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米株先物、売越幅「7割減」のからくり 弱気筋の売り持ち解消にあらず

2020年4~6月期は四半期ベースで歴史的な上昇となりそうな米国株市場で、投機筋による株価指数先物の売越幅が7割も減ったことが話題になっている。底堅い相場を受けて買い戻したとの見方があるが、それにしても減り方が急だ。どうやらゼロ金利政策の導入に伴う裁定取引の拡大が背景にあるようだ。

■ショートカバーか

商品先物取引委員会(CFTC)によると、主要株価指数のなかで最も流動性の高い「Eミニ・S&P500種株価指数先物」の投機筋の建玉(オプションを含む)は6月23日時点で11万990枚の売り越しと、売越幅は前の週の16日時点(33万3489枚)から大幅に縮小した。売越幅は2011年11月以来となる30万枚超えで推移していたが、1週間で7割も減った。前週比の売越幅の縮小枚数としては13年ぶりの大きさだ。

※Eミニ・S&P500種株価指数先物の建玉推移
※Eミニ・S&P500種株価指数先物の建玉推移

米国野村証券のチャーリー・マケリゴット氏は「CTAがショートカバー(売り方の買い戻し)に動いた可能性がある」と指摘する。相場が二番底を付けるとみて3月後半以降の戻り相場のなかで売り持ちを積み上げた投資家が、四半期末を控えて解消したという。

■裁定取引の拡大

だが、市場では「そもそも3月下旬に膨らんだ先物の売り越しは二番底を想定したものではなかった」との見方が出ている。裁定取引を手掛けるヘッジファンドは、金融機関から融資を受けて取引を膨らませる。3月に米連邦準備理事会(FRB)がゼロ金利政策を再開したことで資金調達コストが一段と低下し、裁定取引の規模を従来に増して拡大させたという。

4~6月期の相場上昇局面では、短期売買に傾斜するヘッジファンドの買いで「先物が現物に比べ割高になる場面が多かった」(邦銀の米国株トレーダー)。金利などを基に計算する理論値に比べ、株価指数先物が割高な時に「先物売り・現物買い」の買い裁定が積み上がる。資金調達コストがほぼゼロになったことで理論値が下がり、相場上昇局面では先物が割高になりやすかった。3月後半以降、売り建玉の増加が買い建玉の減少ペースよりも早かったのは、この動きが影響したためだ。

■「クアドルプル・ウィッチング」で決済

こうして積み上がった先物の売り残が、日本のSQ(特別清算指数)に当たる19日の「クアドルプル・ウィッチング」で決済され、売越幅の急減につながったとみられる。同日は持ち高整理に伴う売買が交錯し、ニューヨーク証券取引所とナスダック市場の売買高の合計は約95億株と前の日の2倍に達した。

もっとも、売越幅はまだ11万枚あまり残る。主要運用会社の建玉動向をみると「ショートを維持したままの投資家が多い」(米国株トレーダー)との声もある。ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を重視する投資家は「実体経済の悪化が株安を招く」とのシナリオを変えていない。実体経済と乖離(かいり)する株価がどう動くか、見極めるのは7~9月以降に持ち越しとなる。(NQNニューヨーク  張間正義)

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NQNニューヨーク 張間 正義

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