開催された「世界電脳囲碁オープン戦」で最年少プロとして話題を集めた仲邑菫初段を寄せ付けず圧勝。さらに、のちに最年少名人となり一躍有名となった芝野虎丸7段にも完勝した。8月に開催された囲碁AI世界大会では、残念ながら準々決勝で敗退したが、世界最強を誇るテンセント打倒に向けて日々研究に励んでいるという。

トリプルアイズは「将来はドラえもんを作ろう!」という夢から、ドラえもんの誕生日(9月3日)を設立日にするなど、AIシステムのサービス導入に強いこだわりを持つ。2020年の株式上場を視野に入れ、9月にはジャパンインベストメントアドバイザーが100%出資するプライベート・エクイティファンドを引受先とする第三者割当増資を実施した。細かな開示がないため、同社の企業価値を試算するのは難しいが、将棋AIを引っ提げて18年に株式上場を果たしたHEROZ(4382)の初値が公開価格の10.9倍にまで急騰するなど人気化したことは記憶に新しい。前期売上高14億円程度のHEROZの時価総額は835億円で、同業で未公開AIベンチャーであるABEJAの企業価値は235億円程度とみられている。その比較からトリプルアイズが新規上場を果たした場合に、市場からどの程度の評価を受けるのか注目したい。

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